【タブー全開!政界斬鉄剣】(117) お線香くらいいいじゃないか! 義理人情まで法が規制するな!

池田「今週は、茂木敏充経済再生担当大臣の線香配布問題について解説します。茂木大臣の秘書が選挙区の有権者に線香と手帳を配布していたことが、公職選挙法が禁じる買収行為にあたると問題になっている。確かに、数年前にも松島みどり元法務大臣が自分の名前入りの団扇を配布して大臣を辞任したり、小野寺五典防衛大臣が1年生議員だった時に名前入りの線香を配布して議員辞職した例がある。しかし、追及する側の野党にも、立憲民主党の近藤昭一副代表や希望の党の玉木雄一郎代表等に同様の行為が続々と発覚。自分たちにブーメランとなって返ってきています」

――皆やってんだなぁ。
池田「皆やっているということは、日常の政治活動に不可欠な行為までも公選法が禁じているということなんです。私の実体験を基に説明します。元々公選法とは、票をカネで買う行為を無くす目的で、選挙期間中に有権者へ金品を配布して投票依頼すること等を禁じたものでした。ところが、リクルート事件や東京佐川急便事件等、政治とカネの大問題が続いた時代に状況が変わった。政治家が政治資金を集める理由は、有権者の買収ではなく、日常の“地元対策”です。そこに多額のカネがかかることが世間に知られるようになったのです」

――具体的な使い道は?
池田「1994年に公選法が改正される前のエグい実態から明かしましょう。先ず、地元の冠婚葬祭には片っ端から電報とお花を贈り、本人や秘書が手分けしてお祝いや香典を持参します。更に、新聞の死亡広告を見て、1通1000円ほどの電報を毎日10件以上は打ちます。亡くなった人が知人なら5000~2万円ほどのお花も贈り、支援者の場合には5000~1万円くらいの香典も持参。支持者関係の結婚式では5万~10万円は包んでいました。支援者の忘年会や慰安旅行があれば、ビール等の酒を何ケースか差し入れる。或いはその代わりに、“お樽代”という名目で1万~2万円ほどのカンパをします」

――そりゃカネがかかるわ!
池田「東京の事務所でもカネはかかる。地元支援者が上京すれば大人数だろうが接待する。勿論、奢りです。これが地方議員の視察旅行の場合は悪夢でした。多い時には40人ほどの大宴会で、1人1万円でも一晩で40万円以上のカネが飛ぶ。年間数千万円単位のカネがあっという間に消えました。しかも、私は政治資金を集める役割も担っていたので、自分が苦労して集めたお金が日々の接待で消えていく光景を見て、空しさを覚えました…」

――絶対に法規制すべき!
池田「だから、1994年に公選法が改正された時は、心の底からほっとしました。これは当時の政治家や秘書の大半が共有した感情でしたし、実際に政治資金集めの苦労が少し楽になりました。しかし、軈て私たちは改正公選法の欠陥に気付くことになるのです」

――というと?
池田「茂木大臣の例で説明しましょう。彼は同じ選挙区で9回連続で当選を果たしています。その二十数年間、お世話になった人の数は1000人単位でしょう。何も得が無いのに、自分を応援してくれる人に対する感謝の気持ちは、言葉では表せないほど重いものです。そういう人たちに関係する葬儀や法事に伺う際には、香典や手土産くらいは持参したいですよ。しかし、公選法が許さない。ならば、せめて線香の1箱だけでも…となるのは人情ではないでしょうか?」

――確かに…。
池田「そういった義理人情の領域まで法律が規制するのは無理がある。それに、線香や団扇が投票行動に影響するほど、日本人は低レベルじゃない。悪質な買収行為を無くすには、全収支を厳しくオープン化させればいいだけです。若し政治家のお金の集め方と使い方が悪ければ、選挙で落とせばいいのですから」


池田和隆(いけだ・かずたか) 元農林水産大臣秘書官・政治評論家・『池田和隆国家基本戦略研究会』代表・一般社団法人『社会基盤省エネルギー化推進協会』主席研究員。1967年、熊本県生まれ。法政大学在籍中に松岡利勝氏(農林水産大臣・故人)の私設秘書。公設第2秘書・政策担当秘書・農林水産大臣秘書官を経て現職。


キャプチャ  2018年2月26日号掲載
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テーマ : 政治家
ジャンル : 政治・経済

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