「首相官邸を中国特殊部隊から防御せよ!」――“日米合同軍事演習”極秘レポート

集団的自衛権の行使容認や安保法制整備が声高に叫ばれているが、迫り来る隣国の脅威への備えは万全なのか。実は、昨年末に極秘裏に行われた日米軍事演習では、壮大なスケールであらゆる事態が想定されていたことがわかった。戦慄の日中開戦シナリオを公開する。

アンポホウセイ――。最近、この言葉を聞かない日は無い。3月22日、安倍晋三首相は防衛大学校(神奈川県横須賀市)の卒業式で訓示を述べた。注目の安保法制整備について、「グレーゾーンに関するものから集団的自衛権に関するものまで、切れ目の無い対応を可能とする為の法整備を進める」と語った。安倍首相が「政権の全てを賭けて」(自民党幹部)推し進める日本の安全保障に関する幾つもの法整備。テレビでは『安保法制』と一括りにして報じられているが、その中身は殆ど知られていないのが実状だろう。現在進められている法整備は自衛隊の活動に関するもので、主に海外での活動を広げるのが目的だ。しかし驚くべきことに、「我が国を取り巻く“今そこにある危機”に如何に対処するのか」という最も重要なポイントがそこには含まれていない。確かに、朝鮮半島有事を想定した邦人救出に関わる法改正や、防衛出動に至らない突発事態(グレーゾーン対処)が今般の安保法制整備には含まれている。だが、「隣国の脅威に対する我が国の守りをどうするのか」という問いに完全に答えられる法改正ではないのだ。

日米の安全保障関係者が最も危惧する“今そこにある危機”とは何か。それは近年、益々台頭著しい中国の人民解放軍に他ならない。戦後70年の今年、中国はあらゆる面で日本への攻勢を強めている。中国人民解放軍への備えはどのようになされているのか。これまで全く報じられていないが、実は昨年末に様々な意味で“戦後初”となる画期的な日米合同演習が極秘で行われた。自衛隊は密かに、だが着実に備えを進めていたのだ。それは、昨年12月に朝霞駐屯地等複数の施設を使って行われた。1年がかりで綿密に準備され、アメリカ陸軍と陸上自衛隊の幹部、計十数名が一堂に会して机上演習をすべく周到に進められてきたのだ。天文学的な量のデータが集められ、2週間以上に亘って中国の動きにあらゆるシーンでどう対処すべきか演習が行われた。モニターを見ながら、様々な可能性がシミュレーションされた。日米の指揮官たちが如何に戦うべきかを、想像を絶するスケールで考え抜いたのだ。極めてリアルなシナリオの下に、人知れず合同演習が行われた実態を日米安全保障関係者から小誌は掴んだ。「これほど可能性が高いシナリオに沿って演習を行ったのは、間違いなく戦後初めてです。しかも、『自衛隊が主体となって戦い、アメリカ軍は支援を行う』という形になっていた。そうした形が取られたのもまた戦後初めてのことでした」(同関係者)。日米合同軍事演習自体は、1985年から毎年行われている。日米共通の略号は『ヤマサクラ』。その頭文字から、関係者の間では『YS』と呼ばれる。だが、これまでの演習は残念ながら不安を抱かざるを得ないものだった。「ごく簡単に表現すれば、自衛隊は日本本土に対する敵の着上陸侵攻を防ぐ対処を行うのみ。後はアメリカ軍に攻撃を行ってもらい、蹴散らしてもらう。それが戦後一貫して行われてきた日米軍事演習の偽らざる実態でした」(自衛隊OB)。主権国家とは到底思えない合同演習が長らく続いていたのである。今更ながらではあるが、日米同盟とはアメリカ軍の力に依存することに他ならなかったのである。それが、今回の軍事演習では180度転換された。「自衛隊が主体となって戦い、アメリカ軍は飽く迄も支援に回る形が取られていた意味で、画期的な演習だった」(同前)。今回の演習において自衛隊は如何に戦ったのか。小誌が日米安全保障関係者から取材した情報を元に再現してみよう。




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想定されたシナリオは“佐渡島奪回作戦”だった。「日本海の海底油田の独占を図った人民解放軍“特殊任務旅団”の20個の特殊任務中隊が、作戦拠点として新潟県西部の佐渡島を占領・実効支配したという想定です。それに対して日本は、邦人救出と国民保護法の稼働によって約5万8000人の島民を避難誘導。そして日米軍による奪回作戦が行われたとのシナリオに沿って、演習が行われました」(前出・関係者)。“佐渡島奪回作戦”の火蓋が切られるのは、中国人民解放軍の特殊任務部隊が佐渡島を占領・実効支配してから5日後のことだ。武力事態の認定を行った防衛大臣は、防衛出動を命令すると共に、陸海空の自衛隊に統合任務部隊『JTF-SADO』の編成を命令する。最初の動きは長崎県から始まる。同県の佐世保港で、巨大輸送艦の『おおすみ』とヘリコプター母艦『ひゅうが』に、日本の“海兵隊”と呼ばれる『西部方面普通科連隊』(佐世保市駐屯)が水陸両用任務部隊として編成されるのだ。水陸両用任務部隊が登場するのも、YSの長い歴史の中では初めてのことだ。2年後に編成される水陸機動団を見越した想定だ。装備される予定の水陸両用車(AAV)も投入された。しかし、水陸両用任務作戦は上陸する部隊だけに留まらない。西部方面普通科連隊とAAVを運ぶ為、おおすみ型輸送艦2隻・ホバークラフト型輸送艦4隻・ヘリコプター母艦『ひゅうが』を投入。護衛任務部隊として最新鋭イージス艦2隻・艦砲射撃部隊としてミサイル護衛艦2隻・機雷戦任務部隊として掃海母艦1隻・掃海艇3隻が投入される。アメリカ軍からも、強襲揚陸艦4隻・ドック型揚陸艦4隻・ミサイル駆逐艦など大量の戦力が投じられることとなった。ヘリコプター部隊も共に乗艦。その後、同水陸両用任務部隊は島根県沖まで前進する。アメリカ第3海兵遠征旅団を乗せたアメリカ遠征打撃群と合流。総合予行合同訓練を行った上で佐渡島へ前進していく。佐渡島近くの作戦海域に到着後、直ちに水陸両用作戦空域を設定。海上自衛隊の護衛艦や空中警戒管制機『AWACS』、並びに航空自衛隊の『F-15』戦闘機や早期警戒機『E-2C』が、作戦空域での制空権を確立する為エアーマネジメントを開始する。無人機も投入するアメリカ軍とは火力支援調整本部等によって、火力調整並びに空域統制を行う。

最初の攻撃は、艦砲支援任務を受けた海上自衛隊むらさめ型護衛艦『あけぼの』『ありあけ』からの艦砲射撃だ。2隻の76mm射砲が中国特殊任務部隊の拠点を攻撃する。その直後、群馬県の駐屯地から進出し、他部隊から大量のヘリコプターを隷下に組み入れた『増強第12旅団』の対戦車ヘリコプター部隊が、中国特殊任務部隊の残った拠点を攻撃。自衛隊の中でも空中機動の最新鋭である第12旅団が離島奪回作戦に投入されるのも、また史上初めてのことだ。その直後、同増強第12旅団のヘリコプター『UH-60J』1群が佐渡島に侵入し、小銃小隊をヘリボーン(ヘリコプターで敵地等へ部隊を派兵すること)によって次々と投下。こうして、奪回作戦は本格的に開始されていくのだ。本格作戦の1日前、第1空挺団の主力部隊が駐屯地の千葉県習志野市から埼玉県入間市の入間航空基地へ移動し、発進準備を行う。一方、第12旅団のヘリコプターに乗った偵察部隊が、空中機動によって秘匿にて佐渡島に到着。来る地上主力部隊の到達エリアの安全を確保する。本格的な地上戦闘開始命令によって、第1段階攻撃が開始される。第1空挺団が入間基地から発進。先ず、主力を誘導する小隊が佐渡島近くの空域から自由降下し、『HAHO(高高度降下高高度開傘による長距離滑空)』によって、密かに佐渡島に潜入。降下エリアを事前制圧した後、自動索降下によって主力3大隊約300名が進入。敵の中国特殊任務部隊の背後から攻撃し、広範囲エリアを奪取する。更に、西部方面普通科連隊の水陸両用任務部隊が、『おおすみ』と『ひゅうが』から海上へ進出。佐渡島南部海岸から、水陸両用車(AAV7)や特殊ボート等によって上陸。中国特殊任務部隊の拠点の背後から攻撃し、目標のエリアを奪取する。また、第12旅団のヘリコプターに乗った小銃小隊が空中機動によって中国特殊任務部隊の背後から攻撃し、広範囲エリアを奪い返した。ここまで見てきた通り、攻撃主体は日本の自衛隊だ。アメリカ軍は調整機能を果たし、情報レベルでの支援をするに過ぎない。「これまでの日米軍事演習が、常にアメリカ軍主体か若しくは合同部隊であったのに対し、遂に自衛隊は自らが戦う軍隊へと変貌を遂げようとしているのが見て取れる演習内容だった」(前出の日米安全保障関係者)

第2段階になって、初めてアメリカ軍が登場する。アメリカ第3海兵遠征旅団は、AAVによって上陸。県道沿いに進攻し中国特殊任務部隊に攻撃を行い、広範囲エリアを制圧。海兵隊の攻撃と合わせて進出した第12旅団と共に佐渡空港一帯を完全確保した。こうして佐渡島奪還が完遂されるのだが、実はこの演習には裏の意味が込められていた。シナリオ上は確かに、油田の確保を狙った人民解放軍によって新潟県佐渡島が占拠並びに実効支配されたと設定されていた。だが実は、“隠されたシナリオ”は南西諸島の奪回作戦なのだ。「いくら極秘演習と言えども、沖縄県の石垣島や宮古島の奪回作戦との想定にすると、あまりにもセンシティブで無用なハレーションを招きかねない。そこで、敢えて“佐渡島”を想定地に選んだと聞いています」(政治部記者)。それを物語るように、シナリオは佐渡島奪回に留まらない。その後、人民解放軍が首都圏にまで攻撃を行うことが想定されている。人民解放軍は、日本の戦力形成や奪回に関わる輸送基盤を妨害し、国民の撹乱と有利な交渉条件を手に入れる為、首都圏の重要防護施設に対する撹乱作戦を実行するというのだ。先ず、通常弾頭の弾道ミサイル(非核兵器)が羽田・成田の両空港、入間・百里と横田の航空基地、晴海港・新潟東港・新潟西港と直江津港を襲う。また、アメリカ軍の基地がある横須賀・横浜ノースドック・厚木等も攻撃に遭う。更に、巡航ミサイル(非核兵器)が重要生活インフラであるダム等の貯水施設・原発を含む発電施設を急襲する。加えて、事前に違法入国していた人民解放軍の『コマンドゥ旅団』のコマンドゥ部隊が、日本の政府中枢をターゲットにした破壊工作を首都圏で敢行する。

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演習と言えども、想定されたターゲットを見ていくだけで寒気がする。日本銀行・放送施設・国家石油備蓄基地・政治家や自衛隊幹部等要人の暗殺……。そして、コマンドゥ部隊が大量破壊兵器を使用。毒ガス等の毒性化学物質を用いた化学兵器攻撃と、ウイルスや細菌を使った生物兵器攻撃が行われる。コマンドゥ部隊はそれらの兵器を手に、国家中枢機能への直接攻撃を行う。コマンドゥ部隊のうち、3個中隊が首相官邸へ、5個中隊が国会議事堂へ投入される。首相官邸には官邸警備隊がいるが、保有武器は機関拳銃の『MP5』に過ぎない。コマンドゥ部隊は爆薬を炸裂させる可能性が高く、3階正門の突破は容易だと推察される。東京航空交通管制部へは1個中隊、NHK放送施設へは10個中隊、東京スカイツリーには1個中隊、浄水場(東京都金町・埼玉県朝霞市等)へも其々4個中隊が投入され、関東圏が大パニックに陥ることが予測される。その中でも、特に危惧されるのが生物兵器の使用である。シナリオでは、数ある生物兵器の中でも『T-2マイコトキシン』が実際に使用されると想定している。同生物剤は取り扱いが簡単で、3~4時間で効き目が現れるという即効性がある。致死性の生物剤で、噴霧器による曝露が可能であることから、大規模に混乱を起こすことが可能だとしている。更に、同シナリオでは首相官邸こそが最大のターゲットとされた。国家中枢が麻痺することは、自衛隊の作戦に重大な影響を及ぼす。「首相官邸を防御せよ!」――それこそが対コマンドゥ部隊との戦いにおける、自衛隊の最も重要な任務となる。

コマンドゥ部隊が生物兵器を使用するのは、日米部隊が前述の“佐渡島奪還作戦”を行った直後のことだ。後方撹乱の為に準備される作戦である。そして“佐渡島奪回作戦”の進捗に合わせて、生物兵器のターゲットは拡大される。国家中枢施設の他に、渋谷・新宿・池袋・東京といった膨大な市民が行き交いする各駅や各地の浄水場でも、『T-2マイコトキシン』を噴霧器で拡散。更に、炭疽菌やリシン(潜伏期間は約1日と長いが、使いやすく致死性がある)の攻撃も想定されている。生物剤や化学兵器の被害は想像を絶する。直接的な被害は勿論、精神的なダメージも甚大だ。日本国民の厭戦気分を高めさせ、戦争継続能力を妨害することにもう1つの目的がある。シナリオには、放射性核物質の拡散や原発施設への攻撃、更にサイバー攻撃までもが記されている。前出の日米安全保障関係者によれば、それら特殊部隊の攻撃に対し、陸自の第1師団の普通科連隊と同隷下の第1特殊武器防護隊・衛生隊が即座に対応することになる。だが、都内各所において戦いは過酷を極め、多くの被害者が出る。シナリオでは、流石にその数までは想定していない。サイバー攻撃に対しては、極秘の対サイバー部隊による熾烈な空間戦闘が起こることも予測されている。全ての戦闘は、佐渡島を完全奪回するまでの約3週間続くとしている。このシナリオを、「机上の空想だ」と軽視する方がいるかもしれない。だが前述の通り、天文学的なデータを集積し、人民解放軍の装備や練度を推定し、1年がかりで準備されたシナリオには説得力がある。しかも“佐渡島”はダミーで、石垣島等の南西諸島が“真のシナリオ”だと考えれば、尖閣を巡って鍔迫り合いが続く中、この演習の持つ意味は大きい。

軍事演習の最中、陸上自衛隊やアメリカ陸軍の幹部の間では、幾度も「リアルなシナリオ」という言葉が飛び交ったという。陸上自衛隊は、これまで地域毎に各方面隊が独立した指揮権を持っていた。だが、2年後を目途に方面隊の上に陸上総隊を新設する予定だ。陸上総隊に指揮権は一元化され、より一体となった作戦を行うことが可能になる。今回の演習で、もう1つ変化があった。これまでは方面隊の総司令官たる『総監』がトップだったのだが、今回は初めて陸上自衛隊のトップである『陸上幕僚長』が作戦上の最高司令官となっているのだ。今、明らかに自衛隊はその姿を変え、リアルな戦争に備えようとしている。テロ対策等では無く、眼前に迫る敵に対峙する為に。


キャプチャ  2015年4月2日号掲載


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