【日本のタブー2015】(06) “機能性表示”解禁で始まる健康食品利権の奪い合い!!――製薬業界と厚労族が目論む1.8兆円“健康食品市場”横取り計画

これまで健康効果を表示することができなかった健康食品に、今春から「お腹の調子を整えます」などの“機能性表示”が解禁されることになる。これに浮かれる健康食品業界だが、そのハードルは高く、「製薬業界に食い尽くされるのでは」と囁かれている。裏で蠢く厚労族たちの目論見とは――。 (取材・文 窪田順生)

市場規模1兆8000億円とも言われる健康食品市場に、大きな変革が訪れようとしている。今春、健康食品やサプリメントの表示が規制緩和されることになるのだ。これまで「ビフィズス菌はお腹の調子を整えます」というような“機能”を健康食品やサプリメントに表示するためには、発売前に消費者庁から厳しい審査を受け、『特定保健用食品』(トクホ)の認可を得なければならなかった。しかし、トクホの認可を得るには膨大な費用と時間がかかる。そこで、資金力の乏しい中小メーカーでも発売前に研究論文等で科学的根拠さえ示せば、トクホ認可を得ることなく“機能”を謳えるようにしようというのがこの規制緩和の趣旨だという。しかし、どんな宣伝文句でも使えるわけではない。届け出だけとはいえ、消費者庁が示す『ガイドライン』に沿った書類チェックが行われ、不当表示取締等の監視指導態勢も強化される。また、ルールの整備をすることで科学的根拠のない効果表示や、誤解を招く表現のある粗悪品を市場から排除する狙いもある。「『簡単に痩せられる』『糖尿病になりにくい』などの効能を匂わせる健康食品がインターネットなどに溢れていますが、本来“効果”を謳えるのは医薬品だけ。なぜそんな無法状態が放置されているのかといえば、健康食品の表示にまつわる基準がないからです。トクホ以外の健康食品は法的には食品という位置付けに過ぎません」(消費者庁担当全国紙記者)。消費者・健康食品業界双方にとって決して悪い話ではないように思えるが、この規制緩和を阻止しようとしている政治勢力が存在する。




厚労族の中には、食品の機能性表示という新たな利権を製薬業界へ回すことで、自らの権益を拡大させようという思惑を持つ者がいる。某大手製薬会社の幹部が語る。「現在勧められている機能性食品のガイドラインでは、製品の最終試験など安全性の面でかなりハードルが上がって医薬品並みになる見込みです。この厳しい条件をクリアできるのは製薬企業。つまり、機能性表示というのは健康食品メーカーの追い風になるものではなく、製薬業界が健康食品・サプリメント業界へ進出しやすくする“規制緩和”とも言えるのです」。それを示すような動きもある。例えば、国内大手の武田薬品工業はバイオベンチャーのユーグレナと提携し、ミドリムシを配合したサプリ『緑の習慣』を昨年10月に発売。ミドリムシは昆虫ではなく藻の一種で、ビタミンやミネラル・DHA・EPAなど59種類の豊富な栄養素を持ち、消化にも優れている。“機能”を謳うには最適の成分だ。また、小林製薬もサプリメント事業に力を入れている。無添加で“医薬品並みの管理基準”を謳い、専門の電話窓口で薬剤師や栄養士ら有資格者の相談サービスを充実させることで、2018年3月期にはサプリを含む通販事業の売上高を2014年3月期比の4割増、150億円の目標を掲げる。

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このような“路線変更”には、国内製薬業界の置かれた厳しい現状がある。「日本は世界で唯一、政府が薬価を決めるという特殊な国。どんなに画期的な薬を開発しても、毎年の薬価改定で引き下げられていく。そのため、製薬会社の開発力は落ちてきており、臨床系論文の数は世界で25番目とかなり低い。安倍首相が武田薬品の長谷川社長を官邸に呼び出し、国内製薬企業の不甲斐なさを叱責したのは有名な話です。このような厳しい状況の中、日本の製薬企業が生き残っていく道は2つしかない。1つは海外の画期的な新薬の安全性が確認された後、二番煎じの薬を開発していくこと。そしてもう1つは、拡大する高齢者市場で“副作用リスクのない薬”を売っていくこと。もうおわかりでしょう、それが機能性食品ですよ」(前出・製薬会社幹部)。このようなシナリオは、確かに“仕掛け人”を見れば尚更納得できる。2013年2月の規制改革会議で、「機能性表示を規制緩和すべき」と安倍首相に進言した大阪大学大学院医学系研究科の森下竜一教授は、ノバルティスファーマ社によるデータ操作疑惑で問題になったバルサルタンの宣伝誌面に幾度となく登場し、問題発覚後、第三者委員会のメンバーになってからもノバルティスファーマ社から奨学金を受け取っていたことで知られる人物だ。冷静に考えれば、そんな製薬企業と繋がりの強い研究者が“パートナー”を配慮しない提言をするわけがない。つまり、トクホ以外に機能性表示が解禁されると浮かれる健康食品業界だが、大手のDHCやファンケルだけではなく、サントリー・アサヒビール・ヤクルトなどの食品メーカーが新制度の恩恵を受けることはほとんどない可能性が高いのである。いや、むしろ窮地に追いやられるという悲観的な見方さえある。

「製薬企業が続々と機能性表示で健康食品・サプリ市場に参入していくようになれば、中小メーカーは潰れていくでしょうし、大手のDHCやサントリーも危うい。安倍政権は国内製薬業界を守るため、健康業界を犠牲にしようとしているのではないか」(健康食品企業幹部)。“規制緩和”という甘い言葉に惑わされ、気がつけば死に体へと追いやられる健康食品業界――。その姿は、何かにつけて“健康長寿”をちらつかされ薬とサプリメント漬けにされていく我々の姿と妙に重ならないか。 =おわり


キャプチャ  2015年3月号掲載


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