【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(07) 日本にガチンコの議論が無いのは、大多数が“現状維持”を望むから

「日本はどう変わるべきか?」。この問い掛けに、皆さんはどう答えるでしょうか? 僕の経験則で言えば、問題点を指摘して「こう変わるべきだ」と話すと、右派からも左派からも巧妙に形を整えた“現状礼賛”で切り返されることがよくある。右派は「移民なんて必要無い、このままでも日本はうまくいく」。左派は「TPPなんて必要無い、アメリカの奴隷になるだけ、今のままでいい」。現実を見ず、問題提起を根底から覆し、永遠に結論を出さない。「変わる必要性がどこにあるの?」という詭弁で切り返されてしまうと、もう議論は永遠に進まない。

僕はそんな時、英語の“token”という言葉を思い出す。“形ばかりの”という意味で、何か良くないことを指摘される前に、見栄えを良くする為だけに手を打っておく……というような時に使う言葉です。ある企業が男女平等をアピールする為に、女性社員を部長に昇格させたとする。それ自体はいいんだけど、実はその女性部長は「私は厳しい時代に頑張った。貴方たちも自分の力で頑張れ」と、後輩社員があまり権利を主張しないよう働きかけていた。つまり、“現状を維持したい体制側と、そこに既得権があるマイノリティ”による共同統治。こうなると、一種のtokenです。これ、実は大英帝国の植民地統治モデルと同じです。例えば、インドではマイノリティのシーク教徒を重用した。すると、マジョリティであるヒンドゥー教徒の怒りは、本当の支配者である大英帝国ではなくシークに向かう。一方、シークは大英帝国がいなければ“ただのマイノリティ”に戻りかねないから、憎まれ役も厭わず協力する。日本の場合、自民党と共産党の関係がまるでtokenのように思える。皮肉なことに、両党は「現状維持がいい」という本音の部分が共通しているんです。共産党は権力に反対し、キラキラした目で“一番弱い人”を見つけ、助けに行く(ポーズを取る)ことで票を集める。そこに一定の意味はあるんだろうけど、実際のところは弱者が生まれる構造を本気で変えようとはしていない。寧ろ、結果的にガス抜き効果が生まれて、権力の安泰に寄与していると思う。




こういう話をしても、よく「海外よりマシ」と現状を肯定する人がいます。確かに、一党独裁の中国や、“愛国心”という言葉に皆が思考停止する韓国と比べれば、日本は健全な状況かもしれない。でも、はっきり言って日本にもガチンコの政治議論は無い。なぜかと言うと、野党や左派メディアの多くが、本音では「現状維持でもいい」と思っていて本気じゃないから。その論理破綻がある限り、ちゃんとした議論にはならない。自民党は最近、“愛国心カード”に代わって“経済こそ正義カード”を巧みにプロモーションしている。権力に追随して沢山儲けたヤツが偉いという、所謂“経済右翼”路線です。全ての議論を“経済性”の一言で済ませてしまう。これから先、自民党に対抗できる進歩的なリベラルが出てくるかどうか……。ここまで来ても、やっぱり日本人は「面倒だから」と議論を放棄するんでしょうか?


Morley Robertson 1963年生まれ、ニューヨーク出身。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、BSスカパー!『NEWSザップ!』、ニコニコ生放送『モーリー・ロバートソンチャンネル』、Block.FM『Morley Robertson Show』等にレギュラー出演中。


キャプチャ  2015年3月16日号掲載


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