【東京いい店やれる店】(16) 高飛車美女を口説き落とすには“モダンガストロノミー”

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フランス料理界には、「同じシェフでも、街場のシェフよりホテルのシェフのほうが偉い」という明快なヒエラルキーがある。それだけに、シェフがホテルから街場の店に移るのは勇気の要ることに違いない。今回は、そんな勇気ある2人のシェフの店の話だ。1店目は、嘗て西武グループの文化発信基地として一世を風靡した『パルコ』が7月16日、南青山の『プラダ』の裏に建つ商業施設『ルーチェ南青山』の2階奥に出店したモダンビストロ『アンド・エクレ』。この店の厨房に立つのは、日本橋のホテル『マンダリンオリエンタル』37階のフレンチ『シグネチャー』で、ミシュラン1つ星を7年間維持し続けたシェフのオリヴィエ・ロドリゲス。日本滞在歴15年で奥さんも日本人という、大の日本通のフランス人だそうだ。オリヴィエはこの店の為に、野菜や果物を裏漉ししてピュレ状にしたフレンチの伝統的ソース“クーリ”に、米やシリアルをブレンドした“クーリシャス”というモダンガストロノミー(超先進料理)を開発。夜のコースはそのクーリシャスを4皿選び、それにデザートがついて5500円。このコースにビールを1杯ずつとワインを1本、それに食後のコーヒーを飲んで、勘定は2人で2万円ちょっきり。雰囲気の割にはまあまあ安い。パルコが飲食店を直営するのはこの店が初めてだそうで、内装に力は入っているのだが、オープン直後に行ったらアルバイトのフロア係のサービスはガタガタだった。

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経験上、3ヵ月も経てばこなれてくる筈だから、行くなら10月以降をお勧めする。もう1軒は、今年の1月、同じ『マンダリンオリエンタル』の38階のミシュラン1つ星店『タパスモラキュラーバー』の元シェフの橋本宏一が、代々木上原の周りに店舗が1軒も無い住宅街の奥のマンションの1階に出した『セララバアド』だ。こちらの店は、店構えや内装こそ“住宅街の中のカフェ”の趣きだが、出される料理は前菜からデザートまで、“早春の大地”とか“冬の湖”とかいった詩的なタイトルがついた全10皿の6800円のコース1本。このコースを食べて、6500円のワインを1本飲んで、勘定は2人で2万4732円だった。抑々、タパスモラキュラーバーは『エルブリ』式の手の込んだモダンガストロノミーを出すことで知られた店で、橋本シェフ自身も『エルブリ』での修行経験があり、それだけに、この店の料理もまあ手が込んでいるのなんの。そんな手の込んだ料理を狭い厨房で作っているものだから、皿を出すタイミングを合わせる為、客は来店時間をきっちり指定される。普通に考えたら、こんなややこしい店は非日常感のある西麻布とか青山にあるべきで、地元民が日常的に使う郊外の店としてかなり違和感があるのだが、世のグルメはそんなことは気にしないようで、今は何と2ヵ月先まで予約で一杯。「私を喜ばせて」が生き方の基本姿勢の美女を落とすには、それぐらい周到な準備が不可欠ってことなんでしょうねぇ。


キャプチャ  2015年9月15日号掲載


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