セブンイレブン、関西の味どこまでも――総菜の7割、地元仕様に…シェア4割目前、地方の日販底上げ課題

セブン-イレブン・ジャパンが地域の嗜好に合わせた商品の開発に力を入れている。昨年4月に西日本プロジェクトを設立。関西の市場に並ぶ食材や飲食店の味を徹底的に研究し、今秋にも弁当や総菜の7割を関西仕様に切り替える。目指すのは地元の人々から「セブンの味は慣れ親しんだ味」と感じてもらうこと。セブンの西日本の味への挑戦を追った。

「関西で使う昆布はこれくらいの厚みが必要だろう」「種類は真昆布がいいですね」――。こんなやりとりをしながら“大阪の台所”と呼ばれる黒門市場(大阪・中央)に足を運ぶのはセブンイレブンの西日本プロジェクトのメンバーだ。この春に同プロジェクトを発足して以降、ダシのベースとなる昆布などの乾物を市場や商店街で見て回ったり、老舗の料理店を食べ歩いたりしている。メンバーの1人、中村功二シニアマーチャンダイザーは「関東の人が勝手に想像した“関西風”になってはならない」と肝に銘じている。1974年に日本に1号店が開業したセブンイレブンだが、関西に進出したのは1991年から。今では全国1万7000店中、関西の2府4県に約2000店を展開するものの「東京に本部があるため、多くの商品は関東の味が基準となっていた」(中村氏)。しかし、コンビニは総菜や弁当が充実し、消費者も日常的に利用することが当たり前。このため、食べ慣れた味とのちょっとした違いで売り上げに差が出る。そこで立ち上げたのが西日本プロジェクトだ。






同プロジェクトでは実績のあるメンバーも参加し、関西の味を一から研究している。リーダーには高級プライベートブランド(PB=自主企画)のカップ麺『セブンゴールド 日清名店仕込みシリーズ』を担当した石橋誠一郎氏が就任。中村さんも大ヒットとなった『金の食パン』の開発に携わった1人だ。「1つの商品だけを変えても『セブンイレブンの味はおいしい』とはならない。そのためには関西の歴史や食文化を学ばなければ、地域の人々の嗜好を反映した商品はできない」と石橋リーダーは狙いを語る。

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10月8日午前、大阪市内にあるセブン-イレブン・ジャパン大阪地区事務所の一室はピンと張り詰めた空気に包まれていた。同社の担当者や食品メーカー・総菜業者で構成する西日本プロジェクトのメンバー約20人が集結。10月末に発売を予定する関西地区限定の新商品について、味などの最終確認がされるためだ。「鶏(肉)の処理はどうやってるのか」「塩の味が強くないか」。中村氏が担当者に尋ねる声が会議室内に響き渡る。メンバーが試食していたのは電子レンジで温めて食べるレンジ麺『お出汁かおる 鶏卵あんかけうどん』だ。前回まではスープの味が単調だったり、逆に濃すぎたりという課題があり、その調整が求められていた。

西日本プロジェクトで最も力を入れたのが、関西の人々の舌になじんだ『お出汁』を作り上げることだ。以前に発売した商品でも、関西のダシを再現したうどんなどはあった。しかし、だしは麺類だけでなく煮物など多くの料理の基本となる。そのため、今回はだしを使うすべての商品を見直した。「“お出汁”は関西の料理の基本。その味をしっかりと再現しないと“セブンの味=関西の味”にはならない」(石橋リーダー)。関東のだしは、カツオ節と昆布のほかに豚や鶏、さらにシイタケも加え、様々な食材が複雑に絡み合い、濃いめの味となる。一方で関西は使用する材料の8割以上は昆布とカツオ節。そのため、どの種類の昆布をどれくらいの量使うかがカギになる。有名料亭のダシの取り方を参考にし、工場では昆布のカットの方法から見直したという。

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9月から発売した『お出汁』を取り入れた商品がある。セブンプレミアムの『かつおと昆布の風味が利いた切れてるだし巻き玉子』だ。これまで卵焼きと言えば全国共通で『切れてる厚焼き玉子』を販売してきたが、県別の売り上げで見ると大阪などの関西地区は最下位に近かった。しかし関西地区限定でダシから変えた『かつおと昆布の風味が利いた切れてるだし巻き玉子』を発売すると、関西地区の卵焼きの売り上げは全国1位に。見た目ではほとんど変わらない2商品だが、石橋リーダーは「慣れ親しんだ地域の味を再現すれば、お客さんも理解してくれる」と手応えを感じている。このほかに研究を重ねたのが、ハンバーグやロコモコ丼などに使われている『デミグラスソース』だ。関西は牛肉を好む食文化があり、なかでも関東ではなじみの薄い「牛すじ」は庶民の味として根付いている。洋食文化が独自に発展してきた神戸では、デミグラスソースに牛すじを使用し、とことんまで煮詰めるのが特徴という。そのため今後、関西のセブンで使うデミグラスソースでは牛すじを使用。煮込む期間も関東より長く、関西の工場では3日かけて製造するという。

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セブンはこれから順次、関西地区限定の商品を投入していく計画だ。10月末までには約230品ある弁当や総菜の7割を地区限定商品に切り替える。さらに一部商品では、大阪・京都・兵庫などの府県単位で味を変えていく。例えば、おにぎりではその地域でより好まれている具材を使った商品も発売する。石橋リーダーは「奇をてらったモノを出そうとしているわけではない。セブンイレブンに来れば『慣れ親しんだ味の商品が手に入る』と思われるような商品を開発していきたい」と話す。 (松田直樹・原島大介)

               ◇

セブンイレブンが課題としているのが地域ごとの売り上げの差だ。日経MJの2013年度のコンビニエンスストア調査によると、最大手のセブンの全国シェアは既に38.5%まで広がり、4割が目前に迫っている。ただ、本部のある関東に比べると、地方では“地域性”を反映した商品を十分にそろえておらず、売り上げを伸ばす余地がまだあるという。西日本プロジェクトもその流れの1つで、今後は同様の試みを全国に広げていく。4月の消費増税以降、消費者の財布のひもは依然として固いままで、スーパーに比べて価格の高いコンビニは苦戦が続いている。鈴木敏文会長は「モノ余りの時代で、消費者は本当に価値のあるものしか買わなくなっている」と語る。そのような状況下で売り上げを伸ばすのは価格訴求ではなく「地域性をとらえた独自商品」としており、そのために立ち上げたのが西日本プロジェクトだ。

セブンイレブンの2013年度の1日1店あたりの平均売上高(日販)は66万4000円に対して、2位のローソンは54万2000円、ファミマは52万1000円にとどまる。ただ、「同じセブンでも東京と大阪の日販を比べると数万円の差があり、まだまだ改善の余地がある」(鈴木会長)。セブンの日販を地域別に見ると、人口が最も集中する東京が一番高いが、大都市の大阪などは「東京並みの日販に引き上げることが可能」とみている。地域ごとの商品開発を可能にしているのが、全国に約160ある専用工場だ。すべての工場でセブン向けの商品のみを作っているため、細かな製造方法の変更にもすぐに対応できるようになっている。今後は地域の嗜好を取り入れた限定商品を西日本だけでなく九州や東北の店舗でも増やしていく計画だ。


キャプチャ  2014年10月17日付掲載
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