【中国反腐敗の大波】(03) “山西閥”を絶て

中国の中部で三国志の関羽の出身地として知られる山西省運城市。寒風が吹きすさぶ1月、同省最大の民営製鉄所を訪れると、かつて隆盛を誇った山西海鑫鋼鉄集団の工場は閉ざされ、ひとけはなかった。燃料用の石炭をひっきりなしに運んでいた大型トラックには、リンゴとナシが雑然と積まれていた。2013年に不透明な資金の流れが浮かんだ“影の銀行”(シャドーバンキング)問題。地方政府が地元企業の救済に動く中、山西省の石炭関連企業の多くは救済を認められなかった。2014年11月、海鑫鋼鉄も100億元(約1800億円)の負債を抱え、あっけなく倒産した。2014年には省高官が絡んだ石炭関連企業の汚職の摘発が続き、省出身の中央政府高官ら“山西閥”の収賄や口利きの実態も詳しく暴露された。「山西閥の資金源を絶て」。安易な救済を止めていたのは、反腐敗運動を指揮する党中央規律検査委員会のトップ・王岐山(66)だった。それを伝え聞いた山西閥の関係者は観念し、仲間に取り調べに応じるよう促した。直前まで経済担当の副首相を務め、影の銀行の内情を知る王の名はとどろいていた。




昨年12月、山西閥の元締で、前国家主席の胡錦濤(72)の元側近だった令計画(58)の失脚が明らかになった。地元の印刷工場で働いた後、党青年組織の共産主義青年団(共青団)に入った令は、同じ共青団出身の胡の後押しで出世街道に乗った。運城市中心部から車で1時間半ほど走ると令の生家に着く。崩れかけた土壁の家が並ぶ寒村の一角で、80歳を超すという老人は貧しくも兄弟の仲が良い令一家をよく覚えていた。「(令は)真面目で性格の良い子だった。今の問題は想像もつかないよ」。日焼けして深いしわを刻んだ顔で遠くを見つめた。国家主席の習近平(61)を代表格とする党老幹部の子弟ら『太子党』に対し、共青団出身はたたき上げが多い。成り上がりが多いから誘惑に負けやすいとの見方も流されている。1月28日、腐敗の代名詞と化した山西省の人民代表大会(地方議会に相当)で省長の李小鵬(55)が演説した。「腐敗まん延の勢いを断固止めよ」。そう叫ぶ李自身は父で元首相・李鵬(86)の電力業界への影響力を頼りに地位を築いた。「次の標的は李一族か」。インターネット上で大衆のささやきがやまない。 《敬称略》


≡日本経済新聞 2015年2月5日付掲載≡


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