【巨大特殊法人・NHKの裏側】(後編) 受信料で築いた不動産王国――紀尾井町・青山…全国各地に土地・豪華施設・保養所を保有

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東京都千代田区紀尾井町にある日本放送協会(NHK)の千代田放送会館。『ラウンジ千代田』は広々としており、ソファ等調度品も行き届いている。高級ホテルと遜色無い豪華さだ。それもその筈、NHKが運営を委託するのは『ホテル二ューオータニ』の子会社である。平日の昼下がり、ラウンジ内では40代と思しき男性職員がパソコンを打つ手を止め、店員と親しげに話していた。ここは一般にも開放されているが、左手にある螺旋階段を上って2階に行くには職員証が必要。イヤホンマイクをつけたスーツ姿の男性が、厳重にガードしていた。巨額の新放送センター計画を進め、関連団体には1000億円超の剰余金。組織の肥大化が著しいNHKだが、職員の福利厚生施設もまた国民の受信料で支えられる“公共放送”らしからぬ充実ぶりである。それはNHK本体だけではない。幹部が続々と天下る関連団体が関係する施設群を調ペていくと、その職員厚遇ぶりに開いた口が塞がらなくなる。

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東京都港区南青山――。高級ブランド店が立ち並ぶセレブなエリアに『NHK青山荘』はある。クリーム色の外観をした5階建て。NHK職員向けに割安価格で宿泊宴会サービスを提供する施設で、約1200㎡の土地に建つ延べ床2900㎡の建物はNHKの所有。施設を運営するのは、一般財団法人の『日本放送協会共済会』である。受験シーズンともなると、地方から上京した職員の子供たちで予約は満杯になるという。基準地価から計算すると、土地代だけでも約120億円は下らないのに、宿泊料は親族等関係者であれば数千円という破格の安さだ。共済会はNHK職員の福利厚生事業を行う為に設立された団体で、総資産は400億円近くにも上る。主力事業とするのは、職員向けの住宅ローン(残高270億円)や退職者への医療援助・災害共済事業である。職員にとって、まさに至れり尽くせりだ。『日本放送協会健康保険組合(NHK健保)』も豪華な直営保養所を持っている。箱根の『汲流荘』(神奈川県箱根町)・岩井の『南房荘』(千葉県南房総市)・京都の『洛風荘』(京都市左京区)の3ヵ所がそれである。




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(左)箱根の一等地・強羅にある汲流荘はテニスコートを併設。鬱蒼とした森林に囲まれ、周辺は有名企業の保養所が立ち並ぶ。
(右)千葉県南房総市の南房荘は、岩井海水浴場まで徒歩圏内。都心からは車(高速道路)か電車で2時間程度の距離。


汲流荘は広さ1万1500㎡の広大な敷地を誇り、南房荘は内房の絶景パノラマを一望できる。平安神宮や南禅寺に近い洛風荘は古都の町並みに溶け込んだ端正な和風建物で、敷地内には立派な日本庭園まで拵えられている。勿論、職員は格安料金で利用可能。情報公開制度を使って入手したNHK健保の2013年度決算書によると、1人当たり平均利用料は約4500円。対する責用は同じく約1万4000円かかっているから、まさに出血サービスである。3ヵ所の利用者数は年間計1万3000人強。健保組合は年間約1億2500万円を赤字補填している格好だ。NHK職員の健保制度は実に恵まれている。例えば、分娩費用を負担してくれる 出産育児一時金では法定42万円のところ、NHK健保は更に15万円もの上乗せ給付を行っている。高額療養費や傷病手当金等も同様だ。NHK健保は2013年度に別途積立金を20億円も取り崩しており、財政は楽でない筈。当然、お金が足りなくなればNHK本体の予算、つまりは視聴者が支払う受信料が充てられる可能性が極めて高い。前身も含めれば、戦前からの歴史を持つNHKが全国各地に夥しい数の不動産を持っているのも特筆すべき点だ。単身寮や家族寮は、都内だけで広尾・北新宿・下目黒・八雲・代沢・赤堤・松原・経堂……数え上げたら限が無い。昔に比べ、民間の物件は豊富になった。他方、寮は建物の老朽化が著しい。あるNHK職員は、「社宅や寮は最近人気が無くて、あまり入る人がいないよね」と関心すら持っていない様子である。

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(左)京都市左京区岡崎にある洛風荘。名刹・南禅寺に程近く、京都市美術館や平安神宮も徒歩圏内という京都観光の一等地だ。
(右)高級旅館そのものといった門構えの洛風荘。表札は出ているが、“NHK”という文字は見当たらない。高い塀で囲われ、内部を窺うのも難しい。


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『非現用不動産』――。NHKの決算書にはそんな用語がある。寮の他に運動場やラジオ施設等の使わなくなった不動産のことで、2013年度末には薄価7億円が計上されている。9269億円もの総貢産を抱えるNHKにとっては取るに足りない額にも見えるが、然に非ず。NHKが持つ不動産はどれも取得価格が恐ろしく低く、売却すれば相当な高値で売れるからである。前述した7億円の審価に対し、NHK自身が鑑定評価基準を使って弾き出した時価は180億円と、25倍以上にもなる。実際に売却すれば、それ以上の値が付く可能性は高い。例えば昨年12月、NHKは東京都杉並区久我山に持っていた『富士見ヶ丘運動場』(2006年3月閉鎖、広さ約5万㎡)を東京都に売却したが、実に136億円もの値が付いた。NHKは毎年、物件数ヵ所を非現用不動産に振り分け、同程度を外部に売り払っている。そうした洗い出し作業をもっと徹底的に推し進めれば、カネを捻り出すことはいくらでもできる。NHKが持つ土地の簿価は466億円。これを時価に引き直せば、兆円規模に達するかもしれない。抑々、不要不急の不動産を長年持ち続けること自体が異常だ。今年3月6日、NHK名古屋放送局5階の会議室である入札が実施された。件名は“志段味旧運動場除草作業”。地元の造園会社が98万円で落札した。志段味運動場(右写真)は名古屋市東部の丘陵地帯にあり、近年は近くまで住宅地が迫っている。閉鎖されて久しいが、訪れると随分綺麗なものである。使ってもいないのに業者に頼んで年2回の除草作業を続けているからだ。そんなもの本当に必要なのか? それが“皆さまのNHK”の真の姿である。 (取材・文/ジャーナリスト 高橋篤史)


キャプチャ  2015年4月10日号掲載


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