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【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(145) 嘘はダメ、ゼッタイ! クラブ規制問題には“正攻法”で立ち向かえ!

音楽業界やクラブ好きの間ではよく知られていた東京都渋谷区の老舗クラブが先日、風俗営業法違反容疑(※無許可営業)で摘発されてしまいました。クラブ界隈では、同店は“健全に音楽を楽しむ箱”と見る人が多く、SNS等では逮捕された店主の人柄や店の素晴らしさを訴え、取り締まりの不条理さを嘆く声が多々見られます。僕もクラブでパフォーマンスをする人間の1人として、現状の“歪んだ法律”はおかしいと思っています(※尤も、警察は全ての無許可営業を取り締まっている訳ではなく、近隣からの苦情も含め、色々理由はあるようですが)。一方、その少し前には、日本のヒップホップシーンの黎明期から活躍する有名ラッパーが大麻所持で逮捕され、この時は仲間内からも「ヒップホップが市民権を得ようとしていた時に…」「皆で襟を正そうとしている時に何をやってくれたんだ」等と非難の声が上がりました。ただ個人的には、「ラッパーが大麻をやっていたことはそんなに騒ぐことか?」とも思います。

勿論、現在の日本では大麻は違法ですし、只でさえ世間から悪いイメージを持たれがちな業界ですから、彼らがそういうリアクションをするのもわかりますが、あんなに袋叩きにする必要があるのか、と。何故、2つの事件を敢えて並べたのか? 僕はどちらの議論も、あまりにも“健全さ”を前提とし過ぎていると思ってしまうからです。風営法の改正運動を契機に組織されたロビー団体は近年、クラブの健全性をひたすらアピールしています。「嘗てのクラブは確かにドラッグが蔓延していたが、今のクラブにはドラッグなど一切無い。僕らは音楽が好きで踊っているだけ。だから活動や営業を認めてくれ」。彼らはそう言う。しかし、本当にそんなことを約束できるのでしょうか? 結局、これは原発の安全神話と同じだと思います。市民権を得る為に“リスクゼロ”を世間に約束をすることの危うさ。「原発は安全です。事故なんて起きません。だから安心して下さい」。それと同じで、「クラブは健全です。ドラッグなんて誰もやっていないし、ヒップホップカルチャーとドラッグカルチャーは別物です。そんなヤツらは俺らが許しませんから、安心して下さい」――。

交渉時のレトリックとしてはわからないでもありませんが、それで話を進めてしまうと、後々何らかの問題が発覚した時に一斉に潰されてしまいかねない。「全てのクラブにドラッグが一切無い」という言い分が方便に過ぎないことは、多くの関係者がわかっている筈です。“ゼロリスク”は皆が信じたいだけの共同幻想ですよ。だから、もう嘘は無しで、全部透明に議論をして、最終的にメリットがデメリットを上回ることを証明しましょう。その正攻法でしか明るい未来は来ません。2020年に向け、日本を訪れる外国人は増える一方ですから、ナイトタイムエコノミーをよりベターな形で推し進めるにはどうすべきか? 健全さや潔癖さだけを追い求めれば、本来得られるべき便益、そして次の文化を育む土壌は手にできません。多少汚い土に触れるからこそ美しい花が咲くのだとすれば、その“汚さの度合い”を議論すべきではないかということです。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。『スッキリ』(日本テレビ系)・『みんなのニュース 報道ランナー』(関西テレビ)・『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』(朝日放送)・『ザ・ニュースマスターズTOKYO』(文化放送)・『けやき坂アベニュー』(AbemaTV)等に出演中。近著に『挑発的ニッポン革命論 煽動の時代を生き抜け』(集英社)・『悪くあれ! 窒息ニッポン、自由に生きる思考法』(スモール出版)。


キャプチャ  2018年2月26日号掲載
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