『殉愛』騒動“異聞”…一周忌メモリアル切手に、やしきたかじん親友写真家「青天の霹靂」

百田尚樹氏のベストセラー『殉愛』で、やしきたかじん氏(享年64)への献身愛が描かれた妻・さくらさん。亡夫の秘蔵写真をあしらったメモリアル切手に、「青天の霹靂」との声が上がった。一体、何が起きたのか。 (本誌 徳丸威一郎)

大阪市北区の『リーガロイヤルホテル(大阪)』。実母の左肩を優しく抱き、リラックスした柔和な笑顔で写り込むたかじん氏。そして、2人を囲むようにして並ぶ6人の家族たち――。本誌が入手したのは、2009年のたかじん氏の還暦パーティーで撮影された貴重な1枚である。撮影者は、たかじん氏と10年以上も公私にわたって親しく付き合った米ハワイ在住の写真家・A氏である。A氏は『殉愛』第2部第4章で氏名を誤記された人物。たかじん氏がハワイに所有するコンドミニアムの鍵を預かるほどの親しい仲だ。ゴルフや音楽・ワインなど共通の趣味嗜好で親交が深く、家族ぐるみの付き合い。還暦パーティーに親族が集合したのは、『殉愛』に登場するたかじん氏の個人事務所『パブリックインフォメーションスタイル(P.I.S)』のKマネジャーによる「サプライズ演出」(A氏)だったという。「たかじん氏の親族が一堂に会する機会はめったにありません。『せっかくだから撮りましょうよ』と皆さんに呼びかけて撮影した思い出の家族写真です。この写真でよく分かりますが、たかじんファミリーは真の家族。“殉愛”では、たかじん氏と絶縁関係にあるかのように書かれた長女も、たかじん氏から悪口や絶縁話など聞いたことがない。たかじん氏は長女を愛していたと思います」(A氏)。事情により掲載はできないが、家族写真を見る限りでは、親族とたかじん氏が情愛の通い合う関係だったことが十分伝わる。




A氏によると、たかじん氏は2014年1月8日からハワイに滞在する予定だった。前年夏ごろ、たかじん氏のメールには「来年1月8日(のハワイ便)の航空券を購入した」とあった。だが年末になっても何の音沙汰もなく、やがて訃報が届いた。A氏はすぐにコンドミニアムに行き、花とワイン・たばこを供えた。そんなA氏が強い違和感を覚えたのは、たかじん氏の一周忌(1月3日)を迎えた、ごく最近のことだ。さくらさんが設立した『Office TAKAJIN』などが運営する『やしきたかじんメモリアル事務局』が予約を受け付けている5万セット限定の『やしきたかじんメモリアルフレーム切手』(4530円)に、自身が撮影した写真2点が使われていたためだった。サイトから引用する。「関西の視聴率男“やしきたかじん”、亡くなってからも絶大な人気を誇る“やしきたかじん”。その勇姿をフレーム切手として永遠に残しませんか? 豪かな台紙付きの特別セット販売です。この最初で最後の機会にぜひ手に入れてください」。実質的な内容は52円切手10枚の切手シートながら、完売すれば売り上げは計2億2650万円。昨年末から予約を受け付け、2月1日から発送予定という。“特製台紙”の写真のほか、別カットが切手1枚の意匠に使われた。いずれもA氏が2009年のたかじん氏の還暦ツアーで撮影したもの。たかじん氏に心酔していたA氏は、前出のKマネジャーに「たかじんさんが必要な時にどうぞ」と、写真データのコピー約5000枚分を預けたという。ホームページを見る限り、その一部が切手に使われていた。

実はA氏、昨年4月にさくらさんから「コピーライトはAさんだけど、(第三者に)勝手に使われないようにしたい」として、写真データの管理を申し出るメールをもらった。A氏は「僕はこれで何か(お金に)しようとは一切思っていません。世間(たかじんさんファン)に善かれとなるように使ってください」と返答。さくらさんは「いいこと以外のお金儲けに使われないように守りますね!」と約束している。契約書や使用料はない。「メールで『世間に善かれとなるよう』としたのは、たかじん氏を偲ぶテレビの追悼番組などで放映してもらい、ファンに喜んでもらうことを想定していました。このため、営利目的で写真を使われるとは考えていなかった。僕は対価はいらないが、写真を営利目的で使ってほしくなかったのです。たかじん氏を偲ぶのに、なぜ切手なのか。“殉愛”では家族間に確執があるかのように描かれ、故人はお金儲けに利用されている。たかじん氏の親友として怒りを覚えます」(A氏)

takajin.jpg
A氏の写真があしらわれたメモリアル切手(『やしきたかじんメモリアル事務局』公式サイトの予約画面から)

著作権法に詳しい福井健策弁護士が解説する。「2枚の写真はいずれも(著作権法上の)著作物に該当し、著作権が発生する。権利を譲渡する合意がなければ写真家が著作権を持つことになります。譲渡の合意や使用許諾があれば写真をメモリアル切手に使用できるが、合意や許諾がなければ使用はできない」。となれば、A氏が「善かれとなるよう使ってください」と返答したことで、使用許諾があったことにはなりそうだ。その上で、写真使用はどこまで許されるのか。A氏とさくらさんのメールのやり取りだけでは許諾の範囲は明確には見えにくいが、知的財産権法などが専門の岡本正道弁護士はこう指摘する。「写真家はたかじん氏に対する思慕の思い、個人的な好意から写真の使用を許諾していたと思われる。今回のケースでは、『なぜ営利目的で使うのか。約束の趣旨が違う』と驚いたのではないか。平たく言えば“想定外”で、使用許諾の前提にしていた範囲の外、『こんなことまでは許諾していない』との言い分が出てくる可能性がある。使用許諾に、写真の用途に関わる何らかの限定があったかどうかがカギになる」。本誌は、さくらさんなど『たかじんメモリアル事務局』に見解を求めたが、期限までに回答はなかった。「たかじん氏が亡くなってから多くの番組で私の写真が使われるのは喜ばしいが、テレビ局員からは撮影者の氏名表示の問い合わせどころか、使用の連絡さえ一度もない。もちろん、切手販売にステージ写真を使用することまで許可したつもりは毛頭ない。私の写真をメモリアル切手に掲載しないでほしい」(A氏)。一周忌の感慨に浸る間もなく、1月21日、長女が『殉愛』の版元・幻冬舎を訴えた損害賠償請求訴訟の弁論が東京地裁で始まる。

■法要もできない! 親族激白…「たかじんを家鋪家に返して」
たかじん氏の死から1年。母の光子さんは息子の後を追うように昨春、89歳で亡くなった。一周忌を迎えた今、親族はどんな思いでこの1年を過ごしたのか。 (本誌 竹田直人)

「たかじんを家鋪家に返してほしい」。取材に応じた親族の声は悲痛だった。遺骨はさくらさんが管理しており、一周忌の法要もしてあげられていない。「実母の光子は息子の死に目にも会えず、悔いを残して死んでいきました」。たかじん氏の死は『殉愛』にも書かれた通り、光子さんらには知らされなかった。光子さんが息子の死を知ったのは報道発表と同じ昨年1月7日。遺体は既に荼毘に付され、遺骨との対面にはさらに1ヵ月も待たなければならなかった。「明日なら大丈夫です」。昨年2月、親族の携帯電話に突然さくらさんからメールが届いた。遺骨に手を合わせたいと何度も頼んでいたが、ようやく“許可”が出たのだ。光子さんらは大阪市内のマンションに駆け付けた。3畳ほどの部屋で遺骨はクリスチャン形式の祭壇に祀られており、親族は持参した線香も上げられなかった。迎えたさくらさんとたかじん氏の思い出を語り合うこともなく、追い出されるようにマンションを後にしたという。

3月には『偲ぶ会』が開かれたが、当初は一般のファンも参加できる“昼の部”しか参列を認められなかった。主催者の在阪テレビ各局と交渉して“夜の部”にも出られるようになったが、親族の席は広い会場の隅にあった。親族の1人は不信感を露わにする。「光子は骨を拾うこともできなかったので、会には絶対に参加させたかった。開会前にはさくらさんと顔合わせの機会があったのですが、さくらさんは現れず……。なのに会が始まると、テレビカメラの前で車椅子の光子に寄ってきて『お元気でしたか』と……。イメージアップに利用されたという思いが消えません」。そもそも、たかじん氏とさくらさんとの交際や結婚の事実も、たかじん氏が死亡するまで親族には一切知らされていなかった。がんの病状についても何も知らされず、報道を見て心配するばかりだったという。家鋪家の墓にも埋葬したいと分骨を頼んでみても、さくらさんは「大阪とハワイに納骨すると(たかじん氏と)2人で決めていたので」と断られた。今も状況は変わっていない。光子さんは、たかじん氏の死から4ヵ月後に亡くなった。親族の話では、容体が悪化して意識が混濁し、ヘルパーをさくらさんと勘違いしたのか、「帰れ!」などと暴れたこともあったという。さくらさんは光子さんの葬儀に参列したが、手伝いは一切しなかったといい、以降、親族一同はさくらさんと会っていない。

さくらさんが一部メディアに公開したたかじん氏の遺言書では、葬儀など祭祀の主宰者にさくらさんが指定されてはいる。だが、別の親族は反発を隠さない。「常識的に考え、危篤状態になったら家族を呼び、火葬にも立ち会わせるべきでしょう。“殉愛”で書かれた内容とは違い、たかじんは母親が入院すればお見舞いに来るなど、親子関係は良好でした。私たちも、さくらさんと普通の親戚付き合いをするつもりでしたし、何でも相談してほしかった。何より、悔しい思いを抱えて逝った光子がかわいそうで……」。「1年の法事はどうしようか」。親族間で話し合っていたものの、連絡はない。命日の2日後の1月5日、携帯電話にさくらさんからメールが届き、「よろしかったら、いらしていただけたら幸いです」とあった。「一周忌は大事な節目。なぜ2日遅れなのか」。親族の不信は根深くなる一方だ。溝を埋められるのもまた、さくらさんしかいないのだが……。


キャプチャ  2015年2月1日号掲載


スポンサーサイト
Categories
Profile

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR