【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(15) “日本を蝕む悪の在日”というヘイトデマはなぜ広がったのか?

昨今の日本社会に渦巻く“在日”に対する差別とヘイト。昭和の時代からこうした主張は極一部の人々が行っていましたが、なぜ近年これほど目立つようになってしまったのでしょうか? 2000年代以降、大手を含む多くの出版社が日本人の自尊心や愛国心を回復することを謳った“右翼・保守系作品”を出版するようになり、無視できない市場が誕生した。恐らくその背景には、漫画家の小林よしのり氏等、1990年代以降にヒットした保守系論陣に便乗したいという狙いがあったのでしょう。このジャンルの一連の作品では決まって、中国や韓国・北朝鮮等の“悪い政治家”やそれに追随する“売国日本人”が、読者の敵愾心を煽るように醜く狡い人物としてデフォルメされて登場しました。ここから思想を2次的に引用し、野次馬的にエスカレートさせた一定数の人々が、「在日なら憎んでもいい」というような考え方を広めていった面は否定できない。

日本全体で見れば勿論、彼らは少数派。でも、そこにインターネットが加わり、彼らの声はどんどん増幅された。守りに回った左派政党・メディアの失態が相次いだこと、グローバリズムが浸透し、弱肉強食の美学が喧伝されたこと等も追い風になったかもしれない。2000年代中頃にネット上に出現した初期の在日ヘイトは、ただの悪趣味なアミューズメントでした。しかし、2010年前後にUstream等の動画配信サービスが登場すると、“ガチなヘイトデモ”の様子等が広く拡散し、共感者が増えてきた。SNS等でガセネタすれすれのヘイト情報をばら撒く人々も、以前より“釣り”のスキルが遥かに上がった。そこに一部の出版社が「売れればいい」と無節操に便乗、書店ではヘイト本が平積み――。こうして、“日本社会を蝕む悪の在日”という陰謀論が浸透していった。このヘイト運動の最大の問題点は、前提が大きく間違った“正義”を翳していること。彼らは「自分の地位が侵される」という不安からか、「在日が日本を支配している」といった根拠の無い物語に飛び付き、憎悪を暴走させてしまう。そして、「こんな不正義が罷り通るなら、在日差別は“必要悪”だ」と自らを正当化する。或いは、DVやレイプを「される側にも理由がある」と言うのと同じように、なぜか被害者の“落ち度”にフォーカスする。




朝鮮半島が南北分断されている“捻じれ”の余波で、韓国社会には日本への憤りや嫌悪感情に変換されるエネルギーがあり、それを歴代の政治家も利用してきた――それは否定できない事実でしょう。でも、だからといって日本にいるマイノリティを叩くのはお門違いにも程がある。「日本人は自分の意見を持たず、集団だと強いが個々人は弱い。判断力も無い、子供のような国民だ」と、海外にいる日本人がステレオタイプを基に苛められたらどう思うかって話です。ヘイトは一種の麻薬みたいなもので、当事者は熱狂しているのかもしれないけど、そんなに人を憎んで疲れないのかな? そんな時間があるならヨガに行くとかジムに行くとか、エネルギーを自分の為に使ったほうがいいんじゃないですか?


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)等に出演中。モーリーも登場するミュージシャン・岡村靖幸氏との対談集『あの娘と、遅刻と、勉強と』(東京ニュース通信社)も発売中。


キャプチャ  2015年5月25日号掲載
《送料無料》精神病者の魂への道

《送料無料》精神病者の魂への道
価格:2,808円(税込、送料込)



スポンサーサイト

テーマ : ネトウヨ・ネット右翼
ジャンル : 政治・経済

Categories
Profile

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR