スクープ証言! 渦中の記者に決定的な証拠…『中高年と覚醒剤』密売証言者は知人のジャーナリストだった――NHK『クローズアップ現代』、新たなヤラセを内部告発!

既に看板報道番組でも何でも無い。9日に発表された『クローズアップ現代』のヤラセ問題の中間報告書に言及されていない、新たな“ヤラセ”が内部関係者の告発と本誌の取材により発覚した。担当は渦中の野本勝記者。問題の番組に登場する“密売人風”の人物は、その野本記者の知人であるジャーナリストだった――。視聴者を欺く取材で、ヤラセ報道を垂れ流すNHKの膿を絞り出す!

「先ずわかって頂きたいのは、うちの人間の大半は誠実に番組制作を行っているということです。1人が犯した過ちの為に全員が悪者に見られるのは心外だし、今後の取材等が非常にやりにくくなる。そこは是非書いてください」。A氏はこう前置きした上で、苦渋に満ちた表情で語り始めた。「“ヤラセ”はこの前の問題だけではない。他にもあります」。ここでその所属や年齢を明かすことはできないが、A氏はNHKに身を置く人間の1人だ。その証言は、新たな“ヤラセ”を示唆するものだった。本誌は独自取材でその真相を探った。

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ヤラセの舞台となった番組テーマは、昨年6月5日に放送された『中高年と覚醒剤~薬物汚染・拡大の真相~』。先ずは、番組内容を簡単に説明しておこう。 この回は、『週刊文春』による同番組の“出家詐欺”ヤラセ報道を受けて、先日の同番組内で謝罪をした看板キャスターの国谷裕子氏ではなく、近田雄一アナウンサーが司会を担当。取材担当の記者として番組にも登場する野本記者は、週刊文春で“主犯”と報じられた記者と同一人物だ。因みに、現在野本記者は大阪放送局に勤務している。先ず冒頭、テーマ音楽と共に、昨年5月に覚醒剤の所持・使用等の容疑で逮捕された歌手のASKAの映像が流れ、番組は幕を開ける。前半の約7分間は、中高年の間に覚醒剤が墓延している現状をリポート。昨年逮捕された高校の校長等の事例を紹介しつつ、覚醒剤の密売に詳しい人物や麻薬取締官らに取材した映像を流し、その合間に取材担当者として野本記者が登場、スタジオで解説を加えるというスタイルである。問題のシーンは開始から7分後、テーマが『脱法ドラッグ』(現在の『危険ドラッグ』)に移行してからだ。覚醒剤と同等の成分が入ったドラッグの蔓延をリポートする中にあった。20分過ぎ、ネオン煌めく繁華街の映像が流れ、更に“ハーブ”の看板を掲げた店や商品の映像がアップで映し出される。その直後、場面は繁華街の路上に停まっているバンに乗り込もうとする1人の男の映像に切り替わる。男の横には、取材担当者である野本記者の姿も映っている――。




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車に乗り込もうとしているのは、野本記者の知人のフリージャーナリストだ。この後、男が車内で最近の脱法ドラッグの売れ筋や成分等について語るシーンが流れるのだが、途中の約5秒間だけ画面の右端に「脱法ドラッグの密売に詳しい人物」というテロップが入る。全て男の1人語りで、野本記者が発する音声は一切入っていない。そして、男の語りの一部は画面下にテロップとして表示される。例えば、男はノートパソコンの画面に表示された脱法ドラッグの商品画像を差し示しながら、次のように語る。「この辺、殆ど覚醒剤的なものが入ってますね」。更に――、「バリエーションを増やす中で色んな薬を入れてきた」「そこで『これは売れるんだ』ということで、一斉に覚醒剤的な成分を入れるようになった」「もう覚醒剤的な成分が入っていないと売れない時代じゃないですか」。男の登場シーンは時間にして僅か1分程度だが、その間一度も「男がなぜ脱法ドラッグに詳しいのか」という説明は無い。モザイクで顔を隠し音声を変えた男が、車内でこっそり語るといったシチュエーションといい、その発言内容といい、これを見た視聴者は間違い無く「男が密売に関わる人間だ」と思う筈だ。少なくとも、ジャーナリストが語っている映像にはとても見えない。番組では男のことを「説法ドラッグの密売に詳しい人物」とするだけで、男の立ち場を一切明かさず、恰も密売に関わる当事者が語っているようなコメントだけを切り取った映像を流しているが、この男が野本記者の知人のフリージャーナリストであるならば、過剰演出と言っていい。専門家はどう見るか。ジャーナリストとして『NNNドキュメント(日本テレビ系)』のチーフディレクターを務め、現在は法政大学社会学部メディア社会学科教授の水島宏明氏に問題の映像を見てもらうと、水島氏は即座に「完全にアウト」と断言。更にこう続けた。「通常、調査報道において“~に詳しい人物”という出し方はしません。それを認めてしまうと、匿名で何でもできてしまう。しかも、ここではジャーナリストに取材していることを意図的に隠蔽して放送している。虚偽と言われても仕方の無い行為です」

証言自体は脱法ドラッグの実態に間違いは無く、一見すると“出家詐欺”の回でのヤラセ報道に比べ罪が軽い行為に思えるかもしれない。しかし、証言者の身分を明かさず“ある世界に詳しいとされる人物”を登場させ、恰も“当事者”のように見せかける手法は、完全な提造よりも巧妙で悪質だということもできる。これは意図した“ヤラセ”なのだろうか。本誌は取材を重ねるうちに、このジャーナリストを特定することができた。仮にX氏としよう。匿名を条件に、X氏は「カメラの前で野本記者のインタビューに応じたのは事実です」と重い口を開き始めた。彼はフリージャーナリストとして、特に出版界では名の知られた人物であり、裏社会系をテーマとした取材活動が多い。野本記者の取材に応じるまでの経緯はどんなものだったのか? 「4年ほど前、共通の知人に紹介され野本記者と出会ったのですが、これまで懇意にしてきた訳ではなく、偶に情報交換をするくらいの関係でした」。そんな野本記者からX氏に、番組放送日の3週間ほど前に電話が入った。「『今度番組で取り上げたいので、脱法ドラッグの現状を教えてほしい』という相談でしたので、私の知っている最新の事情を彼に語りました。暫くして、『今度はジャーナリストとして、カメラの前で顔出しで取材に応じてほしい』と打診されたのですが、今後の取材に差し障りがあると困るので、一旦はお断わりしたんです」。それでも野本記者は、それから更に数日後、「こういうことを語れるのは貴方しかいない」と食い下がってきた。更に、「顔を隠し、声も変える。絶対に誰にもわからないようにする」と。ここで初めて、X氏はその条件で取材に応じることにした。「ギャラも謝礼もありません。なぜ出ることにしたかというと、『脱法ドラッグの危険性を世に伝えることができるなら』というジャーナリストとしての使命感からです」

こうしてX氏は番組に登場することになった訳だが、自分がどのような立場で扱われるかに不安を覚え、何度も野本記者にその点を問い質した。「『向こう側(密売側)の人間としては映らないですよね? 客観的に知る人物として報じますよね?』と問うと、野本記者は『わかりました』と私に約束したんです」。では、“脱法ドラッグの密売に詳しい人物”という肩書きにすることは事前に説明されていたのだろうか? 「それも勿論彼に問いました。すると、『NHKの内規で、取材映像において密売人等裏社会の人間に取材をした場合は、“詳しい人物”ではなく“関係者”とする』との説明を受け、取り敢えず了解したのを覚えています」。X氏はそう言うが、“密売に詳しいジャーナリスト”としない限り視聴者を欺くことにはならないか? 「それはNHK側の編集の問題であって、私が問われる筋合いの話じゃない」(X氏)。収録当日の流れはこうだ。繁華街の喫茶店で野本記者と待ち合わせ、30分ほど2人で打ち合わせをし、撮影スタッフが待つバンに移動。約20分間、周辺を車で移動しながら収録を行った。その時、ディレクターやカメラマン等撮影スタッフの前で、“ジャーナリストのX氏”だという紹介は一切無かったという。最後に、「実際に放送された取材映像についてどう思うか?」と尋ねると、X氏は迷惑そうに顔を顰めながら言った。「放送後、番組を収録したDVDも送られてこなかったので、正直これまで真面に見てないんですよ。でも、今回こういう形で取材を受けることになり、改めて内容を確認したところ、確かに事前の約東とは違う使われ方をしているなと。これでは、密売人と思われても仕方ないと感じました。でも、それは私の責任じゃありません。飽く迄、野本記者のやったことです」。X氏は「自分も被害者である」と訴え、野本記者のやり方を批判した。

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それにしても、なぜこうしたことが起きるのか? 記者が連れて来る人間がどういう立場の人間なのか、事前にスタッフでチェックするシステムは無いのだろうか? 「このようなケースはあり得ません。通常はきちんとどのような人間を出すのか、事前に制作担当者に報告させています。しかし野本記者の場合、それなりの実績もあり、何より弁が立つ。人から意見されてもガンガン捲し立てて、自分の意見を通してしまう。そういうキャラもあって、つい見過ごされてきてしまったんだと思います」(NHK関係者)。しかし、本誌の意図は野本記者だけを吊し上げて糾弾することではない。彼のような記者を生み出したNHKの体質そのものを問う必要があるのだ。前出の水島教授が語る。「国民から受信料を取っているNHKで、こんな社撰なことがやられているとしたら、それは組織そのものを根本から変えないといけない。真っ当な記者やディレクターであれば、こういうことは絶対にしない訳です。私もよく知っていますが、NHKという組織は相当競争が厳しい会社です。兎に角、目立って手柄を立てないと東京に戻れないし、陽が当たらないままです。そんなプレッシャーが野本記者を追い込んでいったのではないでしょうか」。冒頭で勇気ある告発をしてくれたA氏も言う。「私は組織の人間ですが、それ以前に1人の記者でありジャーナリストだと思っています。ですから、このような事案は同じジャーナリストして到底看過することができません。組織としてのチェック態勢の甘さがあったのも事実だと思います。これを機会に、真に国民から信頼されるメディアになってくれることが私の唯一の願いなんです」

首謀者と見做されている野本記者の携帯電話に電話したが、応答は無かった。NHK広報局はこう回答した。「番組で取り上げたのは“脱法ドラッグの密売に詳しい人物”であり、“売人”と字幕スーパーしたり紹介したりしておらず、密売人を窺わせるようなコメントもしていません。取材源の秘匿の観点から、この他のコメントは控えます」。7日、NHKの堂元光副会長は自民党の情報通信戦略調査会の呼び出しを受けた。先日発表されたヤラセ問題に関する中間報告でも、明確な答えを出したとは言い難く、保身的な対応が批判の的にもなっている。放送法第3条で唯一受信料の徴収が認められているNHKだからこそ、自らの犯した過ちにはどこよりも厳しい対応が求められている筈だ。


NHK『クローズアップ現代』第3509回 『中高年と覚醒剤~薬物汚染・拡大の真相~』
http://megalodon.jp/2015-0425-1318-59/www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3509_all.html


キャプチャ  2015年5月5日号掲載


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