欧州鉄道3強の壁崩す、日の丸部品が攻勢――三菱電、制御部品30億円受注…東芝、モーター省エネ前面

鉄道部品各社が欧州市場の開拓に乗り出した。三菱電機はドイツ高速鉄道用車両の電機品受注で市場参入ののろしを上げた。欧州では独シーメンスなど世界3強が各グループ会社を核に部品供給網を築き、日本の部品大手に食い込む隙がなかった。ついに日の丸部品が鉄道3強の壁を崩し始めた。

「3年近く追ってきた案件。これで欧州市場でスタートを切れる」。9月に独ベルリンで開かれた、鉄道業界最大の見本市『イノトランス』。三菱電機は会期中にドイツ鉄道の顔である高速鉄道車両『ICE』の電機品受注を発表した。大島猛社会システム海外事業部長は現地で安心した表情をみせた。“ベルリンの壁”ならぬ鉄道の壁を崩した瞬間だ。約30億円という受注規模以上の意味を持つのが、インバーターなど推進制御機能を担う基幹部品の納入であること。欧州大手がひしめく電機品の案件で競り勝ち、走行性・安全性に関わる部品で独初受注を手にした。鉄道関係者が一堂に会するイノトランスでの受注発表は他国の評判も呼び、欧州本格参入の挨拶がわりとなったようだ。






欧州の鉄道界の壁となっていたのはシーメンス、仏アルストムにベルリンに鉄道部門の本社を置くカナダのボンバルディアだ。売上高8000億~9000億円程度で並ぶ車両大手の『鉄道ビッグ3』は、モーターやインバーターなどの電機品の供給網をグループ会社などで強固に構築した。垂直統合型モデルを築き、日本の部品大手の参入を阻んできた。三菱電機が今回受注できた背景には、欧州で進む省エネ化がある。社会全体で二酸化炭素(CO2)削減の動きが進む中、多くの電機品を積み電力を動力源とする電車も例外ではない。大幅なエネルギーの低減が求められており、日本勢が培ってきた省エネ技術が脚光を浴びようとしている。三菱電機も省エネ半導体技術を活用し、消費電力の低減を訴求したことが奏功した。

省エネ化が命題となる欧州市場での事業拡大をもくろむのは、東芝も同じだ。阿部公彦鉄道システム統括部長は「やっとチャンスが来た」と、欧州開拓に向けてアクセルを踏み込む。売り込みの核は、永久磁石を使った省エネモーターだ。永久磁石同期モーター(PMSM)は永久磁石を利用してモーターを回転させる仕組みで、一般的な誘導モーターに比べ20~40%の消費電力削減が可能だ。このほど東京メトロに納入した炭化ケイ素(SiC)を使ったインバーターとPMSMを組み合わせた駆動システムは「世界一の省エネ性能を持つ」(阿部氏)と自信を示す。シンガポールで政府系鉄道事業者と合弁会社を設立。欧州でもパートナーを探していく方針だ。

車両に組み込む機器が軽ければ軽いほど、推進に使う電力は低減できる。ナブテスコは機器の軽量化による省エネ効果をうたう。国内で7割のシェアを握るドア駆動装置を売り込む。海外向け機種である『ラックスター』は材料の工夫などで従来の自社製品に比べ約10kg軽く、業界最軽量を実現した。1つではたった10kgだが、駆動装置はドアひとつひとつに組み込む。ドアの構成次第では1車両あたり100kg近くの軽量化につながる。昨年買収したイタリアのドアメーカーを通じ、ビッグ3を攻略する。同社が持つ販路を通じて売り込みをかけるほか、生産も現地化。伊牟田幸裕執行役員は「ドアで構築した信頼関係を将来的にブレーキ部品に広げていきたい」と青写真を描く。派手に本格参入の名乗りを上げた三菱電機も、したたかな一手を打っている。買収したイタリアの空調機器メーカーを活用し、来年にも三菱電機の空調機器を現地生産する予定だ。空調システムを皮切りに、ビッグ3との取引拡大を目指す。

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年間20兆円超とされる鉄道関連ビジネスのうち、3割強を欧州が占める。アジアや南米に比べ成長率は劣るが、今後も年1~2%の成長を続ける見通しだ。日立製作所や川崎重工業など日本の車両メーカーも海外展開を急ぐが、欧米勢に比べ規模は限定的だ。日立は英国で高速鉄道車両を大型受注したものの、欧州本土の受注はこれから。川重は米国など戦略地域を絞っており、「欧州は狙う市場ではない」(金花芳則常務)。最大市場の果実を得るには、車両大手の懐に入り込むしかない。ビッグ3は欧州だけでなく、アジアなど新興国でも強さをみせる。日本の部品各社が欧州市場で信頼を獲得できれば、世界規模での受注拡大が期待できる。欧州経由新興国行きの列車に飛び乗るのは、どのメーカーになるのか。受注競争はさらに激化しそうだ。 (岩戸寿)

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キャプチャ  2014年10月16日付掲載
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