【中国反腐敗の大波】(04) 赤じゅうたんの果て

中国有数の名門大・北京大学の敷地内の五つ星ホテルで2014年12月19日未明、屈強な男らによる小競り合いが起きた。詳細は不明だが、関係者によると北京大傘下の国有企業『北大方正集団』の最高経営責任者(CEO)である李友の身柄を巡る争いだったようだ。パジャマ姿で逃げたとされる李は今年1月4日、当局に連行された。50歳前後とされる李の苦境は不動産会社の北京政泉控股が2014年11月初めに出した声明で明るみに出た。「貴社(方正)にインサイダー取引があったか否かの説明を求める」。李は2012年末、政泉のトップと知り合い、しばらく蜜月が続いた。しかし、株取引を巡り両者の関係は決定的にこじれていった。李が率いる方正は2014年夏にかけ、グループに6社ある上場企業の株式の一部の売買を政泉に委託した。その中で李の肉親や同窓生で固めた方正の経営陣が上場株を半ば私物化し、値上がりを追うインサイダー取引に手を染めた疑いが浮上。これをただした政泉は共謀を否定する。IT(情報技術)専門の中国人記者は「ここ10年近く方正を取材する機会がなかった」と語る。無名だったわけではない。方正は1986年、北京大の研究者が開発したレーザー写植システムの事業化に向け発足し、1990年代には『ファウンダー』ブランドでパソコンに進出した。当時はレノボ・グループと並ぶITの旗手と目されていた。




李が経営陣に入った2003年ごろから方正は病院・不動産・証券などに多角化を始めた。2013年までに年商680億元(約1兆2700億円)と成長した半面、IT業界での存在感は薄れた。北京大東門の向かいに立つ方正の本社では「赤いじゅうたんを敷き、1台の専用エレベーターで李を迎える習慣がある」(目撃した北京大生)という。方正の上場6社の株価は2014年12月22日、最大で16%超も急落した。李はこの日に失脚が判明した共産党の前統一戦線部長・令計画(58)の夫人と関係が深く、令の息子が2012年に運転して事故死した高級車フェラーリは李が贈ったとも噂されている。市場は李の乱脈経営ではなく、腐敗の深い闇に反応した。政治と企業の関係に詳しい中国人民大学教授の聶輝華(36)は「中国では大きなお金が動く上場企業の周りに必ず産官の癒着がある」と嘆く。方正を告発した政泉も、1月に失脚が分かった国家安全省高官との関係が取り沙汰される。 《敬称略》


≡日本経済新聞 2015年2月6日付掲載≡


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