「1年半先まで押さえてくれ」…“今が買い”と買い付けに殺到――バラ肉下落で揺れる牛丼価格、背後に中国の火鍋事情

牛丼などに使われる米国産の冷凍牛バラ肉の価格が下落している。火鍋需要が急拡大していた中国への流入が、同国政府の取り締まりで激減した。価格高騰にあえぐ外食各社には買い付けの好機だが、安値は長続きしないかもしれない。 (大竹剛・河野紀子)

牛丼などに使われる米国産の冷凍牛バラ肉の卸価格で、“異変”が起きている。2014年11月頃には一時、1kg当たり約1200円に達したが、2015年2月末までに同900円程度と2割以上も急落しているのだ。下落の引き金を引いたのは中国である。中国は本来、米国産牛肉の輸入を禁止している。しかし、2003年に米国でBSE(牛海綿状脳症)が発生して日本が米国産牛肉の輸入を禁止したことから、行き場を失った日本向けの牛バラ肉が、闇ルートを通じて香港やベトナム経由で中国に流入。それ以来、中国の火鍋用の食材としてブームとなり、牛バラ肉の“爆食”に火が付いた。だが、2014年11月頃から中国政府による取り締まりが強化され、2015年2月には中国への流入はほぼストップしている模様だ。業界関係者の間では、背景に腐敗や汚職の撲滅を目指す習近平政権の意向があるとの見方が広がっている。

そもそも、米国でバーベキュー需要のない冬場は価格が低迷する時期。さらに、米西海岸の港湾ストライキで輸出できなくなったひき肉用原料がだぶついて、それに連動して日本向けバラ肉の価格が低下したことも重なった。米国産の冷凍牛バラ肉の価格は、これまで右肩上がりで上昇を続けてきた。中国の火鍋ブームで需要が急拡大する一方、供給は2010年ごろから減少傾向にあったからだ。干ばつの影響や、トウモロコシなどの穀物から生成したバイオエタノールのブームなどに伴う飼料価格の高騰を背景に、子供を産んで痩せこけた雌牛を処分する動きが加速。ピーク時に比べて頭数は約12%も減少した。それにより、米国内の牛肉生産量は2016年春頃まで減少し続ける見込みだ。需給の不均衡に加えて、急速な円安で日本国内の卸価格は、2014年1年間で約2倍に高騰。吉野家ホールディングスの『吉野家』が2014年12月、牛丼(並)の価格を税込みで300円から380円に引き上げるなど、大手牛丼チェーンは値上げに追い込まれた。




米国産牛バラ肉を使用している外食チェーンや冷食メーカーなどにとって、予期せぬ卸価格の下落は収益性改善の機会。ある牛丼チェーンは「今すぐ値上げをしなくても済む」と一息をつく。さらに、大手食料専門商社の双日食料には、取引先から「今が買い時」とばかりに、買い付けの依頼が殺到している。同社畜産原料第二部の池本俊紀部長は、「多くの取引先が大量買い付けに動いている。一部には、1年半先の分まで押さえてほしいという要望もある」と話す。各社が買い付けを急ぐのは、安値がいつまで続くか分からないからだ。業界内では、2015年5月ごろに中国政府の取り締まりが緩和されて、中国への流入が再開されるとの観測も出ている。そうなれば、「ピーク時の水準にすぐに戻る可能性もある」(池本部長)。西海岸の港湾ストは沈静化し、バーベキューシーズンも近づく。そこに中国の爆食が再び襲うか。“火鍋問題”は予断を許さない。


キャプチャ  2015年3月9日号掲載


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