【蹉跌・再生エネルギー】(03) 混乱の中の好機

「風力発電所に向けた調査をしたい」。米ゴールドマン・サックス系のジャパン・リニューアブル・エナジー(東京・港)の担当者が山形県鶴岡市を訪れたのは7月のこと。風の状況を測り建設できるかを判断する風況ポールを建てる計画を伝えると、地元は「風力発電所が来る」とにわかに色めきたった。環境影響評価などを経て運転が始まるのは2019年以降になる見通しだ。各地で事業に着手した同社には、さまざまな県の産業誘致担当から声がかかる。社長の安茂(57)は「前向きな自治体とは積極的に取り組んでいきたい」と意気込む。電力会社の再生可能エネルギーの買い取り中断で、太陽光より安定して発電できる地熱や風力に再び注目が集まる。開始までの時間と投資額が膨らむのが欠点だが、太陽光に偏った政策が改まれば競争力は高まる。




神戸市で再生エネ事業を手掛ける洸陽電機の社長・山本吉大(44)は買い取り中断で多くの金融機関から「大丈夫か」との電話を受け、そのたびに「想定内です」と繰り返した。「2~3年後には地熱発電が太陽光に代わる」と考え、地熱の適地を20ヵ所選んできたからだ。長崎県雲仙市の小浜温泉では、地元の太陽光事業者に送電網を押さえられ事業を凍結していたが、すぐさま再開を命じた。

「湯けむり発電は再生エネの中で最も早く初期費用を回収できます」。10月24日、大分県別府市鉄輪地区。大分市にあるターボブレードの社長・林正基(56)は蒸気が噴き出す試作機を操作しながら、視察客に熱弁をふるった。林が開発した湯けむり発電は、従来の地熱発電より低温の熱水蒸気で発電するため掘削がいらず、既にある温泉井戸で発電できる。出力50kWの設備の価格は約6000万円。「固定価格買い取り制度を利用すれば、4年弱で初期投資が回収できる」。実用化には、首相の安倍晋三(60)が一役買った。2013年に別府を視察したとき、運転には経験のある技術者を必要とする「基準を緩めて」と提案。実際に緩和され小さな温泉旅館が導入する道が開けた。今回の買い取り中断では計画中の発電機が対象になったが、林はいずれ対象からははずれるとみる。簡易に地熱を利用できる技術はほかにそうはない。「別府で50ヵ所、全国では1000ヵ所で導入できる」と見積もる。

制度開始から2年で生じた混乱。だが企業はその中にも好機を見いだしている。 《敬称略》


キャプチャ  2014年11月6日付掲載


スポンサーサイト
Categories
Profile

KNDIC

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR