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【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(153) 日本は“心理兵器”に弱い!? あの首相夫人に見る“潔癖故の脆さ”

2016年のアメリカ大統領選やイギリスの国民投票に際し、『Facebook』(※以下、FB)の個人情報を分析して、ピンポイント広告やフェイクニュースを投下する“心理兵器”が使われたとのスキャンダルが、欧米社会を揺るがせています。前号では、その黒幕である『ケンブリッジアナリティカ』(※以下、CA)の元幹部の告発を紹介しましたが、その後もイギリス議会等で次々と“爆弾証言”が飛び出しています。例えば、アメリカ大統領選やイギリス国民投票では、CAからの資金を受けたカナダのデータ分析会社が有権者を“誘導”する為のソフトを開発し、FBから不正に流出した約5000万人分の個人情報がその“素材”として使われた。或いは、米英の選挙より前にCAが関わったナイジェリアの大統領選では、クライアントの対抗馬候補がイスラム教徒だったことから、『イスラミックステート(IS)』の“首斬り動画”を盛り込んだ動画CMを作成してネガティブキャンペーンを展開し、イスラエル企業に外注して相手陣営に対するハッキングも仕掛けた――。こうした事例に共通するのは、選挙においてCAが社会の分断を深める煽動を行ない、それが金儲けの種になったという点です。

特に米英の選挙に関しては、FBも単に個人情報の管理が甘かったというだけでなく、広告収入を優先するあまり、分断工作を野放しにした点において、社会的な責任は免れないでしょう。世界的なテクノロジー企業が関与したこの騒動は、我々にも重大な課題を提示します。大規模な世論誘導・分断工作を仕掛けられたら、日本社会は耐えられるのか――? 残念ながら、僕の結論は“否”です。日本人はディベートが苦手で、英語報道から隔絶されている為、情報量が少なく、視点の多様性に乏しい。そして異常なまでに潔癖。森友問題にしても、その潔癖性の為に、“問題を一切認めない側”と“重箱の隅をひたすら責め立てる側”の稚拙な議論に終始し、マルバツで答えを求めるあまり、議論をぶつけ合って両サイドの意見を積み上げられない。思い切って言いますが、そんな日本人の体質を体現しているのが安倍昭恵さんだと思います。危うい放射能デマに乗っかって反原発運動に共鳴したかと思えば、教育勅語に涙するあの無邪気さと脇の甘さ。首相夫人として“利用価値が高い”が故に、様々な陣営に狙われ易いのは事実ですが、彼女自身の“揺さぶられ易さ”は日本人の体質そのもの。安倍一強体制がどうこうという単純な問題ではありません。

若し、「日本の有権者全体を揺さぶることがカネになる」と判断されたら、あっという間に心理兵器は言語や大陸の壁を越えて上陸してくるでしょう。米英で“移民”や“イスラム”に不安を感じる人が狙い撃ちされたように、心理兵器は社会に多大なストレスがかかっている時に最大の効力を発揮します。日本でも、例えば2011年の東日本大震災と原発事故の直後に米英で使われたレベルの心理兵器が投入されていたら、世論は簡単に揺さぶられ、社会はもっとズタズタになったでしょう。只でさえ当時、メディアやSNSで飛び交った“正義の仮面を被ったデマ”に飛びついた人があれだけ多かったのですから。我々は、あの経験から何かを学ぶ必要があります。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。『スッキリ』(日本テレビ系)・『みんなのニュース 報道ランナー』(関西テレビ)・『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』(朝日放送)・『ザ・ニュースマスターズTOKYO』(文化放送)・『けやき坂アベニュー』(AbemaTV)等に出演中。近著に『挑発的ニッポン革命論 煽動の時代を生き抜け』(集英社)・『悪くあれ! 窒息ニッポン、自由に生きる思考法』(スモール出版)。


キャプチャ  2018年4月23日号掲載
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