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インドへの新幹線輸出に現実味――レール敷けるかJR東、メーカーとの協力カギ

インドのモディ首相が来日し、安倍首相との首脳会談で、インドの高速鉄道計画への新幹線の採用が一歩前進した。日本にとって長年の懸案が動き出す。関連企業には歓迎ムードが広がるが、実現に向けてカギを握るのは東日本旅客鉄道(JR東日本)の動きだ。

「議論の進展を歓迎する」。モディ首相は9月1日、安倍首相との会談で新幹線建設計画についてそう語った。来日前にインドで応じたインタビューでは「新幹線導入に道を開く」と語っていただけに、意欲が後退したとの印象があるが、交渉関係者に動揺はない。インド最大都市のムンバイと工業都市として成長するアーメダバードを結ぶ全長約500kmの高速鉄道建設計画。2017年にも実施される入札に世界の鉄道メーカーが意欲を見せるが、それを前に日本とインドで事業化調査(FS)が進む。結果は来年7月にもまとまる予定で、作業は順調だ。ただ「公平に進める事業化調査中にモディ首相が『日本が有利』とは言えない」(関係者)。それが首脳会談での控えめな発言につながった。






日本勢が強気の姿勢を崩さないのは、これまでインドの鉄道インフラ整備で協力を惜しまなかったとの思いがあるからだ。コルカタやバンガロールなど5都市での地下鉄整備や、デリーとムンバイを結ぶ1500kmの貨物専用鉄道計画に円借款を供与。「インド鉄道省と非常に良好な関係性を築いてきた」(JICA)という自負もある。モディ首相の就任自体も有力な支援材料だ。新幹線が通るのはモディ首相のお膝元・グジャラート州。州首相時代スズキなどを誘致した実績を持ち、インフラ整備への思いも強い。2013年には日本が現地で開いた高速鉄道セミナーにモディ氏も出席。積極的に情報交換する姿から、「地元から新幹線を全土に広げたいという意欲がある」(国交省幹部)

日本の新幹線輸出は思うに任せていない。日本とベトナム両政府が共同して進めたハノイとホーチミンを結ぶ高速鉄道計画は5兆円を超える建設費に反対論が相次ぎ、2010年に国会で承認案が差し戻された。ブラジルもベトナム同様入札は塩漬け状態となっている。入札が近いと期待されたタイでは、クーデターで事業化が遅れる見通しだ。日立製作所や川崎重工業など車両関連メーカーにとって海外展開の主軸は都市交通。高速鉄道は建設費用が巨額にのぼるうえ、政変で計画が頓挫するなどリスクが大きいからだ。ただ「新幹線を輸出できれば技術力をアピールでき、鉄道輸出に弾みがつく」(国交省)ため、何とか受注に結びつけたいというのが各社の共通認識だ。

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カギを握るのがJR東日本だ。日本では国鉄時代から鉄道の保守や運営を鉄道事業者が手掛け、ノウハウが鉄道メーカー側にたまらない仕組みになっていた。一方、日立や川重などのライバルである仏アルストムや独シーメンスなどの大手は、保守や運営のノウハウを含む総合力で世界中の鉄道案件を受注してきた。新興国を中心に求めるのは総合力。日本勢が巻き返すには鉄道事業者とメーカーが組むしかない。「ぜひインドの高速鉄道計画に参加したい」。JR東日本の冨田哲郎社長は意気込むが、課題も掲げる。「膨大な建設資金をどう調達するかなど民間企業だけでは、すべてを背負いきれない」

「リスクに見合う収益が得られるのか不安が残る」とJR東の幹部は言う。東海旅客鉄道(JR東海)がリニア新幹線の輸出に前向きなのは、車両などを大量生産できればコストの低減を図ることができ、国内の建設費を抑えられるとの考えがあるため。これに対し「JR東は海外展開を進める動機づけは強くない」(車両メーカー幹部)との声もある。メーカーと運営事業者の協力が求められる新幹線輸出は、原発輸出と似た構図といえる。原発では東日本大震災後、東京電力や関西電力が海外に出て行けなくなり苦戦する要因となった。カギを握るJR東が海外展開にどこまでアクセルを踏み込めるか。輸出の成否を握りそうだ。 (岩戸寿・倉本吾郎)


キャプチャ  2014年10月2日付掲載
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