【日本型雇用システム大解剖】第2部・ニッポンの賃金制度(02) 海外のジョブ型雇用慣行の採用・報酬の仕組みを全公開

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何事も職務を基準に決める海外の雇用慣行。ここでは、その採用や賃金設定の方法を具体的に見ていこう。先ず、ベースとなるのは職務記述書だ。海外の雇用状況に詳しい『パソナ』グローバル事業部長の市川知之氏は、「日本と海外の採用時における最大の違いは、雇用契約書の他に職務記述書があるか無いかだ」と語る。左図がその職務記述書のサンプルだ。職務記述書には、職務名(ポジション)に続き、そのポジションに経営側から求められる職務内容が具体的にリストアップされている。例えば、上の人事課長の例では、「報酬や給付手当における他社との競争環境を絶えず監視し、代案やコストを評価する」という仕事を筆頭に、16個の職務内容が列挙されている。この時に注意すべきは、記述されるのは飽く迄もポジションに対して期待される職務内容であり、そのポジションの現職者の能力等は加味されないことだ。日本では、あるポジションの職務内容は、その時々の現職者の職務遂行能力に依って増えたり減ったりすることがよくある。日本型では、人が仕事を作るのであり、賃金も職務に関係無く職務遂行能力や勤続年数等の人に属する基準で決める。しかし、海外では職務こそが基準であり、人や賃金をそこに合わせていくという順序になっている。もう一度、上図に戻ってほしい。職務記述書には職務のリストの他、上司等の業務報告先・部下数等の関連数値も明記され、上図には無いが職務遂行に当たって必要な資格・知識・スキルも具体的に書かれる。「事業部長等の職務記述書になると、売り上げ目標やコスト関連目標も明示される」と、人事領域を専門とする『へイコンサルティンググループ』の柴田彰氏は言う。職務内容については、日本のような連帯責任という考え方は無く、飽く迄もそのポジションに就く個人の責任になる。「採用面談では、そのポジションの給与や仕事の概要を説明するところまでは日本と同じだが、その後、職務記述書を基に細かく説明し、それに対してサインしていくという流れになる」(市川氏)

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このプロセスが重要なのは、能力不足等でその職務内容が果たせなかった時は、海外では解雇に直接的に繋がるからだ。「実際には解雇自由といわれるアメリカでも、段階を踏むことが多い。『この職務ができていない』ということを話し合い、エビデンスとして残し、当事者のサインを貰って細かくフォローアップする。そして、数ヵ月後にまた同じことを行って、最終的に職務が果たせなければ解雇になる」(市川氏)。上図の営業ヒラ社員の職務記述書の例では、立ったり座ったりや公共交通機関を使って顧客訪問できることといった身体的要件も記されている。日本人の感覚からすると、「そこまで細かく書かなくてもいいのでは?」と思うが、大手企業等では職務内容を深く知ってもらう為に、職務遂行の要件の列挙に細心の注意を払っているという。次に、職務を基準とした海外の賃金(職務給)の設定法を見ていこう。先ず、職務記述書に列挙された職務内容について、

①職務遂行で必要な知識やスキルのレベル
②問題解決のレベル
③達成すべき成果の大きさ

という3つの視点で職務評価を行い、職務毎にジョブサイズとして数値化を行う。そして、ジョブサイズを基に職務等級を決定、この等級に沿ってある範囲の中で賃金額を設定していくことになる。多国籍企業の場合、各国拠点の職務等級はグローバルベースで統一されているが、国に依る物価水準の違いを考慮し、リンクする賃金額は必ずしも世界一律にならないようだ。日本の多国籍企業も、経営幹部や高度人材のレベルでは国境を超えた登用を模索。「5年前から世界共通の職務等級を作る動きが活発だ」と柴田氏は指摘する。上層レベルから職務基準の働き方が日本に定着する契機になるかもしれない。


キャプチャ  2015年5月30日号掲載


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