【学校給食に中国食材】(前編) あなたの子どもが知らずに食べている…東京・神奈川68全市区を独自調査

「私が給食の調理員を始めた15年前は、外国産の食材といえばパイン缶と黄桃缶ぐらいでした。それもタイとかフィリピン産です。ところが10年ほど前から黄桃缶が中国産になり、その後はあさりの水煮、ひじき・たけのこ水煮と、給食に中国産の食材がどんどん増えてきたんです」。横浜市の調理員だった人物が言った。私はそれを聞いて、返す言葉がないほど驚いた。たしかに国内では中国産食品はあふれているが、学校給食だけは聖域ではなかったのか。

本誌がこれまで中国産食品の危険性について警鐘を鳴らしてきたのは、未来を背負う子供たちに食べさせたくないということも大きな理由だった。その子供たちが食べる学校給食で、中国産食材がふんだんに使われているとは、いったいどういうことだろう。




元調理員が続ける。「中国産は粗悪でした。ひじきでいえば、釣り糸が出てきたり、金属片やビニール紐などゴミが絡まっているんです。水煮のマッシュルームも臭かったのを覚えています。缶を開けると、鼻を突くような変な臭いがするんです。他の調理員と『これ、大丈夫かな』と言いながら使っていました。ごまもひどかった。動物の糞のようなものがくっついていて、調理前に一粒ずつ取り除かないと使えない。黄桃缶は果肉が薄くて、味が国産とまったく違いました。忘れられないのが“はちみつレモンゼリー”です。人工甘味料の甘みだけでレモンの味もしないし、ちっともおいしくない。それでも子供たちは甘いだけで喜ぶんです。あんな食品を食べさせられて、本当にかわいそうでした」

2007年から2008年にかけて発生した中国冷凍餃子事件で、日本人は中国産食品の恐ろしさを知ったはずだ。さらに今年7月にも、マクドナルドのチキンナゲットなどを加工していた上海福喜食品が期限切れ肉を使っていたことや工場内の不衛生なオペレーションが発覚して、中国産食品への不安が再燃したことは周知の事実である。そんな危険な食材がなぜ学校給食で使われているのだろう。私たちはその実態を確かめるため、東京都23区と26市、および神奈川県19市の学校給食を所管する教育委員会に《使用している中国産食材》《中国産食材を使用する理由》《中国産食材に関する安全管理の取り組み・検査体制》についてアンケートを実施した。

2014101601.jpg
2014101602.jpg
2014101603.jpg
2014101604.jpg
2014101605.jpg
2014101606.jpg
2014101607.jpg
2014101608.jpg
2014101609.jpg
2014101610.jpg

表の《使用している中国産食材》は、各教育委員会から返ってきた回答である。驚いたのは、回答を拒否する自治体(豊島区・青梅市・町田市・小金井市・逗子市・伊勢原市など)が非常に多かったことだ。「データがない」という回答を含めれば、68市区のうち、じつに18市区にのぼる。回収後には「近隣の市が答えないようなので、回答を取り下げたい」(東村山市)という要望まであった。子供の健康に大きな影響を与えかねない情報を、なぜ隠そうとするのだろうか。一方、「中国産食材を使っている(原産地が複雑な調味料を除く)」と回答したのは、東京23区のうちわずか6区、市部では26市のうち4市。神奈川市部では19市中、9市のみだった。意外に少ない。だが、この裏には膨大な“偽装申告”があったのである。編集部で各自治体や各学校のHPといったあらゆる公表資料を調べていくと、回答を拒否した自治体でも、さらには「使用していない」(江東区・大田区)、「原則として国産の食材を使用することとしている」(中野区)などと回答した自治体でも、次から次へと使用実績が見つかったのだ。

2013年4月以降、1校で一度でも使用実績があった中国産食材を調べた結果をまとめたのが、表の《使用実績が確認された中国産食材》である。全68自治体中、使用実績が確認されたのは33市区。教育委員会の回答とくらべ、その差は歴然としている。しかも、HPに献立や食材の産地表示がなく、調べようのなかった学校が多数あることを考えれば、これは氷山の一角と思っていいだろう。食の専門家や栄養士で組織する『全国学校給食を考える会』の野田克己顧問が言う。「結果を見て、まさかと驚く父母は多いでしょうね。ウチの子の学校の給食献立表には中国産なんて書いていないと。じつは学校で産地データを保管してはいるのですが、表示の義務はありません。だから、献立表には産地を記載していないことが多いのです」

では、いったいどんな献立に中国産は使われているのだろうか。

●『クラムチャウダー』(アサリ・マッシュルーム)
●『シーフードスパゲティ』『パエリア』『深川飯』(アサリ)
●『ハヤシライス』(マッシュルーム)
●『西京(味噌)焼き』(サワラ)
●『春雨スープ』『春雨サラダ(別名:バンサンスー)』(春雨)
●『たけのこご飯』『筑前煮』『中華丼』『酢豚』(たけのこ)
●『ひじきご飯』『煮物』(ヒジキ)
●『雑穀ご飯』『ごま和え』(ごま)
●『中華丼』『中華スープ』『ラーメン』(きくらげ)
●『から揚げ』『南蛮漬け』(ワカサギ)

いずれも子供たちに人気のメニューだという。中国産食材を輸入してまで出さなくてはならないメニューとも思えないが、どの自治体でも共通してよく出されている。今回の調査で都内最多の中国産食材を使っていたのは町田市である。アサリ・ヒジキ・春雨・ワカメ・いちごジャム・黄桃缶・むきエビ・きくらげ・たけのこなど、学校給食でよく使われる中国産食材のオンパレードで、実に36品目(調味料を除く・以下同)が確認できた。市内の中学校のHPで公開されている、ある日の献立では『鶏肉のおろしがけ(にんにく)』『イカの生姜焼き(しょうが)』『海藻とミックスビーンズのサラダ(ミックスビーンズ・海藻サラダ)』『みかん缶(みかん缶)』と、一度に4皿もの中国産食材メニューが出されていた。

栄養士として30年以上学校給食の現場に勤務した経験がある食育アドバイザーの宮島則子氏が指摘する。「にんにく・しょうがは国産が手に入るのに、なぜ中国産を使うのでしょう。下味に使う野菜ですから1人当たりの使用料は少なくて済む。国産にしたからといって給食費の大幅増にはならないはずです。ひょっとすると、調理の手間を省くために、中国で加工した生おろしにんにく・生おろししょうがを使っている可能性があります。ミックスビーンズも同様です。おそらく加熱済みで、袋から出して混ぜるだけのものでしょう。給食調理の現場はどこも、時間も人手も足りない。だからつい、中国産の加工食品に走ってしまうのです。一番怖いのは、生で食べる海藻とみかんです。とくに缶詰はみかんを漬けたシロップに何が混ざっているのかわからないので心配です」。ここまで多いと、安い外食チェーン店で食べるのと大差がない。

町田市は「時間が足りないので回答をお断りします」とアンケート回答を拒否したが、まさかこの事実を知られたくなかったからではないか、と疑いたくもなる。「各学校で発注するからデータがない」という理由で回答しなかった世田谷区は、使用数2位の22品目が判明した。この区は不思議なほど学校間格差が大きい。区内の小中学校のHPをしらみつぶしに確認していくと、中国産を一切使っていない学校がほとんどなのに、一部に中国産を多用する学校があるのだ。たとえば、ある中学校では、今年4月から7月の4ヵ月間で、たけのこ・ザーサイ・春雨・きくらげ・アサリ(冷凍)を繰り返し使用するのだが、春先が旬のたけのこは、4月だけで7回も登場する。世田谷区内の学校に子供を通わせる母親がため息をつく。「世田谷区では地産地消の方針のもと、産地に気を使っていると聞いていたので、ビックリしました。いくら旬の食材でも、中国産ならば出さないでいい。家では中国産を買わないように工夫しているのに、子供たちが毎日食べている給食で使われていたらどうしようもないですね」

また、「食材の産地を把握していない」と回答した杉並区は、区が運営する『給食食材公開システム』をのぞくと、アサリ・いちごジャム・イカ・エビ・きくらげ・鶏肉・春雨・マッシュルームなど17品目が確認できた。抗生物質漬けが当たり前の鶏肉をはじめ、さつまいもまで中国産を使っていることにはちょっと驚く。だが担当者は、「うちはデータの集計集約はしていない。国産食材を何%以上使うかという目標も決めていない。国産か中国産かは各学校に任せている」と責任転嫁して悪びれない。驚いたのは足立区だ。“安心・安全・新鮮な食材”を謳い、レシピ本を出版するなど“おいしい給食”を区政のキャッチフレーズにしているのに、たけのこ・マッシュルーム・春雨・アサリなど9品目の使用を回答。「できれば国産を使いたい気持ちはありますが、月3900円(小学1年生・1食222円)~5120円(中学3年生・1食303円)の給食費で国産でやりくりするのは不可能に近い。教育委員会として産地を制限するところまでは踏み切れません」(足立区教育委員会学校教育部学務課)

神奈川県では、やはり横浜市が突出していた。冒頭で元調理員が証言した黄桃缶・ヒジキ・はちみつレモンゼリーの他にも、イカ輪切り・たけのこ缶・豆乳・メンチカツなど22品目が使われていた。私はイカ輪切りと聞いて、以前に取材した山東省の食品加工場で冷や汗をかいたことを思い出した。輪切りのイカが強い刺激臭を発する液体に漬けられているのを見て、加工場の社長に尋ねると酸化防止剤だという。そこで確かめようと、液に指をいれて口に持ってきたら、「絶対に口に入れるな!」と怒鳴られたのだ。社長曰く、液につけると見栄えがよくなって高く売れるが、自分では絶対に食べないと言う。あんな毒液漬けのイカが子供たちの口に入っているかと思うと背筋が寒くなる。

こうした中国産食品の生産・加工工程の問題を、教育委員会はどれほど把握しているのだろうか。「うちはそんなところから輸入していない」と言うかもしれないが、それは中国食品の裏事情を知らないからだ。本誌ではこれまで、たびたび中国の生産現場に飛んで調査してきた。青島のアサリ加工場では、トラックに積まれたアサリがどぶ川かと思うほど強烈な腐敗臭を放っていた。中国では「あさりからクロロマイセチン(抗菌剤)が検出」といった記事がよく出るが、海水汚染が進み、抗菌剤を使わないと養殖ができなくなってしまったのだろう。また、あさりからは、除草剤(プロメトリン)や大腸菌が検出されることも多い。2013年の食品衛生法違反事例では摘発件数ワーストを飾っている。

そもそも学校給食に使われる中国産食材は、アサリの他にもイカ・マッシュルームなど、なぜか違反事例常連の危ない食材だらけである。マッシュルームは、横浜市の元調理員が「鼻を突くような変な臭いがする」と証言したのも無理はない。四川省の日本向け工場で、真っ黒な塩水にマッシュルームが漬かっている槽を見たときは、思わずのけぞった。だが、工場の職員は、「1年半常温で持つから大丈夫よ」と平然としたものだった。ここ数年、中国で売られているマッシュルームから、漂白剤(二酸化硫黄)が基準値を超えて検出されたという報道が相次いでいるが、塩水で黒くなったマッシュルームを漂白して出荷するのだろう。ヒジキの工場を見たのは、浙江省温州市だった。養殖池は、人工皮革工場からの排水で茶色く濁っていた。日本へ輸出している工場へ行くと、昼休みなのか、作業員は地面に干したヒジキの上で休憩している。ヒジキは道路にも所狭しと干され、工場内を移動する車に踏まれている。「こんなところで乾燥させて大丈夫なの?」と尋ねると、おばさんは「大丈夫だよ。中国人は食べないから」と笑顔である。

山東省のサワラやサバの加工工場では、作業員の男がトイレで用をすませたあと、手も洗わずに作業台へ戻って魚を開いていた。上海福喜食品でも床に落ちた肉を戻していたが、これが彼らの衛生観念なのだろう。上海の大手食品会社の幹部は、かつて私にこう言ったことがある。「中国の食品企業は、大手でも注文された量をすべて生産できないところがほとんど。不足する分は下請けに出す。それでも足りなければ孫請けに。それが彼らのリスクヘッジですが、そうなると親会社もすべての工程は把握していません」。また、上海福喜食品のケースでもわかったように、衛生管理の国際基準であるHACCPを適用しても、生産者や製造者に悪意があれば簡単に破られてしまう。とりわけ日本に対する悪意が蔓延し、モラルが崩壊しているといわれる中国ではその危険性が最も大きいといえる。

中国は給食事故大国でもある。今年4月から9月までの半年間だけでも、すくなくとも食中毒を原因とする事故が15件起きている。6月15日には河南省で390名もの小学生が下痢や発熱を訴える大規模事故があった。直近では9月27日に、福建省漳州市の小学校で『きゅうりとイカの炒め物』などを食べた児童62名が、めまい・腹痛・むかつき・嘔吐などの症状に見舞われた。過去半年間の食中毒の原因は鶏肉・肉団子・豆乳・ウインナーと様々。これは中国食品全体が汚染されているからだろう。中国の食の安全に関する意識は、自国の子供が口にする給食でさえこのレベルなのだ。

日本に話を戻そう。学校給食は単なる食事の時間ではない。食育推進基本計画(2006年策定)で『食育』の重要性が打ち出されて以来、教育の一環として地場産の使用が推進されてきた。それなのに、たびたび危険な事件を起こし、安全とはいえない中国産食材がなぜ使われ続けているのだろうか。前出の『全国学校給食を考える会』の野田顧問が解説する。「学校給食には大きく分けて2つのシステムがあります。各地域に配置された栄養士が献立を作り、各学校の給食室で調理する“自校方式”と、給食センターに勤務する栄養士が献立を作り、センターでまとめて調理する“センター方式”です。ただ、横浜市のように、自校方式でありながら、食材を市がまとめて調達している自治体もあって、単純ではありません。そもそも全国的にほぼ同一のカリキュラムがある学科と違い、給食については『実施するかどうか』も『どのくらい税金を投入するか』も自治体ごとの判断。結果として、肝心の献立や食材調達は、現場の栄養士の意識でばらつきが出ます」

さらにセンターの場合には「そこに自治体の意向が反映されます。栄養士が国産にこだわっても、自治体が中国産でいいと指導することもある」(元栄養士)という。冒頭の横浜市の元調理員はこう語っている。「中国産がとくに増えたのは東日本大震災以降です。生徒の父母たちの要望もあり、東北の農水産物が入ってこなくなったからです。ただ結果として、安くて大量に用意はできるけれど、安全とは言えない中国産が入るようになった。横浜市からは、中国産を仕入れる理由は『国産物資の調達困難と価格の面から』と説明されました」

こうした危険を伴う中国産食材を輸入する以上、細心の注意が必要なはずだ。ところが、中国産を迎えうつ体制は充分とは言えない。表の《中国産食材に関する安全管理の取り組み・検査体制》を見ると、東京・神奈川の各自治体の対応は次の4つに絞られる。

(1)「特別な検査はしていない」
(2)「安全確認ができる書類を提出してもらう」
(3)「学校給食衛生管理基準で残留農薬検査などを実施」
(4)「納入時に異物混入や変色・異臭をチェック」

「現地に足を運んで検査しているわけではなく、学校に流通してくるまでの検査を信用している」(足立区)というように、安全検査を業者任せにしている自治体がほとんどだ。自ら検査するにしてもせいぜい農薬検査まで。「疑い出したら使えないので、大丈夫だと思って使用している」(新宿区)という大胆な声もあった。

中国産食品の最大の問題は、中国の深刻な土壌汚染である。中国の穀倉地帯である長江河口域は、日本の土壌汚染の基準値と比較して鉛が3500倍、ヒ素1495倍、水銀244倍、さらに発がん性のあるBHC(有機塩素)も59倍と、信じられない数値が検出されている(本誌『中国“猛毒米”年間5万トンが日本人を破壊する!』…2013年2月14日号参照)。これは2007年頃のデータだが、最近も「耕作地の約5分の1が重金属によって汚染され、食品の安全や人体の健康に影響を与えるほど深刻になっている」(瞭望新聞週刊)と報じられたように、汚染はさらに進んでいる。重金属や有機塩素は土壌から農産物に吸収され、それを食べた人や家畜の体内で濃縮される。その毒を思春期前の子供が長期間摂取し続ければ、たとえ微量でも大きな影響があるといわれる。結果、ある日突然、重金属によって肝臓障害や脳障害、有機塩素によってがんなどを発症する慢性中毒になる恐れがある。「ところが給食で食の安全というと、食中毒や異物混入といった急性中毒対策になってしまう。検疫体制を含めて、農薬や食品添加物への意識は非常に低い」(前出・『全国学校給食を考える会』野田顧問)

学校給食で中国産食材が使われる実態は、東京圏よりも地方の方がひどいといわれる。次回は全国でどれだけの中国産が使われているかをお伝えする。 (奥野修司+本誌取材班)


キャプチャ  2014年10月16日号掲載


スポンサーサイト
Categories
Profile

KNDIC

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR