【韓国の病・MERS騒動という悲劇】(下) 情報統制の拙さが浮き彫りになった――MERS感染者がいる病院名を長く公表しなかった方針は誤りだ

MERS 09
『MERS(中東呼吸器症候群)』感染が拡大する韓国では、国に依る情報統制も問題視されている。国民は政府の対応の拙さを批判しているが、恐らく最も激しい怒りと不安を招いたのは、感染者の治療に当たっている病院名を公表しなかった点だろう。最初の感染者が確認されてから約3週間も、政府はそうした病院名を非公表にしてきた。政府は公表を控えた理由の1つとして、「感染を恐れた人々が当該の病院に行かなくなることに依り、病院が経済的な損失を被ることを防ぎたかった」としている。情報の空白を埋めたのは、市民の憶測だった。インターネットユーザー等が感染病院リストを纏めてオンライン上に掲載。感染者のいない病院を間違って名指ししたとして、名誉毀損罪で警察から取り調べを受けた人もいる(韓国では、名誉毀損罪で7年以下の禁錮刑が適用される場合もある)。韓国は、民主国家でありながら情報は厳しく統制されている。例えば、殺人やレイプで有罪判決を受けた犯罪者の名前は報道されず、インターネットではポルノや北朝鮮を支持するような内容は厳しく検閲される。多くのメディアは、MERSに対する政府の対応を批判しながら、殆どが病院名の公表は自粛した。そんな横並びの体制から抜け出し、建陽大学病院やサムスンソウル病院等の6つの病院の名前を挙げて報じたのは、インターネットメディアの『プレシアン』だった。

今月初めに実施された世論調査(全国500人の成人を対象)では、回答者の83%が感染者の収容されている病院名の公表を希望していた。この調査から数日後、文亨杓保健福祉相は漸く、感染が拡大するきっかけとなった病院を1ヵ所だけ公表。ソウル近郊の平沢聖母病院で、同病院を訪れた人に保健当局へ名乗り出るよう呼び掛ける為だ。従来の方針を変えて、全ての病院名を公表したのは、それから更に2日後のことだった。高麗大学の朴景信教授(法学)は、「政府は感染者の収容施設を1ヵ所に纏めることで、各病院の経営に損失を齎すリスクを回避できた筈だ」と指摘する。「今回の1件は、政府の頼りなさと政府に対する国民の信頼の低さを表している。国民からの信頼が厚ければ、政府は1つの大病院を隔離施設に指定し、感染者全員を集めることもできた」。3週間も憶測が飛び交ったせいで、風評被害に遭った病院としては、今更情報公開されても“時既に遅し”だ。 (ジョン・パワー)

               ◇

MERSに四苦八苦する朴槿恵大統領。昨年のセウォル号転覆事故と同様、今回の騒動でも一部の韓国メディアが自国を“後進国”と評していますが、SARSの際は適切に対応したことを考えると、問題は国や社会ではなくて現政権の体質にありそうです。感染の疑いのある人を電話で励ますパフォーマンスの一方で、自らの言葉で国民を安心させようとはしない――国民の安全を最優先して訪米を延期した割には、誠意に欠けているように見えます。 (本誌編集長 横田孝)


キャプチャ  2015年6月23日号掲載


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