パナソニック、“松下ブランド温存”で中国巻き返し――中国人の“ノスタルジー”に訴えて巨大市場を再攻略できるか?

パナソニックが本格参入25年目にして、中国市場戦略の見直しに着手した。テレビ等の黒物家電重視から、白物・小型家電等に軸足を移行。“松下”というブランド名も温存する。テレビ撤退から続く現地での存在感低下に歯止めをかけたい考えだ。 (齊藤美保)

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パナソニックは2015年6月中旬、上海に理美容家電の体験型施設『CLUXTA(クリュスタ)』をオープンさせた。インターネット上で宣伝し、実店舗へ集客する方式『オンライン・ツー・オフライン(O2O)』に対し、クリュスタは謂わば“逆O2O”。並んでいる商品を試してもらうのが目的だ。その場で購入希望者をEC(電子商取引)サイトへ誘導する。中国では小売市場全体の約1割をECが占め、年率1.5倍で急成長している。「ECサイトには有象無象に商品があり、ただ売っているだけでは埋もれてしまう。オフラインから商品の良さを伝えていく」。2015年4月に立ち上がった『アプライアンス(AP)中国』の山内政直社長はこう話す。上海クリュスタには、同社の中国市場での2つの新戦略が投影されている。1つは、白物・小型家電の強化。クリュスタでは黒物家電は置かず、理美容家電や調理家電等を扱っている。2014年度、パナソニックは収益悪化から中国でのテレビ生産から撤退。現在販売するテレビは、現地メーカーから調達した製品が中心だ。足元では中国や韓国企業に押され、テレビ市場で同社の存在感は低下しつつある。そこで白羽の矢が立ったのが白物・小型家電。2015年度からグローバルで戦略の抜本的見直しに着手しており、AP中国の設置もその一環。中国人の趣味嗜好に合わせた製品を現地でデザイン・開発できる体制も強化した。

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更に、上海クリュスタの施設から“松下”を温存するという、中国市場攻略のもう1つの方針も見えてきた。2008年の社名変更後も、「中国では当面“松下”を使用する」としてきた同社。“怕拿索尼客(パナソニック)”等の表記も検討されたが、クリュスタに置かれたカタログには依然として松下の文字が大きく書かれている。「パナソニックは知らないが、松下なら知っている」。上海在住の20代女性がこう話すように、“松下”の知名度は老若男女問わず高い。「中国の近代化を手伝ってほしい」――。1978年、当時の中国副首相だった鄧小平氏が松下幸之助氏にこう頼んだのは、有名な話だ。これを受け1987年、同社はブラウン管テレビの製造会社を設立。戦後、中国に進出した初の外資系企業となる。そんな松下製品は、改革開放前夜の中国において庶民の憧れであり、新時代の象徴だった。松下の名前を使い続け、そんな中国人のノスタルジーにも訴えながら、同市場で巻き返しを図るパナソニック。作戦が奏功し、再び「“憧れ”を抱いてもらえるブランドになる」(アプライアンス社の本間哲朗社長)ことができれば、巨大市場再攻略の突破口の1つになるのは間違いない。


キャプチャ  2015年7月20日号掲載


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