【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(148) 高校生発の銃規制運動は最強の圧力団体『NRA』に勝てるのか?

これが、アメリカの銃社会が変わる転換点になるのでしょうか? 先月14日、フロリダ州の高校で生徒ら17人が殺害された銃乱射事件。現場に居合わせた当事者の高校生らが、自身のSNSやメディア出演、更に集会やデモ等を通じて銃規制の必要性を強く訴え、運動は全米的な広がりを見せています。アメリカでは乱射事件が起きる度に抗議活動が起きますが、中々銃社会を根本から見直す流れになりません。その理由は、アメリカ最大のロビー団体『全米ライフル協会(NRA)』の存在によるところが大きい。ドナルド・トランプ大統領を始め、共和党議員らはNRAから多額の政治献金を受け取っており、銃規制反対は最早“初期設定”になっています。また、NRAの力の源泉は資金力だけではありません(※寧ろ、献金の額では石油業界、不動産業界、自動車業界等に及びません)。彼らの本当の強みは“草の根の動員力”。「銃を持つことはアメリカ国民に与えられた不可侵の権利だ」と信じて疑わない人々の、信仰にも近い熱心な活動があるのです。

彼らは組織化され、銃規制の議論が出ようものなら、すぐさま抗議活動をする。そして選挙でも、その組織力で銃規制反対派の候補に票を集め、銃規制派に対する強力な落選キャンペーンを行なう。こうした選挙における組織力は、日本の『創価学会』に近いものがあるかもしれませんが、その力に共和党議員は負け、民主党議員ですら銃規制を声高に叫ぶことを躊躇してしまう。事件の直後、フロリダ州議会で銃規制の動議が反対多数で否決されたのは、その典型的な例でしょう。また、銃規制反対派は世論を誘導するのも上手い。今回の事件後も、あらゆる詭弁、フェイクニュース、陰謀論まで駆使し、銃規制を訴える高校生らを貶める動きがありました。特に酷かったのは、事件の生存者であるデヴィッド・ホッグさん(17)に対する批判です。ホッグさんがニュース番組のインタビューを受けた際、「彼はカネを貰って被害者を演じた役者だ」とのデマ動画が『YouTube』で拡散されたり、彼の父親が嘗て『連邦捜査局(FBI)』勤務だったことから、「FBIの反トランプ運動に利用されている」といった話まで出回りました(※ホッグさんはその後、『CNN』に出演しガセネタを否定)。

しかし、それでも今回ばかりは、もう少し本質的な議論に進むのではないかと僕は期待します。一番大きいのは、高校生が本気でアクションを起こしていること。彼らはデジタルネイティブ世代であり、イデオロギー闘争と距離を置いている。インターネット上の陰謀論を見抜く力もある。事件後の彼らのSNSでの反応等を見る限り、所謂“釣り”に対する耐性があり、ネガキャンにも動じていません。このまま若者が本気でアクションを起こし続け、今年11月の中間選挙まで熱が継続すれば、何かが変わるかもしれません。そして、彼らは寧ろ、アメリカで銃を持つ権利を保障する憲法修正第2条の精神にも忠実だと言えるかもしれません。文字面をなぞり、利権を貪るだけのNRAより、「政府を信じるな、自分たちの権利を勝ち取れ」という精神を純粋に継承しているのは、現代においては銃規制を訴える高校生の側ではないか――。僕にはそう思えるのです。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。『スッキリ』(日本テレビ系)・『みんなのニュース 報道ランナー』(関西テレビ)・『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』(朝日放送)・『ザ・ニュースマスターズTOKYO』(文化放送)・『けやき坂アベニュー』(AbemaTV)等に出演中。近著に『挑発的ニッポン革命論 煽動の時代を生き抜け』(集英社)・『悪くあれ! 窒息ニッポン、自由に生きる思考法』(スモール出版)。


キャプチャ  2018年3月19日号掲載
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テーマ : アメリカお家事情
ジャンル : 政治・経済

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