【韓国財閥・きしむ世襲経営】(上) ロッテ、跡目争いの代償――従業員の意思、反映できるか

『ロッテグループ』創業一族の内紛が表面化したのをきっかけに、韓国で財閥批判が再燃している。韓国経済の牽引役と見る肯定論は掻き消され、世襲が企業価値を低下させる負の側面が強調されてきた。株主や社員・取引先等のステークホルダー(利害関係者)を置き去りにした創業者一族に依る内輪の経営は、限界を迎えている。 (ソウル=加藤宏一)

ソウル中心部にあるロッテホテルの34階。創業者の重光武雄(辛格浩=シン・ギョクホ)氏の執務室は現在、稀にある報告の機会を除いて韓国ロッテ幹部が入室し難い状態が続く。武雄氏の長男・重光宏之(辛東主=シン・ドンジュ)氏を支持する親族が、次男の重光昭夫(辛東彬=シン・ドンビン)氏に近い幹部を遠ざけている為だ。財閥で世代交代が進む中、ロッテは創業者が現役に留まる最後の大手財閥だ。今秋、93歳になる武雄氏が1948年に日本で創業し、1代で日韓に跨る連結売上高が6兆円超の巨大グループを築いた。武雄氏の跡目を争う兄弟は、自陣営の拡大に血道を上げる。韓国ロッテグループ系列37社の社長は4日、連名で昭夫氏を支持する声明を発表した。日本のロッテホールディングスも、佃孝之社長が昭夫氏への支持を表明。会社側は昭夫氏支持で纏まった。姉や叔父ら、親族と共に高齢の武雄氏を担ぐ宏之氏。世論を味方につけようとKBS(韓国放送公社)に出演したことが、思わぬ波紋を広げる。日本で生まれ育った宏之氏は韓国語ができない。日本語を使ったことが、反日感情が根強い韓国民の神経を逆撫でしたのだ。「ロッテは日本企業なのか?」――。韓国メディアは連日、トップ級でロッテ騒動を報道。日本のロッテHDがグループ全体を左右する資本構造が明らかになると、ロッテ批判が一気に噴出した。グループ各社の株価は下落し、インターネットを中心にロッテ製品の不買運動も湧き上がる。

昭夫氏は3日、「ロッテは韓国企業。売上高の95%は韓国から出ている」と韓国記者の質問に答え、火消しに動くが、一向に収まる気配はない。韓国の公正取引委員会は、ロッテグループの支配構造の調査に着手。崔炅煥(チェ・ギョンファン)経済副首相兼企画財政相は6日、「ロッテの事態を注視している」と語った。“兄弟喧嘩”の次元を超え、韓国社会を揺るがす問題に発展したロッテ問題。最大の焦点は、近く開かれるロッテHDの株主総会だ。昭夫氏ら現経営陣の解任と、武雄氏の代表取締役復帰を求める宏之氏と、現経営陣への支持を訴える昭夫氏が正面からぶつかる。カギを握るのが、議決権の3割を握る従業員持ち株会の動向だ。議決権行使は、持ち株会が理事会を開いて決めるという。「我々の課題は、従業員が自由に投票できる環境をどう作るかだ」。宏之氏に近いロッテ関係者は語る。創業者一族が資本面でもグループを支配する韓国財閥が多い中、ロッテの従業員持ち株会が3割も議決権を持っているのは、所有と経営の分離を掲げ、「社員が会社の方針を決めるのが望ましい」という武雄氏の意向だったとされる。それが事実なら、宏之氏側に立ち、創業家の一存で全てを決める“重光商店”を守ろうとする武雄氏は、当初の理念を忘れてしまったのだろうか?


≡日本経済新聞 2015年8月9日付掲載≡


スポンサーサイト

テーマ : 韓国ニュース
ジャンル : ニュース

Categories
Profile

KNDIC

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR