【働きかたNext】第2部(03) 脱長時間労働で成果…仕事の進捗、全員で共有――ワークライフバランス社長 小室淑恵氏

育児や親の介護などを背景に短時間勤務の社員が増えている。残業など長時間労働をなくしながら、業績を伸ばすにはどんな職場改革が求められるのか。コンサルティング会社『ワークライフバランス』の小室淑恵社長に聞いた。

――育児などで、働く時間が限られる「制約社員」が増えています。
「労働力人口が減っているだけでなく、1人ひとりの働き手が仕事に費やせる時間も減っているのは大きな問題だ。出産や育児を抱える女性だけの問題でなく、男性でも親の介護に直面する人が増えている。今後はキャリアを通じて長時間働き通せる人の方が珍しくなる。限られた時間の中で成果を上げられるような働き方を目指すべきだ」

――企業はどう対応すべきでしょうか。
「時間や知識を共有し、チームとして安定した成果を出す“総力戦”だと考えるべきだ。重要なのはただ残業を減らすだけでなく、業績もあげること。建設関連のある企業は長年残業時間が増えていたが、全社で見直しに取り組んだことで、残業は5%減る一方、利益は2~3倍になった。仕事にゆとりが生まれて取引先の評価が高まり、受注が増えたという。イノベーションを生む企業の多くは、社内で様々な働き方が評価され、多様な価値観が生まれている」
「時間に制約のある社員は仕事ができないと思われているかもしれないが、そんなことはない。例えば子供の送り迎えをしている女性社員は夕方までに業務を終えられるように時間を逆算し、短時間でも効率よく仕事をしている。ただ、多くの企業では長時間働いている社員の方が評価されるため、やる気を失ってしまうこともある」




――時間あたりの生産性を高めるにはどんな取り組みが必要ですか。
「仕事の見える化が必要だ。勧めているのは、毎日朝と夜、その日の業務や所要時間などをメールで共有すること。社員のメールを見比べれば仕事の効率が見えてくる。深夜まで残業する“優秀な”社員が実は資料作成に時間をとられすぎだと気付くこともある。上司はメールを基に業務効率を高める助言ができるし、急な欠勤にも他の社員がフォローしやすい」
「情報共有を嫌がる社員がいるかもしれないが、効率が上がり余裕が生まれれば付加価値の高い仕事に時間を割ける。私自身、講演の依頼も多く、月に数日程度しか会社に顔を出せないが、社内の様子は手に取るようにわかる。情報共有や日ごろのコミュニケーションを密にしておけば、『調子が悪い』など社員の変化にも気づきやすい」

――成果に応じて賃金を支払う『ホワイトカラーエグゼンプション』の議論が進んでいます。
「まずは職場全体の労働時間を徹底的に見直し、1日8時間で成果を出せる環境を生み出すことが重要だ。その後に導入すれば真の課題解決になるが、順番を間違えれば逆に長時間労働を促し社員の体調悪化を招く結果となりかねない」 (聞き手は諸富聡)


こむろ・よしえ 2006年、『ワークライフバランス』設立、社長に就任。前職の資生堂時代には育児休業者の職場復帰支援事業を立ち上げた。政府の産業競争力会議の議員も務める。39歳。


≡日本経済新聞 2015年1月24日付掲載≡


スポンサーサイト
Categories
Profile

KNDIC

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR