【2015年の世界を読み解く】(08) グーグルを脅かす次のグーグル…必要が発明を生み発明が社会を改革する、技術の未来は予想できないからこそ面白い

最高の発明には終わりがない。ガソリン自動車を発明したドイツの技術者カール・ベンツは車輪付きのエンジンを造っただけでなく、社会構造に革命を起こす産業を始動させた。イギリスのコンピューター科学者ティム・バーナーズリーは世界初のウェブサイトをつくっただけでなく、ネット社会の基礎を築いた。これからの時代に経済政策の立案者が心に留めるべき教訓があるとしたら、それは発明がつくり出す産業も、発明と同じくらい変化が激しいということだ。

グーグルが登場したとき、人々はパソコンの画面に単語を入力するだけでほとんど何でも調べられることに驚いた。とはいえ、青文字のリンク先が並んだテキストだけのリストは何か物足りない。そこで共同創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは、すべての成功した発明家と同じように発明を繰り返した。2000年のグラミー賞授賞式でジェニファー・ロペスの緑色のドレスが話題になると関連する検索が爆発的に増えたが、ユーザーが求めるものを確実に提供する手法がなかった。こうして画像検索が生まれた。住所を検索する人は、その場所に言及しているサイトのリンクより行き方を知りたいだろう。そこで調べやすい地図を作った。グーグルの数々の変化は同じような道をたどってきた。ある都市の天気を検索すれば、検索結果の最上部に数日分の予報が表示され、これでユーザーの時間と手間が省ける。だが、人々の求める答えを提供する努力は欧州委員会の不興を買っている。旅行サイトのエクスペディアやトリップアドバイザー、口コミ情報サイトのイエルプなどが、カネを生むトラッフィクをグーグルに奪われていると主張。青文字のリンク先リストに戻れ、ということらしい。




数年前、グーグルのライバル会社の弁護士が海岸線と小さな島の絵に点線を描き加え、島と本土を結ぶのはこのフェリー1本だけだと説明した。つまり、グーグルがインターネットを航海する唯一の船というわけだ。しかし、実際に方法はいろいろある。ニュースを知りたければ、お気に入りのニュースサイトに直接行けばいい。ドイツのネット通販大手ザランドやアマゾンドットコムのサイトでは、商品や価格を調べ、レビューを見て、実際に買うところまで一気にできる。真の問題は、ネット業界の経済的展望が常に変化していることだ。2014年にIT業界は重要な転機を迎えた。人々がモバイル機器に費やす時間が、初めてデスクトップパソコンを超えたのだ。しかも、モバイル機器を使う8分間のうち7分間はアプリを利用する。フェイスブックやグーグル・アップル・アマゾンは太刀打ちできない存在を思われがちだ。しかし歴史を振り返れば、規模と過去の成功が何の保証にもならないならない例があふれている。ヤフーもノキアも、マイクロソフトもブラックベリーも、数年前は敵なしに思えたではないか。グーグルは、ユーザーが1つのルートしか選べないフェリーや鉄道・通信ネットワーク・送電網とは違う。グーグルを使うかどうかの選択は常にオープンだ。クリック1つ先に、私たちの競争相手が待ち構えている。どこかの家のガレージで、誰かが私たちを追い落とそうと狙いを定めている。2015年は彼らが行動を起こす年になり得る。私たち自身がガレージにいたのも、それほど昔の話ではない。テクノロジーの重大な変化がもたらす激変は予想がつかない。電報は郵便を混乱させ、ラジオとテレビは新聞業界に刷新を迫り、飛行機は遠洋定期船の時代に幕を下ろした。発明は常に変化を起こす。だからこそ、未来は過去と同じくらい刺激に満ちている。 (Google会長 エリック・シュミット)


キャプチャ  2014年12月30日・2015年1月6日新年合併号掲載


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