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欧州よりアツい移籍事情、日本からは最多の60人超がプレー中!――『タイ・リーグ』厚待遇に元日本代表が驚いた!

サッカー選手の海外移籍といえば欧州という流れは変わりつつある。近年はアジアやオセアニアでプレーする日本人が急増し、その数は全体で数百人にも上るとされる。なかでも注目を集めているのがタイだ。数年前までは、Jリーグで出場機会を失った、“戦力外”の選手たちの移籍場所だったが、今季は多くの日本代表経験者も活躍の場を求めている。なぜタイなのか? 『タイ・プレミアリーグ』の“おもてなし”ぶりを取材した。 (取材・文 栗原正夫)

■住まいは家族揃ってバンコクの高級ホテル  元日本代表-茂庭照幸(33・DF)
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昨季C大阪を退団し、今季バンコク・グラスでプレーする茂庭照幸。元日本代表でもある彼が、なぜタイへの移籍を決断したのか? 理由をこう話す。「年齢を考えれば現役はせいぜいあと3~4年。そこでもう一度厳しい環境で挑戦しようと。最初のオファーは断ったのに、再度誘ってくれたのが今のチーム。自分が求められていると感じたし、条件もそれほど悪くなかった。住居も用意してくれたのですが、家族のためにより安全な場所ということで、有名ホテルの一室を借りています」。リーグでは20チーム中9位と中位に甘んじるが、タイFAカップでは決勝(11月9日)に駒を進めている。「サポーターは熱いし、FAカップはリーグに次ぐタイトルなので獲りたいですね。試合に勝つと5万バーツ(約16万5000円)程度のボーナスが出ますが、こっちの物価(日本の約3分の1)を考えればいい。ただ、選手がお金のことばかり考えて、気負って負けてしまうことが多い。だから、“ニンジン”はいいけど、試合前に金額まで言うのはやめてくれと通訳に言ってます(笑)」。近年タイは、国内経済の活況を受けて、サッカーを取り巻く環境も劇的に変化している。一方で、リーグのレベルに関してはどう感じているのか。「J1と比べればまだまだですし、J2でも外国人選手を含めて、即戦力になるような選手はそんなにいないと思います。ただ、昨年ブリーラムU(昨季王者)からC大阪に移籍した平野甲斐のように、タイで結果を残してJ1に戻るような選手も出てきたので、いいチームを選べばその後のチャンスは広がるリーグだとは思います」




■金満クラブに所属して年俸4000万円クラスに  元VVVフェンロ(オランダ)-カレン・ロバート(29・FW)
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バンコクから西へ120kmほどのスパンブリーという街でプレーしているのが、一昨季までオランダのVVVフェンロに所属していたカレン・ロバート。チームから与えられた一軒家で暮らすが、オフの日は「どう時間を潰すかが課題で、あえて自炊し、溜まった洗濯物などを片づけています(笑)」と、家族を日本に残しての1人住まいの暮らしぶりを打ち明ける。ここまで32試合を消化し、19試合に出場して7ゴールの成績を挙げる活躍ぶりだ。「タイのサッカーは面白いですが、やってるほうはきつい。打ち合いが多く、なんでそこフリーなのって(笑)。日本に比べるとプレーが直線的で、盛り上がってる理由がわかりますね」。昨年、カレンのタイ移籍が発表された際には、一部記事で“年俸4000万円”という条件面が注目されたが、真相はどうなのか。「そこまでもらってないですよ。ただ、スパンブリーは金満クラブとして知られ、こっちは基本手取り金額なので、物価面などを考えればそれぐらいの価値はあるのかなと。うちのオーナーは大事な試合前などには勝利ボーナスをちらつかせ、多いときには20万円以上ということもありました。タイのクラブはオーナーの力が絶対なんです(笑)」。だとすると、条件面などはJリーグでプレーするよりもいいのでは? 「J1の真ん中あたりのクラブよりはいいかもしれないですね。僕自身、オランダのときよりもいいですから。手取り金額でいえば、今まででいちばんですね。J2でプレーするよりは、こっちに来たほうが幸せだと思います。ただ遅刻したら罰金が大変。うちは練習場に指紋認証システムがあって、それを出欠の証拠としています。押し忘れると500バーツ(約1500円)の罰金で、無断欠勤は15万円。僕も指紋の押し忘れと遠征の際にシャツの色を間違えて、2回ほど罰金を取られました(笑)」

■嬉しいのは貯金ができるようになったこと  元サガン鳥栖-下地奨(29・MF)
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12日のリーグカップで優勝を飾ったBECテロ・サーサナで今季14ゴールをマークしている下地奨。得点数はリーグ5位で、日本人としてタイ・プレミアリーグで初めて2桁ゴールを挙げるなど、抜群の人気・知名度の選手である。2011年の鳥栖退団後は、奥さんと幼い娘とともに南米のクラブへ渡るなど苦労の連続だった。奥さんにパートに出てもらい、自身も銀座のクラブでアルバイトをしていた時期もあったという。「南米から帰国後はお金を使い果たしてしまい、コンビニで100円のおにぎりさえ我慢した時期がありました。夢を追うだけじゃダメだと気づかされたし、お金に対する考え方が変わりました。バンコクは日本のものはなんでも揃っているし、物価も安いので日本より住みやすいぐらいです。昨年は英チェルシーと試合をしたりとリーグ全体に勢いを感じます。個々の能力も高いし、ここでは日本人も“助っ人”になるわけで、Jリーガーが軽い気持ちで来ても、簡単に活躍できる世界ではありません」。ただ、そのぶんJ2などで燻っているくらいなら、ここで勝負する価値は十分にあるとも話す。「正直、自分はこれまで以上に貯金ができるようになり、生活レベルも日本に比べてずいぶん上がりました。最近は、タイで伊藤園の“お~いお茶”のFacebookの動画CMに出させてもらったり、活躍次第では、日本ではできない経験ができると思います」

■若手選手の奮起が自分自身の価値を高めた  元日本代表-岩政大樹(32・DF)
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今季タイに移籍し、BECテロ・サーサナを最終ラインから支え、リーグカップ決勝ではCKから得意のヘッドで貴重な先制弾をマークした岩政大樹。タイ人といえば、時間を守らなかったり、ルーズだったりといわれるが、加入当初は苦労が多かったと振り返る。「いちばんきついのは仲間のテンションが揃わないとき。タイの選手は欲がなく、サッカー選手になった時点で満足してしまう。自分のモチベーションはコントロールできるけど、周りのテンションが揃わないときは見過ごすことができない。かといって言いすぎてもいけないし、そんななかで僕がワーワー言ってきたので、当初は完全にチーム内で浮いていたと思います」。厳格な性格の岩政にすれば、譲れない部分も多く、馴染むのは簡単ではなかったのだろう。ただ、チームメイトの下地などの助けもあり、若手が耳を傾けるようになり、チームは急成長。その結果が優勝に繋がったという。「(単身で来た)僕にとっては、家族と離れて暮らすのも大変なことでした。ただ、僕のサッカー人生なんて去年で終わったと思われていたのを盛り返せたのはよかった。まもなく33歳になりますが、あらためてこんなに評価してもらえたのは、嬉しいですね。それも、半分喧嘩しながらも食らいついてきてくれた若手のおかげかな。若手の成長が僕の評価を、上げてくれたんです」

■8人の“サムライ”が日本流改革で頂点を目指す!
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選手のみならず監督・コーチ・スタッフにも複数の日本人を配し、“日本流”で強化を図っているのが、現在リーグ2位につけ(残り6試合)、FAカップでも決勝進出を決めたチョンブリーである。今季から指揮を執る和田昌裕氏は、意識改革から取り組んだという。「まずタイの時間のルーズさを正したいと。当初は練習に平気で遅れてくるし、しかも無断。だから遅刻する選手は試合に使わないと通告したんです。そしたら最初の公式戦で、主軸選手が遅刻してきた。私も言った手前、試合には出さなかった。ある意味で賭けでしたが、偶然にも勝てた。そこで、選手もこの監督は遅刻したら本当に使わないと思ったんでしょう。それ以降、無断の遅刻はなくなりました。ほかのクラブでは、練習に来させるために練習給を払っているところもあるそうです。その後、選手にも粘りが出てきたのか、試合も最後まで諦めなくなった。うちは終了間際の得点が多く、ラスト数分間を地元メディアに“和田タイム”なんていわれました(笑)」。国外のトップリーグで日本人監督が優勝すれば、それは日本サッカー史上初の快挙である。和田氏は、今後のリーグの行く末をこう予想する。「来年から外国人枠が減ることが決まったので、より競争が激化するでしょう。人数が減れば1人にかけるお金も増えて、よりいい外国人選手という方向にもなる。タイはずっと暑いのでスタミナもいるし、アフリカの選手のような身体能力はプラスになる。今後日本人にとって、タイへの移籍は、甘いもんじゃなくなると思いますよ」

               ◇

外国人枠の減少にともない今後は“狭き門”に…
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『タイ・プレミアリーグ』人気の理由に、経済成長にともなうサラリーの高騰が挙げられる。今季、3人の日本人選手を送り込んだ代理人の稲川朝弘氏は、「給料はおおむねJ1並みで、基本的に税別の手取り金額」と話す。日本の約3分の1というタイの物価を考えれば、日本にいる以上にいい暮らしができる可能性がある。リーグのレベルに関しては、和田監督は「戦術などを教えられてこなかったため、チームとしての戦い方に課題は多い」と指摘する。一方で、U-23代表世代で臨んだ先のアジア大会でベスト4という結果を残すなど、着実にレベルは上がりつつある。また、熱狂的なサポーターも多く、2009年に約11万人だった観戦者数も、2013年には約165万人に増えている。今後さらに日本人の移籍が増えるかといえば、そう簡単でもなさそうだ。現在、外国人選手登録数は最大7人で、試合出場可能人数は3人+1人(アジア枠)だが、来季は保有できる選手が5人に減ることが決まっており、クラブとしては人数を絞って、より高額で優秀な選手の獲得を目指しているという。現在、南米や欧州から多くの選手が集まってきているだけに、“狭き門”となることは確実である。


もにわ・てるゆき 1981年9月8日生まれ。神奈川県出身。日本代表として2004年アテネ五輪、2006年ドイツW杯に出場。FC東京・C大阪などを経て、2014年からバンコク・グラス所属。

かれん・ろばーと 1985年6月7日生まれ。茨城県出身。北京五輪予選日本代表。2005年Jリーグ新人王獲得。磐田・熊本・VVVフェンロを経て、昨季途中からスパンブリー加入。10月18日にオープンした『イオンモール木更津』にて、カレン・ロバートプロデュースのフットサルコートとサッカースクールを開業中。

しもじ・しょう 1985年8月2日生まれ。沖縄県出身。当時J2だった鳥栖で3季プレーした後、パラグアイ・ブラジルのクラブを経て、2013年よりBECテロ・サーサナ所属。

いわまさ・だいき 1982年1月30日生まれ。山口県出身。2007年から2009年にかけて鹿島でJリーグ3連覇に貢献。日本代表として2010年南アW杯出場。2014年BECテロ・サーサナ入り。


キャプチャ  2014年11月4日号掲載


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