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【私のルールブック】(288) 忘れ得ぬ日と向き合うことについて

もうすぐ、3月11日を迎える。東日本大震災に見舞われた、忘れ得ぬ日である。私は毎年、『バイキング』(フジテレビ系)で被災地にお邪魔させて頂いている。スタッフさんたちと話し合い、どんな形でもいいから、あの日、あの瞬間を忘れない為にも、何かできないかと。とはいえ、私風情が足を運んだところで何ができるわけでもないのです。あの日を忘れない為の、僅かばかりの一翼は担っているのかもしれない。復興する為には観光誘致は大きな課題ですので、その一助にはなっているのかもしれない。ですが、現地を訪れれば訪れるほど、複雑な想いに駆られます。実際、あの日をいつまでも引き摺っていては、本当の意味での復興に繋がらないと考えていらっしゃる方もいます。そんな地元の方々の多様な感情が渦巻く中、私は毎年訪れている。私たちが行けば、皆さん、快く迎えて下さいます。「態々来て下さってありがとうございます」とのお言葉も、数多く頂いてしまう。

ですが、私は一定の距離を置いて私たちの撮影風景を見ている方々の視線が気になって仕方がありません。ということは、どこかで負い目を感じながら、踏ん切りがつかないままロケに参加しているということなんでしょう。こんな感情は、中々味わったことがありません。私はどちらかというと、どのような目で見られようが確信犯で責任を背負いたがるタイプなので、そうそうブレることはないのです。ただ、この仕事だけは別ですかね。確信が持てないどころか、ブレにブレている。だったらそんな仕事は断ってしまえばいいじゃないかとなるのですが、逆に、何故そこまで不安定な気持ちに陥ってしまうのか? その答え探しをしてしまっているのかもしれません。自然災害とは? 命の重みとは? 本当の意味での復興とは?――番組作りにおけるテーマを掲げようと思えば、いくらでも出てきます。しかし、当事者ではない私には完全に理解することはできません。それこそ、少し離れた場所から見守ることしかできないのです。本当、役立たずも甚だしい。

ただ、本能的に「他人事にしてはいけないんだ」という危機意識みたいなものが働いていることは確かなのかなと。あの出来事を対岸の火事として済ませてしまうと、自分が自分でなくなってしまうみたいな。で、今年も行かせて頂きました。去年は、まさにあの日、あの瞬間現場に居合わせた『サンドウィッチマン』のお二人に、私自らお願いをして同行して頂いたのですが、今年もお忙しい中、スケジュールを捻出して下さり、一緒に行って下さったのです。更に、今年は全てサンドさんに構成を考えて頂きました。私のようなまがい物を、どこに連れて行きたいのか? 私に何を感じさせ、お二人は何を伝えたいのか? 結果は未だわからないです。恐らく一生わからないと思います。でも、私は来年も何かしらの形で被災地を訪れていることでしょう。再来年も、その次の年も――。答えを探したところで辿り着く先がないとわかりながらも、答えを見つけることが全てではないですから。


坂上忍(さかがみ・しのぶ) 俳優・タレント。1967年、東京都生まれ。テレビ出演多数。子役養成に舞台の脚本・演出等、多方面で活躍中。


キャプチャ  2021年3月11日号掲載
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テーマ : 俳優・男優
ジャンル : 映画

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