【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(23) 「ヨガを取り戻す」と「日本を取り戻す」に共通する“排除の論理”

国連が新設した『国際ヨガデー』を初めて迎えた6月21日、インド国内だけでなく、世界190ヵ所で大規模なヨガイベントが開催されました。これは、自身もヨガ愛好家であるインドのモディ首相が昨年9月の国連総会で創設を提案し、僅か9ヵ月で実現に漕ぎ着けたもの。その背景には、『新シルクロード構想』に対するインドの協力を取り付けたい中国の強力プッシュがあったようですが、何れにしてもインド政府にとっては非常に大きな意味を持つ“記念日”でした。

インド政府が国際ヨガデーを実施したかった理由は、大きく2つあるようです。1つは、“インドにヨガを取り戻す”こと。近年、世界中でヨガ愛好家が増えていますが、アメリカを始め諸外国で流行しているのは、ビジネス化された“なんちゃってヨガ”。創始国であるインドの影は薄く、利益も殆ど還元されていません。そこで、これを契機に改めてヨガを観光資源・国のPR要素として有効活用したい訳です。もう1つは、かなりドロドロした話になりますが、“インド国内のナショナリズムを呼び起こす道具”としてのヨガという側面。表向きは国民の健康の為と言いつつ、実際には国威発揚とヒンドゥー教の信仰心強化を目的として、ヨガを国際的に権威付けたかったのです。モディ首相は昨年11月の内閣改造時に『ヨガ・アーユルベーダ省』を創設し、“初代ヨガ大臣”に自身の側近を就任させる等、全力でこれに取り組んでいます。問題は、この動きが全国民に対して「インド人ならヨガをやるものだ」という“踏み絵”を迫っていること。国民の約8割を占めるヒンドゥー教徒にとってヨガは身近なものですが、それ以外のマイノリティー(中でも、約1億8000万人もいるイスラム教徒)からは「ヒンドゥー文化の押し付けだ」という声が挙がっています。特に、瞑想の最中にサンスクリット語の聖なる言葉である「オーム」と唱えることには反発が強く、一部のマイノリティーからは「国を1つにしたいなら、『オーム』ではなく国歌を歌わせればいい」という意見もある程です。




モディ首相率いる与党『インド人民党(BJP)』はヒンドゥーナショナリズム色が強い政党で、事ある毎にムスリムとの対立を煽ってきました。国民の不満をマイノリティーに向かせ、勢力を拡大するのは得意中の得意。現在も、政権の後押しを受けたヒンドゥー至上主義者の活動が活発化しています。「失われたアイデンティティーを取り戻す」「美しい我が国を復活させる」「それに応じないマイノリティーは排除されても仕方ない」――これ、どこかで見たような構図です。そう、最近の日本にも「日本人は素晴らしい」とか「日本人ならこうあるべき」等と言う人たちがいますよね。現在のインドを外から眺めれば、単一の価値観や宗教心に基づいた“ナショナルアイデンティティー”という発想が、如何に強引で暴力的かわかる筈です。近い将来、日本でも移民の流入が増えるに連れて、それを排除しようという声は間違い無く大きくなる。そういう時にどんな態度を取るべきか? これを機に、一度考えてみてはどうでしょう。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『チャージ730!』(テレビ東京系・不定期)等に出演中。


キャプチャ  2015年7月20日号掲載


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