【2015年の世界を読み解く】(05) 中国が夢見る“アジア人のアジア”…力ずくの姿勢から“柔軟外交”に転換し、アメリカ不在で力の空白が生じたアジアの覇権を目指すが

中国は2014年の大半を通じて、70年前に大日本帝国が唱えた“アジア人のアジア”構想の復活を目指してきた。ただし、中国の取り組みはかつての日本が突き進んだほどの悪い結末を迎えることはなさそうだ。

国際情勢は、急激な力の分散によって不安定化しつつある。台頭する新興国は国際社会における役割の拡大を求め、それに抵抗する既存の大国との間に緊張が高まる。これこそ最近の中国とアメリカの間で起きている現象であり、中国を“アジア人のアジア”構想に駆り立てた要因だ。中国は2013年11月、東シナ海の広範囲に防空識別圏(ADIZ)を一方的に設定。アジア地域の秩序に衝撃を与えた。この海域には中国・日本・台湾が領有権を主張する尖閣諸島(中国名『釣魚島』)などの係争地が含まれる。これを契機に、中国は強硬姿勢をさらにエスカレートさせた。習近平国家主席は繰り返し海洋監視船や漁業監視船をこの海域に送り込み、2014年前半を通じて緊張は高まり続けた。南シナ海でもフィリピンやベトナムとの領有権争いが激化。米中の衝突は不可避に見え始めた。だがアメリカは間もなく、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に注意を向けざるを得なくなった。ロシアのクリミア併合だ。ロシアはウクライナ東部の分離独立派を支援したことで、欧米の制裁を招いた。この紛争において、実は中国はアメリカの同盟国に近い立場を取っている。ロシアと中国の天然ガス協定は両国関係の強化を反映しているようにも見えるが、中国は破格の安値での天然ガス供給をロシアに受け入れさせた。クリミア侵攻後、中国からロシアへの融資が減少している事実を考え合わせると、ロシアを対等のパートナーではなく格下の資源国としか考えていない中国の本音が透けて見える。




2014年の国際関係の変化は、ロシアの拡張主義や中国の台頭の結果というより、アメリカの指導力低下の結果という側面が大きい。バラク・オバマ米大統領は、エジプトやシリアなどの危機解決において先頭に立とうとはしなかった。それを見て、アメリカの覇権に挑戦する国々は活気づき、同盟国は恐怖に駆られた。もしアメリカが国際社会で指導的役割を果さないのであれば、どこかの国が代わりを務めるしかない。ただし、最近の中国は力ずくの姿勢から転換し、アメリカ主導の秩序と自国の利害を摺り合わせようとしている。2014年7月には、南シナ海の西沙(パラセル)諸島周辺から石油掘削施設を撤去した。尖閣海域に監視船を送り込む回数も減少傾向にある。中国政府当局者は南シナ海での“行動規範”をめぐる協議にも応じる姿勢を見せている。この柔軟外交で最も重要なのは、対日関係改善に向けた取り組みだ。習は11月、北京で開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の際に日本の安倍晋三首相と会談した。中国の新しい柔軟外交を裏打ちするのが、よりきめ細かい外交政策への転換だ。李克強首相は11月、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国に対する総額200億ドルのインフラ開発融資を表明した。こうしたASEANへの巨額援助は、結束して中国に対抗しようとする動きを弱めることに成功している。ベトナムは対中関係の“リセット”を決め、南シナ海をめぐる国際法上の争いでフィリピンと共同歩調を取らないことにした。

中国はアジア全域で方針転換を進め、経済力を武器に欧米主導の国際秩序に挑戦しようとしている。アジアインフラ投資銀行や『海のシルクロード銀行』・BRICS開発銀行はその具体的な例だ。まだ“アジア人のアジア”が実現するとは言えないが、この地域におけるアメリカの役割縮小につながる可能性はある。特に2015年は米大統領選が事実上スタートする年。この時期のアメリカは内向きの姿勢を強めるのが一般的だ。 (ソウル大学教授・元韓国外交通商相 尹永寛)


キャプチャ  2014年12月30日・2015年1月6日新年合併号掲載


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