【中外時評】 日韓の融和を探る道――未来への経済協力、活路に

中国が北京で開いた『抗日戦勝70年』の記念式典。習近平国家主席やロシアのプーチン大統領らと共に、天安門楼上の最前列で軍事パレードを参観した韓国の朴槿恵大統領の姿は、一際目を引いた。韓国は中国と経済の繋がりが深い。北朝鮮への対応でも中国の協力は欠かせない。朴大統領の式典参加にはこうした対中配慮もあったのだろうが、日米欧等の首脳が殆ど欠席する中、改めて中韓の蜜月を内外に印象付けたことは疑いない。朴政権が対中外交を重視する理由について、ソウル大学国際大学院の韓栄恵教授は、「大統領自身の原則と政治判断に加え、韓国社会の変化を反映しているのではないか」と語る。例えば、大学に入学する学生の専攻志望。中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した2001年頃を境に「状況が一変した」。それまでは圧倒的に高かった“日本”志望が減り、“中国”専攻を希望する学生が急増したという。「グローバル化の中で韓国社会の関心も多様化し、中国の存在感が増す一方、日本の重要度は相対的に低くなった。だから、日本と関係が悪くなると『ちょっと距離を置こう』という雰囲気も出てくる」と韓教授。中韓の接近と裏腹に、日韓が歴史問題で長らく冷え込んでいるのも、こんな背景があるという訳だ。

とはいえ、“歴史”を巡る溝は中韓にも存在する。日韓だけが大きな問題になるのは何故だろうか? 「中国は過去に朝鮮半島を侵略したが、支配はしなかった。日本は遠くない過去に朝鮮半島を植民地支配した。しかも、同じ文明圏で支配と被支配の関係ができたことが最大の問題だ」。日韓の第2期(2007~2010年)歴史共同研究委員会で、韓国側委員長を務めた歴史学者の趙珖氏の解説だ。それだけに、「韓国国民の対日観に占める歴史認識の割合はどうしても高くなってしまう。どの大統領も国民感情は無視できない。互いに解決に向けた努力をしないと、何れ問題が爆発しかねない」と同氏は言い切る。日韓の歴史問題を巡る対立の根は深いということだろう。




幸い、日韓関係は漸く雪解けの兆しが見え始めた。朴大統領は先の安倍晋三首相の戦後70年談話を前向きに評価し、中国にも日中韓首脳会談の早期開催を働きかけた。その場を使った安倍首相と朴大統領に依る初の2国間首脳会談が、早ければ今秋にも実現する可能性が出てきた。だが、仮に首脳会談が開かれても、歴史問題のしこりが解消する訳ではない。趙氏が指摘するように“互いの努力”は必要だろうが、この問題ばかりに焦点が当たっていては、未来に向けた関係作りは中々進まない。『韓日産業・技術協力財団』の李鐘允専務理事は、「両国に歴史・領土問題があるのは事実だが、それを過大に認識し過ぎるのが問題だ。産業協力や地域間交流な等、身近な生活に関連する協力や交流を深め、歴史問題の認識比率を下げることが大切だろう」と強調する。特に、産業分野では「水平分業を増やして1つの経済圏を作り、第三国に共に進出する」のが理想とし、その意味でも日韓の自由貿易協定(FTA)交渉を推進するのが望ましいという。

「経済を関係改善の原動力にすべきだ」という声は、韓国でも経済界に多く聞かれる。韓国産業研究院国際産業協力室の司空穆研究委員は、日韓の産業協力が50年前の国交正常化から「萌芽期・成長期・発展期を経て、2008年から成熟期に入った」と分析。それでも製造業以外にも裾野を広げる他、医療や介護を含む高齢化対策、第三国でのインフラ共同開発等、協力の余地は十分にあると指摘する。韓国の全国経済人連合会は、次の50年に向けた『未来志向的な韓日産業協力の方案』を纏め、未来産業・公共インフラ・観光産業・南北統一・資源・エネルギーを有望分野とした。例えば、未来産業ではスマートカーの共同開発、観光では東アジア版ユーレイルパスの導入等を挙げる。同連合会地域協力チーム長の金俸萬氏は、「企業は何より利益を重視する。両国が経済面で長期的に協力できる未来型のプロジェクトを発掘できれば、歴史問題を巡る葛藤をある程度、解消する糸口になるのではないか」と語る。こんな意見も踏まえながら、日韓両政府は融和に向けた関係構築の道筋を探ってほしい。 (論説副委員長 池田元博)


≡日本経済新聞 2015年9月6日付掲載≡


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テーマ : 韓国について
ジャンル : 政治・経済

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