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【ふるさと再訪】福島・いわき(01) 原発問題・復興に揺れる――バブルの縮図の街に?

JRいわき駅前のビジネスホテル。深夜12時、朝4時の2回、作業着を着た人々がマイクロバスで出掛けていく。福島原発へ赴く作業員だ。いわき駅や近隣駅周辺のホテルもアパートもほぼ満杯。付近を車で走ると、ホテルや作業員住宅の建設ラッシュで、コンビニやコインランドリーも急増している。東日本大震災から3年半が過ぎたが、被災者向けの団地・住宅建設に加え、福島第1原発の廃炉・除染工事に携わる人々の増加が、東北で最も日照時間が長いのどかな地方都市の空気を変えた。

9月に発表された基準地価(7月1日時点)。福島県は22年ぶりに上昇に転じ、全国の住宅地の地価上昇率ランキングでは上位10位のうち5地点をいわき市が占めた。「3月の公示地価でも、目の前が全国2位の上昇率と知ってびっくりした」。同市中央台の『いわきニュータウン』に住む主婦(50)は話す。






同ニュータウンは地域振興整備公団(現都市再生機構)が開発した広さ530haの高級住宅地。1982年から分譲を始めたが、バブル崩壊後、290区画が売れ残った。震災後は中古物件や新居を求める人が殺到し、翌年にはほぼ完売。約1万4000人が住む一帯には、同じいわき市の被災者や双葉郡の楢葉町・広野町から避難した約2000人(9月末時点)が公園内も含め10ヵ所ほどの仮設住宅で暮らす。物件購入者は、東京電力から1人当たり月10万円の慰謝料を支払われる楢葉・大熊・双葉町などからの移住者が多いと言われる。「心ない落書きも最近は聞きません」。4月末、都内で開かれた被災地の現状報告の記者会見後、清水敏男いわき市長は私にこう語った。同市は双葉郡8町村などから仮設住宅や借り上げアパートなどに約2万4000人を受け入れているが、2012年末には市役所やニュータウンのビルの壁などに「被災者帰れ」とスプレーで落書きされ、全国に報道された。仮設住宅に爆竹や石が投げ込まれる事件もあった。

「軋轢は消えたのか?」。震災後、県内各地で聞いた“いわきの複雑な事情”がずっと気になっていた。いわき市は450人以上の死者を出し、5万棟超の建物被災があった。しかし、同じ被災者でも、東電から慰謝料を受け取る双葉郡の住民といわき市民とでは補償に雲泥の差がある。医院も原発避難民は無料で、受診の予約も取りにくくなった。夜の繁華街やパチンコ店はにぎわい、高級自動車やブランド品が飛ぶように売れる……。そんな現象が噂として増幅され、「故郷を追われた人々への市民感情が屈折してきた」と市内の自営業者(70)は眉をひそめる。「復興需要で儲かった建築業者らも派手な買い物をし、豪邸を建ててるんですが」。いわきは原発問題と復興バブルの縮図の街ではないか。老舗飲食店主は「カネのばらまきやバブルが街をだめにする」と憤る。いわきの今を報告する。 《編集委員・嶋沢裕志(59)》


キャプチャ  2014年10月4日付夕刊掲載
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