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フリー女医の本当の年収、三流医大生“涙の就活”、コンタクトレンズ店のアルバイト料――現役女性研修医が「しがらみがないからしゃべっちゃう」医者の残酷格付け

医療現場を舞台にしたドラマや小説は相変わらず人気だ。だが、テレビや本では語られない人間くさい“裏事情”はもっと面白い! 都市と地方、一流医大と三流医大、教授とフリー…。立場が違えば、年収も出世コースもバイト先も、こんなに違うのだ。

「フリー医師というと、女子アナが成功してフリーになったケースと同じように見えるかもしれませんが、医者に関してはむしろ逆です。フリーになる理由の多くが、人間関係のトラブルで退職したり、女性の場合なら、家庭の事情で当直のノルマをこなせなかったり。ドラマでは主役が『失敗しないので』と言っていますが、そんなことあるはずがありません」。のっけから厳しい指摘をするのは、某一流大学の医学部を卒業して、今年研修医となったAさんだ。20代のAさんは、人気医療ドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』に主演する米倉涼子にも引けを取らない“美人女医”。だが、米倉が演じている『フリー医師』については否定的だ。「女医全般のルックスは米倉さんよりもちろん劣りますが、皆さんが想像しているより、美人な方が多いですよ。特に年配の方は一般人より収入がいいぶん、メンテナンスがしっかりしている人が多いです(笑)。ただ、患者のことより自分を優先するフリー医師に重篤な病気は見てもらいたくないし、生きるか死ぬかのときに患者さんがはたしてフリー医師を選ぶのかな、と。冷静に考えて、いざというときに誰が責任を取れるのかと思います」






現実の医療業界に、はたして“ドクターX”は存在するのだろうか。医療問題に精通する医学ジャーナリストの松井宏夫氏が言う。「実際にフリーとして活躍する医師は、近年増えていますね。ドラマに出てくる大門さんみたいに外科医でこれほどまでに優秀、かつ稼いでいるフリーの女医は聞いたことありませんが。私が知っているなかでも、内科の先生で3~4軒の病院を掛け持ちして働いているフリーの方がいます。年収は2000万円以上。あと麻酔科にはフリー医師が多いです。この分野は人手不足ということもあり、年収がそれだけで1500万円以上という方もいますね」。大門未知子は、「年収が1200万円」とドラマの中で語っている。勤務時間は午前8時から夕方5時までの9時間限定。時間外手当は時給3万円となっているが、実際のフリー医師の年収もそれくらいなのだろうか。「『毎週月曜日は△△クリニックで診察の仕事、火曜日は○○病院で当直…』というように、一般的な勤務医が“アルバイト”としてやっている仕事のみを掛け持ちする人。それがフリー医師といっていいでしょう。一般病院での日給が8万~15万円。当直で10万~20万円といったところ。そうやって稼いでいくと、年収は1000万~2000万円くらいになります」(Aさん)

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勤務医・開業医・フリーと、さまざまな道がある医師の世界。いずれにしても、まずは大学の医学部に入学しなくてはならない。上の各大学医学部の偏差値ランキングを参考に、Aさん(以下同)から話を聞いた。「関東なら東大・慶応大がトップ。東大の学生は、自分の大学以外の人に興味は持たず、同じ医局に他大学の出身者が入ってきても『眼中にない』という人が多い。慶応大の人は慶応出身で群れたいタイプが多いです。医局に他大学出身はほとんどいませんし、他大学出身の教授もまずいません」。医学部入学の難易度も他の学部と同じく、上位から下位まで幅がある。だが、どこの大学出身でも医師国家試験に合格しさえすれば、同じ医師だ。日本最難関の試験を突破するメリットは何なのだろうか。「もともとの医療レベルや設備面で優れているのは当然ですが、人脈面でも東大・慶応クラスはメリットが大きい。評判や交通アクセスのいい病院は、下位の大学よりも名門大学出身者で固めた病院のほうが圧倒的に多いのが現実です。さらに、どこの病院に行っても東大や慶応出身は一目置かれ、指導を受ける機会から出世まで、あらゆることで有利になります。もちろん、けっして超一流大学出身とは言えない天野篤教授(天皇の手術を執刀。日大卒)みたいな方もいます。外科医の評価に限っては、熟練の職人タイプというか、学歴ではない部分も多く占めています。それでも基本的には一流大学の方が恵まれており、下位の大学に現役入学するくらいなら、浪人しても一流大学に入ったほうがいい」

医学部の学費は、国立大学なら年間60万円弱。慶応で360万円、下位に行くほど授業料は高くなり、年間授業料1000万円以上で、寄付金も出せる財力が必要な大学もある。「私大の医学部は、入学金やら寄付を含めたら、6年間で数千万円の学費がかかります。それだけに実家はお金持ちが多いですが、なかには奨学金で入り、研修医になって返済が大変、という人もいます」。そんな苦労を重ねて大学を卒業。晴れて研修医となるが、どのように進路は決まるのだろうか。「医大生も就活しますよ。6年生の夏ごろには普通の大学生と同じように、東京ビッグサイトみたいな会場で説明会が開催されます。ここに研修生を募集する病院が多数来ます。医師の会社説明会みたいなものですね。学生は説明会だけでなく、人気の病院には何回も行って名前を覚えてもらうんです。特に偏差値が低い下位大学の人はスーツ姿で必死に走り回りますが、東大・慶応大の学生は、説明会に私服で行ったり、そんなところでも格差が出ます」

『研修』は出身大学の系列病院でおこなうものとイメージしていたが、必ずしもそうではないという。「ほとんどの学生が自分の大学の研修医にはならず、外の病院に“修行”に出ます。東大・慶応の学生ならほとんど残りません。理由は、若い先生たちが詰まっているため、研修医が行ってもそこでは実践を積ませてもらえませんから。研修医に人気の病院というのはあります。たとえば聖路加国際病院・虎の門病院・亀田総合病院。研修医の間では『ハイパ(上級)』と呼んでいますね。ちなみに逆の病院は『ハイポ(下級)』と呼ばれています。聖路加だと、5~6回は見学に行かないと入れません。態度なども審査されるし、難易度が高い。千葉県にある亀田総合病院は施設がよく、研修医の面倒をよく見てくれるといわれています。東京医療センターの場合は同期が多くて飲み会も多く、結婚できると人気が高い。逆に不人気な病院は、千代田区にある某病院。研修医に何もやらせず指導もしない病院なので、まったく身につかず苦労します」。国家試験に合格し、大学を卒業、研修医として2年間学んだ後、“本当の就職先”を決める。この場合、研修医時代に学んだ市中病院に残る場合と、大学に戻る場合がある。「研修医として自分の出身大学を選ばなかった東大・慶応大の人も、最後はほとんどが自分の大学に戻ります。だいたいは自分の大学は受かるといわれていますが、まれに面接で落ちる人も。もちろん、そのまま市中病院に残って就職という人もいます。『大学病院に入ると、どこに飛ばされるかわからない』と不安だったり、研究をやりたくない、といったタイプの人ですね。大学病院は基礎研究や症例発表・検討をしっかりやるところなので、それより早く臨床をやりたい、という人はこの道を選ぶ人が多いでしょう」

医師のゴールといえば、『白い巨塔』に描かれているように、教授の椅子がイメージされるが、やはり教授への道は“狭き門”だ。「初期研修を終え、後期研修に入った段階で、“医局”に所属することになります。医局とは、1人の教授を頂点としたグループ組織で、全国に系列の病院を持っています。一流大学の教授の医局ほど、系列病院の数や規模・地域に恵まれていますね。医局に入った医師は、系列病院に派遣されますが、系列病院の行き先、そして大学病院に戻る時期は、すべて教授次第。教授が人事権を持っています。医局員の数が多ければ多い教授ほど“やり手”といわれるんです。ただし教授になれるのは、医局の中で1人。内科はどこの大学病院も医局員が多いので、教授の椅子争いは熾烈です。平均年齢は30代後半から40代で准教授。50代で教授といったところでしょう。教授になれない准教授は、よその病院に転職していったり、開業したり」

ここで気になるのが医師たちの“収入”。けっこうな収入を得ている印象だが、さまざまなケースがあるようだ。まずは大学病院に勤務する医師の場合。「大学の研修医の場合、かなり安い。月30万から50万円で、ボーナスはなし。昔は大丈夫でしたが、現在この期間はアルバイトが禁止されています。年収は360万から600万円といったところ。ただし、医師が少ない地方の病院だと、年収800万円ほど。ある東北の市では、2年めで860万円出している病院もあります。医師が来てくれない田舎の病院ほど給料は高くなりますね。研修期間を終えて医局に入った先生は、最初の月給が8万円ほど。この月はまだアルバイトができません。その後はアルバイト解禁になるので、年収500万~600万円に。科によっては年収700万~800万円になります。意外に稼いでいるのが、医師免許を持っている大学院生の場合。臨床医よりも自由になる時間があるため、アルバイトをする時間がけっこうある。私の知り合いに、31歳で2800万円も稼いでいる人がいます」

一方、意外に低いと思われるのが、教授の給料。だが、これもからくりがあるようで…。「正規の年収は2000万円ほど。一見すると普通の医者と変わらないですが、さまざまな副収入があるのです。まず意外かもしれませんが、教授もアルバイトをしていること。教授ともなると、自分の裁量で時間を作れますからね。『毎週○曜日は休みです』と言っている先生は、だいたいアルバイト。さすがにコンタクトレンズ店では働きませんが(笑)、受け入れる病院にとっては“大学教授のハク”がありますから、日給もいい額になります。また、医局の人事権を持つ教授ゆえに、系列病院からの“付け届け”をもらえるケースがあります。大学や科によりますが、地方の病院は慢性的に人手不足ですから、若くていい医師を送り込んでもらうために、そういうことをすることもあります。そして最後が、患者さんからの“お礼”。金額はまちまちですが、1回で数十万~100万円渡す患者さんもいます。黙って自分の懐ろに入れる先生もいれば、医局員に分ける先生もいて。朝の回診のときにナースステーションの前で配る先生もいました」。開業医は別として、もっとも収入を得られる勤務医はどんな人なのか。「テレビのCMなどでお馴染みの某近視クリニックは、年収5000万円で求人していました。某有名美容外科では1億円もらう人もいます。ただ、美容外科業界は考えもの。形成外科学会に加盟していないただの美容外科は、医師が専門の資格も持っていません。だから訴訟件数も多いし、脂肪吸引1時間で100万円取るなど、値段も言い値です。羽振りがいい先生もいますが、医者たちからは尊敬されません」。ちなみに男女別での収入の格差だが、「2割くらい女性のほうが少ないと思いますが、働く時間次第。産休があると変わりますが、同じ条件で同じ年次なら、男女で差は少ないでしょう」

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さきほどから何度も出てくる医師たちの“アルバイト”事情。具体的な金額は上の表を参考にしてもらうとして、Aさんに解説してもらおう。「なんといってもラクでおいしいのはコンタクトレンズ店。時給は都内の店で時給1万~1万3000円ほどです。渋谷のコンタクト店で働くと忙しいでしょうが、地方だったらお客が1日1人とかですから。コンタクト店みたいなアルバイトはエージェントの紹介が多いですが、教授や先輩から『提携している病院に○曜日に行ってきて』などと、業務として行くこともあります。地方病院なら『週1回・2泊3日の勤務で40万円』なんて好条件も。それだけで月に120万~150万円は稼げます。特に高いのは、専門を持っている医師。婦人科の先生はお金が高いといいますね。子宮頸ガン検診は日給10万円以上、内視鏡も日給10万円はいきます」。もちろん金額だけでいえば、前出の美容外科のアルバイトは高いが…。「すごく大きな病院の外科部長が美容外科に来てくれるなら、1日50万円とか100万円、なんていう話もあります。これも医局の教授から許可が出ないとダメですけどね」

これまでにAさんに医者の格付けについて話してもらったが、はたして“偏差値”“地方”という医療現場の格差は解消されるのか。それについて前出の松井氏も認めつつ、こう語る。「確かに現在、医師は東京に集中しており、医師不足が囁かれた2006年ごろから顕著になってきました。今では東京から医師を1日呼ぶために、往復の飛行機代を出さないと来てくれないことも多い。また地方の医大に行っても、結局東京に戻ってきてしまっている。東京近郊の大学は偏差値も高く、どうしてもそこに集中してしまうんです。その対策として、地方に医師を戻そうと、10年ほど前から地域枠というのを作っています。たとえば福島県出身だったら、県内にそのあと研修医として残り、一定期間医師をやってもらう。医学部も宮城県と千葉県に新設される予定ですし、これからは地方にも医師が増えるのではないでしょうか」。急速に高齢化が進む日本で、誰もが公平に治療を受けられる制度を維持すること。それは、医学界に丸投げせずに、我々国民全員が知恵を絞らなくてはいけない課題だ。


キャプチャ  2014年10月25日増刊号掲載
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