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【蹉跌・再生エネルギー】(02) 太陽光は柱にならん

「これは早晩、大問題になるぞ」。芝浦グループホールディングス(北九州市)の会長兼最高経営責任者・新地哲己(61)が異変を感じたのは今春だった。メガソーラー(大規模太陽光発電所)をつくろうと九州電力に電気の買い取りを打診すると、送電網の増強工事を理由に大幅な追加負担を求められた。37年前に電器販売で創業後、不動産開発などを手掛け、東日本大震災後は太陽光発電にかじを切った。2012年7月、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が始まった当日に最初のメガソーラーを稼働させ、現在約20ヵ所を運営する。9月下旬、九電は送電容量が足りないとして再生エネの新規買い取りを見合わせた。用地に数千万円を投じた宮崎県内の発電所計画は宙に浮いた。はしごを外された企業同士で『被害者の会』をつくり九電相手に訴訟を起こすことまで考えた。「太陽光を柱にするには限界がある」。新地はホテル事業参入など経営戦略の修正を迫られた。




日本の太陽光発電の買い取り価格はドイツの倍以上。世界的低金利のなか国内外の投資が殺到した。ある宗教法人は年600万円で貸していた土地を発電所にし年8000万円を稼ぐ。影も形もない状態の出力2万kWの発電所の権利譲渡に5億円の値がついた例もある。大型発電設備を小分けにした“売電権”を仲介するブローカーも現れた。発電する気はないのに転売目的などで送電網の利用権だけ先に確保する“カラ押さえ”もある。福島市では出力2000kW以上のメガソーラーが全国最多の16件認定されたが「実際に動き出した計画は少ない。やる気がない事業者は市場から退出してほしい」と福島県エネルギー課長の佐々木秀三(52)は憤る。

政府は買い取り価格の引き下げなど制度を大幅に見直す方針だ。太陽光発電の採算は厳しくなるが、淘汰が進めば競争力がある企業には商機が広がる。新規買い取りの中断が表面化した直後の9月26日。NTT社長の鵜浦博夫(65)は事業説明会でメガソーラーを手掛ける子会社・NTTファシリティーズを「私のお気に入り」と紹介した。同社の総出力を2016年度までに現在の約2倍の35万kWにする。「うちは発電所の保守コストが低い。買い取り価格が下がってもやれる」(NTT幹部)。国の再生エネ促進策が綻び、“官製市場”はもろさを露呈した。黙っていてももうかるという幻想は消え、自立を問われる時代が始まる。 《敬称略》


キャプチャ  2014年11月5日付掲載


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