【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(18) コメディーの笑いでタブーを破る…そんなドラマを日本でも!

1970年代に全米を席巻し、全盛期には毎週5000万人が視聴した『オール・イン・ザ・ファミリー』(CBSテレビ系)というドラマをご存知でしょうか? 先ず、時代背景を説明します。1960年代、アメリカの若者は“戦争反対”“公民権”“フェミニズム”といった反体制・反保守運動に熱狂し、『フラワーチルドレン』と呼ばれました。彼らの間に「大人には何を言ってもわからない」という空気が広がった結果、社会は保守的な大人と変化を望む若者に分断されていきます。このムーブメントは1967年夏に『サマー・オブ・ラブ』と呼ばれ、最高潮を迎えましたが、翌1968年の大統領選挙で保守的な共和党のニクソン政権が誕生したことを契機に、段々萎んでいきます。ニクソンの当選という現実を「陰謀だ」と決めつける若者もあり、「理想を叫ぶだけでは社会は変わらない」とそれまでの手法に疑問を抱く若者もあり……。そして1970年代に入ると、「あの熱狂は何だったのか?」という“振り返り”がブームになりました。

そんな中、1971年に始まったのが『オール・イン・ザ・ファミリー』。超保守的な港湾労働者の頑固オヤジと、社会正義に燃えるリベラルな(でも定職が無く実家に居候している)娘夫婦との“価値観の衝突”を描いたホームコメディーです。脚本が超進歩的で、人種・移民・同性愛・宗教・中絶・ベトナム戦争・社会保障等、あらゆるタブーや政治イシューを巧みに“ネタにした”のです。ヒットの最大の要因は、父親であるアーチー・バンカー(役名)のキャラクター。ニクソンを尊敬するガチガチの共和党支持者で、黒人等の非白人やユダヤ人・東ヨーロッパ系移民・女性・同性愛者等に対する差別心剝き出しなのですが、絶妙なキャラ設定に因って“本音を隠せないコミカルオヤジ”として受け入れられました。例えば、黒人への蔑称も絶対禁句の『ニガー』は使わないけれど、『クーン』『スプーク』といった“古くてダサい差別表現”を敢えて言わせ、ギリギリ許される……といった具合です。面白いのは、学も無く古い価値観に縛られた父が、社会学を学ぶポーランド系移民のインテリで、様々な運動に参加する娘婿の進歩的な意見を「クソリベラルの戯れ言」と一刀両断し、屡々言い負かすこと。そこには、若者がどんなに理想を語っても大人たちを説得できない現実が象徴的に描かれていた。一方、偶には父親側が折れることもあり、そこから「時には妥協しながらも粘り強く交渉していけば、世の中は少し動くこともある」というメッセージも発していた。




若者はこのコメディーを通じて、大人たちの言い分にも一理あることや、そこに至った歴史的背景や事情を学んだ。大人たちも、アーチー・バンカーの度が過ぎた保守思想や差別主義を見て、笑いながらも自生する部分があった。コメディーを通じ、多くの国民をリベラルな政治議論に巻き込んだ手法は見事でした。考えてみれば、当時のアメリカと現在の日本は重なるところが多い。反原発・反安倍・反辺野古基地といったリベラルな運動は、なぜ社会の多数派にならないのか。今こそ、日本版『オール・イン・ザ・ファミリー』をやれば凄くハマる筈。アーチー・バンカー役には是非、石原慎太郎さんを推薦したいと思います(笑)。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)等に出演中。テレビ東京初の朝の本格情報番組『チャージ730!』にも時事解説で不定期出演中。


キャプチャ  2015年6月15日号掲載


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