【私のルールブック】(142) 借りを忘れない人でありたいのです

生意気なようですが、借りを忘れない人でありたいのです。借りといっても、お金の貸し借りではありません。私たちの業界であれば、舞台の初日にお花を頂いたり、誕生日プレゼントだったり、しきたりとまではいきませんが心配りは当たり前。特に、私よりも年上の先輩方は、気遣いをとても大切にしていらっしゃる方が多い。当然、全てに対してお返しをするのが理想かもしれませんが、正直ままならない時もあります。相手によっては1に対して1のお返しをするよりは、3に対して1程度のお返しぐらいが相手を立てることになり、中々見極めも難しい。ただ、私が最も大切にしたい借りは、お金でも物でもなく、何気ない言葉や行動だったりします。例えば、芸能界で一番長い付き合いの友だちは野々村真君です。かれこれ32年になります。で、この時点で私は、マコちゃんにとてつもない借りがあることになります。

だって、32年間もの長きに亘って、私のような者と友だちでいてくれた訳ですからね。綺麗事に聴こえるかもしれませんが、間違いなく借りなんです。借りは返さなければなりません。私の仕事が薄かった時期に声を掛けて下さったプロデューサーさんや監督さんも、勿論そうです。仕事が無かったら生活はできません。オファーを頂いて初めてお金になるのは、どの職種であれ一緒。しかし、最も大事なのは、仕事をしていないと次の仕事に繋がっていかないということです。仕事はお金だけではない。仕事は人を呼びます。人と交わる機会を与えてくれる。自分という人間を知ってもらうチャンスが生まれるのです。そして、可能性だったり面白味だったりを誰かが感じて下さり、仕事は繋がっていくのです。となると、マネージャーさんには一生頭が上がらないことになりますね。私のマネージャーさんは、私に付いて今年で24年目に入ります。マコちゃん同様、24年もの間、私という面倒臭く、扱い難い商品を売り込み続けてくれた訳です。

根気しかなかったことでしょう。私に殺意を覚えたこともしばしばと察します。これを借りと言わずして何と言うのか? 借りは、何としてでも返さなければならないんです。若かりし頃、とあるテレビドラマに出させて頂きました。しかし、あまりに生意気過ぎた私は、スタッフさんたちから総スカンを食らいました。ただ、唯一、チーフディレクターさんだけが面白がって下さり、それ以降も手掛ける作品全てに呼んで下さいました。でも、哀しいことに、そのディレクターさんは若くしてお亡くなりになってしまいました。私は借りを返せていません。もう返すことができないんです。結局、当たり前のように日々生活をしていても、どこかで貸し借りの繰り返しをしているのかもしれない。貸したものは忘れてしまえばいいけれど、借りたものを忘れてはいけない。「これは借りだ」と感じるアンテナは、常に立てておかなければならない。ただ、思い込みが強過ぎてもうざいだけですから、適度で構わないと思いますが…。今度、借りたものリストを作っておこう。忘れないように、直ぐ作ろう。


坂上忍(さかがみ・しのぶ) 俳優・タレント。1967年、東京都生まれ。テレビ出演多数。子役養成に舞台の脚本・演出等、多方面で活躍中。


キャプチャ  2018年3月22日号掲載
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テーマ : 俳優・男優
ジャンル : 映画

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