【日本のタブー2015】(02) 兄弟紙では幸福実現党の党首が連載!――“もの言う”はずの産経新聞は『幸福の科学』に魂を売り渡したのか?

保守的言論で強面イメージの産経新聞だが、“広告”という問題に関しては懸念と共に語られる1つの事実がある。幸福の科学出版の広告が、ここ数年あまりにも大量に出稿されているのはなぜか? (取材・文 本誌編集部)

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昨年12月6日、産経新聞紙上に「読者とユダヤコミュニティーの皆様に深くお詫び致します」とする、産経新聞社・熊坂隆光社長のコメントが掲載された。何についての謝罪かといえば、同年11月26日に産経新聞東海・北陸版に掲載された書籍の全面広告についてであった。広告のメイン見出しは、“ネットジャーナリスト”と称する文筆家のリチャード・コシミズ氏による『ユダヤ独裁国家アメリカの謀略を暴く!!』という文言。「ホロコーストはイスラエル建国のためのでっち上げ」「東日本大震災は日本経済の壊滅を狙って人工的に引き起こされたもの」「9.11テロはアメリカの自作自演」といった、にわかには信じ難い内容の文章が羅列され、背景にはユダヤ社会の謀略があると断定、それについて詳しく書いたというコシミズ氏の3冊の著書(版元はコシミズ氏)を宣伝するものだった。しかし12月に入って、アメリカに本部を置くユダヤ人団体『サイモンウィーゼンタールセンター』が「ユダヤ人に対する危険極まりない虚言の流布」として抗議。同紙は5日までに謝罪の方針を決定、6日付の紙面で冒頭のような“全面謝罪”を掲載することになったのである。サイモンウィーゼンタールセンターは、産経新聞社を「真実を追求するジャーナリズムの責任を売り飛ばした」と厳しく批判。同社・熊坂社長は「広告審査手続きに欠陥があったことは明らか」と平謝りした。産経新聞が掲載する広告に関しては、懸念と共に語られている1つの事実がある。新興宗教団体『幸福の科学』の出版部門である『幸福の科学出版』の広告が、ここ数年大量に同紙に出稿されているということだ。




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「幸福の科学は近年、教祖・大川隆法の著書の広告などを中心に、産経に限らず各メディアへ積極的な広告出稿を行っていますが、産経への出稿は『度が過ぎる』と言われても仕方ないくらいに多い」(大手全国紙記者)。本誌が調査したところ、2013年度に幸福の科学出版から産経新聞への出稿額は推定で約5000万円。決して少なくない額だ。そしてその広告は、既に広告欄から“はみ出して”編集方針にも影響を与えているとの指摘もある。例えば、幸福の科学は今年4月の開校を目指して『幸福の科学大学』を千葉県長生村に建設していた。これは結果的に、予定されていたカリキュラムなどに問題が多いなどとして文部科学省から開校の許可が下りず、幸福の科学の大学設置構想は頓挫した。しかし、文部科学省から許可も出ていない段階で、この新興宗教団体が設置計画を進める大学をヨイショするような記事が、産経新聞に掲載されていたのだ。昨年9月17日付の産経新聞で、幸福の科学大学の“副理事長”がほぼ独占インタビューの形で紙面に登場。産経側は副理事長が語る大学経営への構想を、何の批判も加えることなく記事にして掲載している。記事の見出しは『幸福の科学大学 企業と連携 ビジネス創造』。ただのヨイショ記事と言っていい内容だ。

産経新聞のある記者が匿名を条件に打ち明ける。「この他にも、産経新聞社が発行する“夕刊フジ”や産経子会社発行の“フジサンケイビジネスアイ”では、幸福の科学を母体とする政党“幸福実現党”の党首が、その肩書きを隠すこともなく連載を持っています。幸福の科学の信者が行う政治活動が、その事実を伏せられたまま“善意の市民活動”のような感じで記事にされることさえある。外部から見れば乗っ取られているようにもまるで感じるでしょう。しかし、実際は“金の問題”に尽きます。今の新聞社経営は本当に苦しく、特に朝日や読売ほどの経営体力のない産経は崖っぷち。産経は一応保守の論調を売りにしていますが、『もし共産党が大金をくれたら、一変で左の新聞になるんじゃないか』なんて陰口さえ社内にはある」。某中堅出版社に勤務する編集者は、ある時産経新聞から「うちの書評欄に、あなたの会社が出した本について書評を書きませんか?」と持ち掛けられて仰天したことがあるという。「書評というのは、外部の人がその本について自由に論評するから書評なんでしょう。身内が書いたら、もう一種のヤラセじゃないですか。その“書評執筆”自体でお金のやり取りをするという話ではなかったけれど、それをエサに広告を貰おうとする態度が見え見え。ああいうのはどうなのかな、と」。この他、複数のメーカー関係者などから「産経は頼みもしないのに製品のヨイショ記事などを書いてくれる」という話が寄せられた。

産経新聞といえば、歯切れのいい保守的な論説で“もの言う新聞”といったイメージも強いが、一方では“広告ありき”の編集方針に傾斜している疑惑も垣間見えるのだ。現在の新聞社の経営環境が非常に苦しいのは事実だろう。しかし、だからと言って紙面を金で売るような編集方針に転換してしまった新聞は、もはやジャーナリズムではない。事実、冒頭に紹介した“ユダヤ陰謀論本の広告”に怒ったユダヤ人団体『サイモンウィーゼンタールセンター』は、前述のように産経新聞社を「真実を追求するジャーナリズムの責任を売り飛ばした」と批判し、産経の熊坂社長はそれに何の反論もできず謝罪しているのだ。本誌は産経新聞社に、広告の掲載基準や紙面の編集方針などに関して取材を申し込んだ。昨年11月の“ユダヤ陰謀論広告”に関しては「広告の審査手続きに欠陥があった」と認めたが、幸福の科学との関係や“不可解な書評記事”などに関しては「個別の広告・記事に関しては答えられない」と実質的な回答拒否だった。新聞の論調のように堂々と潔く答えてほしかったのだが。


キャプチャ  2015年3月号掲載


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