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【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(204) 「○○以外なら誰でも」…そんな投票行動はいつか社会の災いとなる

4月の統一地方選挙の結果に、ある意味で日本の有権者の“気分”が表れていると感じたのは僕だけでしょうか。といっても、自民党を始めとする既存政党の勝った、負けたの話ではありません。“NHK解体”という極端なワンイシューで臨んだ『NHKから国民を守る党』が全国で26人当選、『幸福の科学』を母体とする『幸福実現党』も19人当選と躍進。港区議選ではあのマック赤坂氏が初当選し、杉並区議選では暴力革命を肯定する中核派系の学生団体で活動していた経歴のある女性議員が誕生しています。これらの結果は、其々の主張が支持されたという以上に、端的に“既存の政治に対する不信感”の表れであるとみるのが自然でしょう。国政で長く政権党の座にいる自民党は有権者を納得させるような長期的なビジョンを示さず、排外主義的な右派著名人とも近付く(※時には利用する)。また、地方は中央以上に緩みきっており、腐敗を隠そうとすらしない。そのあけすけなエスタブリッシュメントポリティクスが、政治そのものへの不信感を広めていることは間違いありません。

かといって、期待を寄せられるようなリベラル政党も存在しない。立憲民主党は、2011年の東日本大震災・福島原発事故から暫く続いた左派ポピュリズムの功罪をきちんと清算しないことには、信頼を取り戻せないでしょう。多くの有権者にとって、政治とは絶望、若しくは無関心――。そんな中で、比較的少ない票数でも当選できる地方議会選挙では、突飛な主張をする候補が、その型破りさ故に注目を浴びる。“何でもいいからぶっ壊してくれる人”に何となく期待してしまう土壌がある。ただ、既存政治そのものに対する抗議という意味で理解はできますが、それで果たして社会がよくなるのかと考えると、疑問を持たざるを得ません。自分の投票行動に責任を持たず、「兎に角、何かやってくれ」と丸投げした候補が当選するのは、“麻薬的”に気分がいいでしょう。しかし、海外に目を移せば、そうした“気分”がアメリカでドナルド・トランプ大統領を生み、ヨーロッパでは極右政党を大躍進させ、ウクライナでは何と政治経験の全くないコメディアンを大統領にしてしまったわけです。

偏った主張の政党・候補が大量に当選する状況は、決して普通ではありません。しかし、それが続くと必ずどこかでノーマライズ(※普通化)される。ここが恐ろしいのです。反エスタブリッシュの為に異常な主張や価値観がノーマライズされることが続けば、次にやって来るのは極右であり、ナチス的な勢力です。ヨーロッパ諸国の極右政党は、ここに力を注いできました。自分たちの主張が常識的に考えれば、排外的で極端であることはわかりきっている。けれど、そこを“皆が思っている本音”なんだとすり替え、染み込ませていく。気付いたときには、世の中の軸が右に移動している。「何をそれくらいで大袈裟な」と思われる方もいるかもしれません。ただ、「○○以外なら誰でもいい」という投票行動には、本来なら疑うべき人々を疑わなくなるという副作用が確実にあります。こうした“横着”が蔓延した時、その社会には災いが降りかかってくるでしょう。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。『スッキリ』(日本テレビ系)・『みんなのニュース 報道ランナー』(関西テレビ)・『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』(朝日放送)・『ザ・ニュースマスターズTOKYO』(文化放送)・『けやき坂アベニュー』(AbemaTV)等に出演中。近著に『挑発的ニッポン革命論 煽動の時代を生き抜け』(集英社)・『悪くあれ! 窒息ニッポン、自由に生きる思考法』(スモール出版)。


キャプチャ  2019年5月27日号掲載
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テーマ : 選挙
ジャンル : 政治・経済

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