【ドローンの時代】(04) 手遅れになる前に対策を急げ――多様なドローンの規制は法律だけでは不可能だ、メーカーとユーザー・行政の協力が欠かせない

近頃、矢鱈とドローンの話題を耳にするようになった。アメリカの人気テレビドラマのセリフに登場したかと思えば、『アマゾンドットコム』は商品の配達にドローンを利用する計画を発表。大型台風に見舞われたフィリピンでは、ドローンを使って被災地マップが作成された。フランスでは、原子力発電所の上空を正体不明のドローンが飛行していたことが発覚した。アメリカやヨーロッパでは、民間の飛行空域をドローンに開放する動きが進む等、ドローンは益々日常的な存在になりつつある。それだけに、この小型機が市民の自由とプライバシーに齎す独特の問題点を早期に見極め、適切な対策を講じることが重要になっている。

ドローンは、データの収集方法を大きく変えつつある。これまでの民生用ドローンは、高解像度カメラで航空写真を提供する程度だった。だが、最近はサーモグラフィーで撮影したり、無線通信の基地局となったり、環境汚染の測定を行ったり、生体データを集めたりと、多様な機能を持つようになってきた。小型化も急速に進み、通常アクセスし難い場所でのデータが可能になってきた。高層ビルの上層階の窓から室内の様子を窺ったり、建物内に入って目につかない場所に着陸して定点観測することもできる。次にフランスの原発上空をドローンが飛ぶ時は、小さ過ぎて発見できないかもしれない。一部のドローンは飛行音が極めて小さいから、秘密の監視にもってこいだ。この点はとりわけ、産業スパイやテロ活動の懸念を生じさせている。低価格化も懸念を大きくしている。既に、基本的なモデルは数百ドル程度で入手できる。企業ユーザーなら、ある程度慎重な運用を心掛けるかもしれない。だが、個人ユーザーは大した罪悪感も無く、ドローンで隣人や家族の行動を覗き見しようとするかもしれない。だから規制が必要だ。勿論、ドローンには危険な仕事を低コストでやってくれる等、一律に禁止するべきでない利点も多い。それに、農薬散布や環境汚染の測定・災害救援活動に使用するなら、深刻な問題を生じさせる可能性は低い。他方、警察活動や報道、更に個人の趣味でドローンを利用する場合は、大きな問題を引き起こす可能性は十分ある。




ただ、ドローンの潜在的用途は実に多様だから、立法だけでは十分な規制はできないだろう。従って、行政・人権団体・メーカー・ユーザー等のあらゆる関係者が協力して、プライバシーやデータ保護・倫理の観点から影響を分析する必要がある。先ず、ユーザーはその利用がプライバシーや市民の自由を侵害する恐れがないか、慎重に検討する必要がある。プライバシーへの影響を考慮し、悪影響を最小限に抑える努力をすべきだ。行政当局や人権団体、それに企業や公的機関の個人情報担当者は、ドローンの使用法についてガイドラインを作成する必要がある。監視カメラの使用に関する既存のガイドラインに、ドローンの特性に配慮したルールを追加するといいだろう。メーカーも作りっ放しではいけない。顧客(特に個人ユーザー)が自社製品で違法なことをしないよう、販売時に注意を喚起するべきだろう。各機に製造番号を付けて、追跡可能にする努力も必要だ。行政当局は、既存の個人情報保護法や、不法侵入や迷惑行為を禁止する法律をどのように運用すれば、ドローンを使った人権侵害を取り締まれるかを検討する必要がある。また、保険会社はドローンを使った違法行為や事故をカバーする商品の開発を進めるべきだ。問題は複雑だが、対策作りは急務だ。然もないと、ドローン市場が爆発的な成長を始めた時に大変なことになりかねない。 (イギリス『トリラテラルリサーチ&コンサルティング』上級研究員 レイチェル・フィン)(同マネージングパートナー デイヴィッド・ライト) =おわり

               ◇

先日、ドローンを実際に操作する機会がありました。搭載されたカメラの映像を見ながら機体を動かすタイプで、短時間ですが鳥の世界を体感したような気持ちに。そんな機体が10万円程度で手に入るのですから、安全性やプライバシー・悪用等に懸念が出るのは当然かもしれません。人工知能との融合等、テクノロジー先行で開発が進むドローン。今回の特集では、怖いだけではない、社会を変え得る技術の全貌について探りました。 (本誌 安藤智彦)


キャプチャ  2015年6月16日号掲載


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