fc2ブログ

【私のルールブック】(01) 土下座をしてでも一緒に仕事をしたい人

今週号から連載をさせて頂きます、坂上です。宜しくお願いします。記念すべき第1回のお題は、「土下座をしてでも一緒に仕事をしたい人」。土下座か、何か古いな。今時する人いるのかな? それは扨措き、私、物凄く好き嫌いが激しいんです。基本、一度仕事をして「嫌だな~」と思った人とは、二度と仕事を共にしたくない。皆、想いは同じですよね。それを有言実行するかしないかの差だけであって。で、逆に何としてでももう一度仕事をしたいと思える“人”。私の場合の人とは、監督であったりプロデューサーであったり共演者であったりする訳で。基準は簡単です。その人の仕事振りに共感できるかできないか。極論に近くなりますが、性格はどうでもいい。飽く迄も仕事における顔にしか興味が無いので。それは身内のスタッフにも言っております。「無駄に僕の機嫌を取る必要は無い。兎に角、自分の仕事を妥協無くやってくれればそれでいい」。要は、妥協のラインですかね。

例えば、監督。ドラマの撮影は待ち時間が長い。誰だって待つのは苦痛ですよね。でも、「より良いカットを撮ろう」とスタッフの皆さんがライティングだ何だに拘っている姿は、見ていればわかる。それが感じられれば幾らでも待てる。ですが、単純に段取りが悪くて待たされる場合もある。すると、私のイライラは募る。簡単なことなんです。私も映画の監督や舞台の演出をしますが、監督の仕事の多くは、「如何に人(スタッフ)を気持ち良く動かすか?」に尽きる。「こういう作品にしたい」「このシーンのここのカットはどうしても拘りたい」。慈善に監督の狙いや想いがスタッフに伝わっていれば、自ずと現場は活気づく。それでも緩みを感じた際は、私が直接叱るのではなく、撮影部であれば撮影部の長に耳打ちをし、修正してもらう。そんな様子を、役者は事細かに観察しているものなんです。




統率の取れている現場は、見ていて気持ちがいい。自然と物作りに参加している気にさせられる。監督の無茶な要求にも何とか応えようと素直に思える。恐らく、プロ野球の監督も映画の監督も企業の一部署の上司も同じだと思います。そして、ドラマもバラエティ番組も変わらない。よって、私が今現在お付き合いをさせて頂いているバラエティ番組の数々は、その番組に携わるスタッフさんの仕事振りの“顔”に惚れたものばかりな訳です。よく、「ドラマとバラエティ番組の違いは?」と取材等で訊かれますが、“ものを作る”という意味では根本は何も変わらない。如何にお客様に喜んで頂くか? どちらも根っこはそれしかありませんからね。因みに、「役者の立場で、土下座してでも仕事をしてみたい監督は?」と問われたら、相米慎二監督・恩地日出夫監督・降旗康男監督ですかね。相米監督は亡くなられましたが、何れも究極の拘りの監督です。待ち時間、半端無い。でも、あの現場の空気にもう一度触れてみたい。“拘る”ということは、“時間がかかる”ということ。“時間がかかる”ということは、“役者のイライラが募る”ということ。でも、そのイライラが快感に変化する現場を作ることが、どれだけ困難なことか。役者ってね、ドSとドMの生き物なんです。


坂上忍(さかがみ・しのぶ) 俳優・タレント。1967年、東京都生まれ。テレビ出演多数。子役養成に舞台の脚本・演出等、多方面で活躍中。


キャプチャ  2015年5月7日・14日号掲載
【送料無料】 鉄道員(ぽっぽや) 【DVD】

【送料無料】 鉄道員(ぽっぽや) 【DVD】
価格:2,722円(税込、送料込)



スポンサーサイト



テーマ : 俳優・男優
ジャンル : 映画

Categories
Profile

KNDIC

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR