新聞・テレビが報じなかった本誌記者との激突20分…高市早苗総務相“疑惑の記者会見”を撃つ!――「何の案件か知らない」「弟はコンサルを紹介しただけ」、“釈明”の問題点を明らかにする!

“捏造”とは、無かったことを事実のように仕立て上げることだ。本誌前号の疑惑報道を“捏造”と言い切った高市早苗総務相の緊急会見は、逆に“あったことをまるで無かったかのように”見せかける疑惑隠蔽のレトリックに満ちていた。高市氏の実弟秘書官が、国の融資に1億円以上の穴を開けた“幽霊企業”を救済する為の口利きをしていたのは、明らかな事実なのだ。

「酷い握造記事であると思っております」。高市早苗総務相は本誌前号発売日の4月6日に緊急記者会見を開き、本誌が報じた“消えた公庫の1億円”疑惑への実弟秘書官の関与について、激しい言葉で全面否定した。新聞・テレビも、“一部週刊誌”の報道として、「政府系金融機関から融資を受けた農業法人に1億円の使途不明金があることが発覚し、高市氏の実弟である秘書官が関わっていた疑いがあると報じたことについて、『見出しも中身もあまりに悪質であり、捏造記事だ。融資には、高市事務所も秘書官も私も一切関与していない』と全面的に否定した」(朝日新聞デジタル)等と、高市氏の言い分だけを一斉に報じた。高市氏の主張は、「公的金融機関からの融資には一切関与していない。事務所にも禁じている」というものだ。当たり前だ。国会議員が公的機関の融資に口を利くなど言語道断である。本誌前号が高市事務所の具体的な関与を指摘し、疑惑の核心として報じたのはその先の動きである。融資詐欺紛いの乱脈経営で国(日本政策金融公庫)の融資に大きな穴を開けた企業を救済する交渉に、当時自民党政調会長として国の政策全体に強い影響力を持っていた高市氏の実弟の公設秘書(特別職国家公務員)という“公人”が関わっていた問題だ。しかし、高市氏はその肝心な部分について、会見では「民間と民間のビジネスを紹介しただけ」と繰り返した。本誌記者がその説明を咎め、高市氏と20分以上に亘る応酬を行ったが、新聞・テレビは1行も報じていない。そのやり取りを書く前に、“消えた公庫の1億円”疑惑を振り返っておく。




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舞台となったのは、三重県で椎茸栽培等を行っていた農業法人『日本食林株式会社』だ。同社は政府100%出資の政策金融機閔『日本政策金融公庫』から総額2億2000万円(地元銀行分を合わせて2億4000万円)の融資を受けたが、本誌が入手した内部資料によればその大半が焦げ付き、しかも1億円以上の使途不明金を出していた。高市氏との接点は、日本食林の創業者(元社長)である森脇信之会長の人脈にあった。森脇会長は高市氏の地元・奈良県でビルメンテナンス会社『アスカ美装株式会社』を経営し、政治経済を扱う地元誌『月刊奈良』の発行人でもある。同誌を発行する団体の理事会長は、「高市代議士が初当選の頃からお世話になってきた」(高市事務所元秘書)とされる、奈良県の有力自民党県議の出口武男氏。出口県議にはアスカ美装の“相談役”という名刺もあり、森脇会長と近い関係にあることがわかる。森脇会長やその周辺は、日本食林の経営を心配する取引先に、「高市先生の案件だから、公庫の借金は心配いらない。高市先生が何とかしてくれる」と何度も説明して信用させていた。政治家の名前を勝手に使って相手を信用させ、カネを引き出すことはよくある。その場合、名前を使われた政治家は被害者の立場だろう。だが、森脇会長の「借金は心配いらない」との言葉は嘘ではなかった。いざ公庫が債権回収に乗り出して愈々経営が行き詰まると、高市氏の実弟の現総務大臣秘書官(当時は公設の政策秘書)が日本食林を救済(資金支援)する為に、日本食林関係者を連れて東京の投資会社ファンドに出向いていたのである。高市氏は、この紹介の事実を会見でどう説明したか。「“奈良県の経済団体の方”の紹介で、大阪市のコンサルタント会社の部長と税理士が議員会館を訪ねて来られて、私の政策秘書だった弟が民間の投資会社を紹介したことはある。政策秘書は森脇会長にも、森脇会長が経営する日本食林の関係者とも全く会っていない」。そう言われれば、高市事務所が仲介したのは“森脇会長とも、日本食林とも、全く関係無い投資話”であったように聞こえるだろう。事実は違う。高市事務所を訪れた“コンサル会社”は、森脇会長が率いるアスカ美装グループの役員が会長を務めており、最初から高市事務所に日本食林救済のスポンサー探しを頼んでいたからだ。「日本食林の関係者とも全く会っていない」とは言えない。

会見の質疑応答で、本誌はその矛盾を質した。一問一答を再現する。

──大臣の説明は大切なことを言っていない。大阪のコンサル会社が相談に来たのは、問題の日本食林に対する投資案件ではないのか?
「案件の内容まではわかりません。ただ、『ビジネスのスキームを持っていて、それに投資してくれるところを紹介してください』ということでした」

──持ち込まれたのは、1億円の使途不明金を出した日本食林への投資話だった。秘書官は知らなかったと?
「案件を一々精査して投資会社に紹介すると、案件に事務所が深く関与することになる。初対面の方にそういった対応はしない」

──高市事務所は初対面の相手からの投資話を、中身も調べずにファンドに繋ぐのか?
「民間の投資会社には専門家がいて判断する。『投資してくれる民間企業を紹介してくれ』ということだった。偶々、私の古い知人が投資会社の顧問にいたから、電話をして繋いで、1回目の投資会社への訪問の時だけは私の弟がついていった。訪問するにあたって、大阪のコンサルに『何の案件を審査したらいいかわかるような資料を揃えてきてください』ということで持って行って頂いた」

──その時の資料に、三重の日本食林の投資案件だと書かれている。それでも1億円の使途不明金を出している会社だと知らずに紹介したのか?
「それはわかりようがないと思います。だってその会社に行くときに何の資料も持ってきてくれないんだったら、ご紹介の仕様が無いので、『行く時には資料を持ってきてくださいね』と弟から連絡したといいます。弟が(投資会社と)会ったのはその1回だけ。今回、会見を開くに当たって念のために(投資会社の)私の古くからの友人に電話をしたら、『結果として投資はしていないが、高市事務所に報告していない』ということでございました。『御社に週刊誌は取材に行かれましたか?』と聞きましたら、『来ていない』ということでした」

──資料には日本食林の使途不明金の内容が書いてある。秘書官も見ている筈だ。
「余所の資料を、なぜ弟が見なきゃいけないんですか」

──初対面の相手に投資会社を紹介するのは理解できない。
「紹介状を持ってきた」

──出口県議の紹介状か?
「個人名は出さないでください」

──大阪のコンサルは日本食林の救済の為にやっていた。
「(貴誌は)大阪のコンサルを知っているのか?」

──勿論。営業部長も知っている。
「なぜ、記事に出ていないのか

──日本食林と一緒にやっていたからです。そのコンサル会社は現在は(活動実態が)無い。
「私にはわからない」

高市氏が述べたのは、「飽く迄も実弟の秘書官は、乱脈経営で公庫からの1億円以上の融資が使途不明になった日本食林への投資話とは知らないまま、初対面のコンサル会社部長を投資会社の事務所まで案内して引き合わせた」――という不自然な釈明だ。国会議員の事務所が、「カネを出してほしい」という相談者に内容も聞かずに金主を紹介するなど、常識ではあり得ない。況してや、高市氏自身が会見で「要望に対しては、古くから大変厳格なルールを適用している」と胸を張ったように、高市事務所では「どんな小さな陳情でも、内容を代議士に文書で報告して指示を受ける」(元秘書)という。大変立派な危機管理だが、それが今回は機能しなかったのだろうか。

高市証言の矛盾を1つずつ明らかにする。キーマンは2人。“コンサルの部長”と“紹介者”である。高市氏は会見で、「奈良県の経済団体の紹介」と曖昧に語ったが、紹介者は本誌記者の質問に名前が出た出口県議(奈良県の中小企業団体の会長を兼務)だった。“紹介者”である出口県議は、本誌にこう説明した。

「森脇(会長)から『日本食林が政府系金融機関から借りたカネが返せへん』『高市さん知ってるんやったら言うてよ』と相談されたから、高市さんの秘書に言うただけや」

――秘書に会った?
「会うてへんよ。秘書に電話しただけや」

――○○(コンサル会社の名前)は知っているか?
「知らん。全然知らん。森脇に言われたから、(高市秘書に)言うただけや」

出口県議は、「森脇会長を高市事務所に繋いだのであって、コンサル会社を紹介した訳ではない」と証言する。つまり、森脇会長が“コンサルの部長”を高市事務所に行かせたと考えるのが妥当だ。間違いなく“日本食林の関係者”である。

更に決定的なのは、コンサルが作成した資料の内容だ。高市氏は本誌記者との一問一答で、実弟がコンサル会社の部長に投資会社への説明資料を作成するよう依頼し、投資会社に同行して提出させた経緯を語った。本誌は日本食林救済計画に関わった関係者から、その説明資料とされる文書を入手している。表紙には『三重県鈴鹿市“日本食林”椎茸栽培施設の購入に関する件』という表題があり、日本食林への投資案件だとはっきりわかる。1枚目には「1億6000万円~2億4000万円の資本投資により、日本食林の不動産・椎茸栽培施設の購入及び○○(別の農業系企業の実名)の保証債務の清算」という要望内容が簡潔に記され、続くページには使途不明金についてこう書かれている。「公庫より借入れた一部3700万円が使途不明となり、当該部分の一括返済を求められた。更に、諸々の調査の結果、総額1億円以上の使途不明金が発覚した。そのため。自己再生が不可能と判断した。更に平成26年1月に公庫より借入金の全額の一括弁済を求められた」。その上で、「利益率10%のビジネスが行えると考えております。ゆくゆくは上場したいと考えている」と書かれ、“その後の展開”として、政府系の農林漁業成長産業化支援機構のホームページにある図を引用して、政府系ファンドを活用した業務拡大が謳われている。

資料には日本食林の借り入れ金額のリスト・運転資金のショートや元社長(本誌前号で報じたK氏)の急死・公庫からの返済要求等の経緯を纏めた年表等も添付されている。コンサルの部長を投資会社に引き合わせ、その席で資料を提出させた高市氏の実弟秘書がその資料を見てもいないとすれば、会談中は目を瞑って耳を塞いでいたとでもいうのだろうか。何より、実弟秘書が本誌に回答した文書の中で、コンサルの部長について「地元の方からの紹介で、ご指摘の企業(日本食林)をマネージメントしている企業の方と初めてお会いし」と、日本食林の関係者であることを正確に認識していたのだ。それでも、「何の案件か知らなかった」「日本食林関係者と面識が無い」と言い張るのは無理がある。「高市先生の弟さんが、自分が紹介したのは日本食林への投資案件だと知らなかったって? 悪い冗談でしょう」。日本食林救済に関わった関係者は一笑に付した。

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三重県鈴鹿市にある日本食林のガラスハウス。別の企業の看板が掲げられていた。

高市氏は会見で、「貴誌は基本的な事実がわかっていない」「大阪のコンサルを知っているのか」「投資会社に聞いたら、『取材を受けていない』ということだった」――と、恰も本誌が不十分な取材で疑惑を報じたかのような言い方をして“捏造”と断 じた。悉く認識が間違っている。大阪のコンサル会社部長がファンドに提出した資料には、関係者の名刺のコピーが添えられていた。そこには出口県議や森脇会長を始め、日本食林の代表・コンサル会社の部長・高市氏の実弟等、延べ9人の名刺が並び、出口県議は県議の名刺と共に、森脇会長が経営するアスカ美装の“相談役”という名刺の2種類があった。本誌はそれらの人物は勿論、日本食林の“消えた1億円”とその資金繰りに関わった会社の役員・関係者に取材し、日本食林の預金通帳の一部の写しから公庫融資の関連資料まで、数多くの内部資料を入手している。出口県議は、「日本食林についての相談を高市事務所に繋いだが、相談役の名刺には覚えがない」と語った。コンサル部長は、高市氏の実弟に相談したことをぶつけると、「何も答えられない。どうやって私の携帯番号を知ったのか」と慌てた。会見での言葉を聞く限り、高市氏は本誌がコンサル会社の部長の存在さえ掴んでいないと考えていたようだが、逆に現在、コンサル会社の活動実態が無いことを本誌記者の指摘で初めて知って顔色を変えた。そうした取材からは、国(公庫)の融資が詐欺同然に食い潰されていった実態の一端が浮かび上がった。日本食林は代表電話も繋がらず、1年ほど前から本社事務所には看板が消え、別の会社が椎茸農場を運営している。高市氏がファンドに紹介した時は、既に実態の無い“幽霊企業”同然だった。国の融資を食い潰された実態を知っていながら、それを見て見ぬふりして問題を秘密裏に処理しようとしたとすれば、公人として責任は重い。

本誌前号発売前に、奇妙な動きがあった。“自民党の顧問弁護士”から本誌編集担当者に電話が入り、「高市氏の秘書から事情を聞いている。秘書は森脇会長を知らない。裁判になったら、あなた方が真実の証明をしなければならない。会って説明したい」と要請してきた。担当者が「説明は高市秘書から直接聞きたい」と返答すると、その後に担当者の留守番電話に次のようなメッセージが残された。 「日本政策金融公庫に(高市事務所が)関与したか色々取材されているようですが、若し必要があれば私のほうから公庫に照会して、そうした事実が無いことを取り寄せることも考えます」。日本政策金融公庫は本誌取材に、「個別の融資案件には答えられない」と回答したが、個別の融資案件も取材内容も自民党には教えるようだ。自民党若しくは高市事務所と公庫がそこまで近い関係だとすると、益々疑惑は深くなる。同公庫は、「当公庫は政府の機関なので、大臣である高市氏の事務所には貴誌から取材があったことを報告した」(広報部)と“情報漏洩”を認めた。本誌発売前から、自民党と政府も一体となってこの疑惑に対策を練っていたことになる。とすれば、最早問題は高市氏1人では済まされない。因みに、後に高市秘書の代理人であることが判明するこの弁護士は電話で、「優れた技術力を持った会社(日本食林)なのに資金力が無かった。高市氏の秘書は、資金さえあればその技術を活かせると思ってファンドを紹介した。違法性は無い」と繰り返し説明した。この説明でも、高市氏の秘書は案件が日本食林への融資であることを知っていたことになる。しかも、1億円の公金を使途不明にして倒産状態に陥っていた幽霊会社を、ファンドに「優れた技術を持った会社」と紹介していたようだ。 高市氏は再び会見して、これらの矛盾を説明するべきだ。


キャプチャ  2015年4月24日号掲載
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