【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(27) 未来のある若者が、何故“万年野党”のテンプレに乗るのか?

2011年の福島第1原発事故は、多くの日本人の“政治スイッチ”を押しました。それまで政治に興味が無かった人たちが大きな怒りに煽られ、社会運動に参加し、“反原発”を叫びました。しかし、現在ではその勢いはすっかり萎んでいます。あれから4年。安倍政権が成立を目指す安全保障関連法案を巡って、同じような動きが起きています。両方の運動に共通する致命的な欠陥は、「自分たちは善、権力は悪」という短絡したフレームワークに嵌っていることです。例えば、学生が中心になっている『SEALDs』という政治アクション。「若い人が戦争法案に反対の声を上げた」という文脈でメディアは好意的に取り上げていますが、率直に言って、彼らの運動には決定的に知性が欠けている。反原発運動が“原発の上に成り立ってきた日本の繁栄”という苦々しい現実を無視したように、彼らは目の前にある“軍事リスク”に言及しない。

安保法制に関する議論の最も重要なポイントは、これまで日米同盟の下で見て見ぬ振りをしてきた周辺の軍事リスクを直視した上で、どんなオプションを選択するのかという点です。『SEALDs』に限らず、多くの運動がそれを無視して理想を叫ぶことに終始しているのは残念。あれでは大勢は動かせません。本気で議論したいなら、「安倍は戦争がしたい」とか「自民党を牛耳っているのは日本会議だ」とかいう“遊び”に逃げないほうがいい。「“戦後日本”というシステム自体は万能で、パラメーターに“悪いヤツ”が間違った数字を入れたからチューニングが狂ったが、それを元に戻しさえすればより良い社会が来る――」。反対運動の言い分はそんな風に聞こえますが、実際にはどんなことにも光と影がある。自らの側の影の存在を否定し、敵方を巨悪に見立てることに何の意味があるのか。それでいて、主張の結論は現実を見つめた上での対案ではなく、「兎に角、政府は間違いを正せ」。声を上げている本人たちは自発的に行動しているつもりでしょうが、そのスタンスは他人任せそのものです。




今、多くの日本人が漠然とした不安を抱えているとすれば、それは恐らく“アベ政治”が理由ではない。発展途上国やアメリカの格差社会に比べると、何から何まで至れり尽くせりだった日本社会が、愈々グローバル化の影響を受けて行き詰まってきた。その得も言われぬ不安感を、“反原発”や“戦争反対”に転嫁させた人が多い気がします。「このままでは日本が終わる」――。ここ数年、何度も聞いたフレーズですが、安保法制が成立しても日本は終わらないし、赤紙も来ないし、貴方の日常も変わりません。何故、未来のある若い人たちまでもが、何十年も選挙に負け続けている万年野党のテンプレートに乗るのか。不思議で仕方ありません。最初から負けに行っているようなものでしょう。アメリカのリベラルは、どうしようもない過去の失敗を学んで大きく飛躍し、初の黒人大統領を誕生させた。一方、日本の左翼運動は今も連戦連敗。多様な意見を受け入れず、群衆を煽った先に未来があるのか? 過去から学べない運動に未来はありません。それが仮令、前面に立っているのが美しい目をした青年たちであっても。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『チャージ730!』(テレビ東京系・不定期)等に出演中。


キャプチャ  2015年8月17日号掲載


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