【タブー全開!政界斬鉄剣】(03) 『抗日戦争勝利記念日』式典に不参加のデメリットはこれだ!

8月24日に菅官房長官は、9月3日に北京で行われる『抗日戦争勝利記念日』行事への安倍首相の参加を見送ると発表しました。しかしこの決定、“見送り”どころか“見逃し三振”です。前回私は、「若し、安倍政権が想像を絶する外交的な理解力の低さを露呈し、抗日戦争勝利記念日の式典に参加しなかった場合」を危惧していました。その心配は現実になった…。今週は、参加していた場合と比べてどのような“悪影響”があるかを考えていきましょう。

菅長官は、安倍首相が訪中しない理由を「国会の状況等を踏まえて決定した」とコメントしています。それに対して、新聞は政府関係筋の証言として、「“本当の理由”は以下の3点だった」と報じています。

①抗日行事の反日色と軍事色
②日中首脳会談ができない
③アメリカ・イギリス等が不参加

これらの理由のどれもが正常な外交感覚だとは思えません。前回解説したように、日本に対して“加害国”であるアメリカが、広島と長崎で行われた『原爆の日』の式典に本国の国務次官を初めて参加させた。これは、「同じく“加害国”の日本も中国の式典に参加しろ!」という強烈なメッセージでした。日中関係が“歴史問題”で今以上に悪化することを、アメリカは望まないからです。アメリカは水面下でも中国に、安倍首相の『戦後70年談話』や抗日戦争勝利記念行事での“過剰な”反応や演出に釘を刺した筈です。そして、『戦後70年談話』に中国も韓国も冷静な反応だったことを見ると、中韓はアメリカの意図を“阿吽の呼吸”で理解したのです。ところが、肝心の安倍政権が全く理解していなかった。というのも、政府関係筋の証言に依ると、日本は中国に「式典は反日色が強いのか? この機会に首脳会談は開けるか?」等、まるで“外交センスゼロ”な質問をしたようなのです。式典が「反日的か?」と聞かれれば、中国としては建前上「抗日戦争勝利記念ですからね…」と答えるしかない。しかも、そんなタイミングで日中首脳会談をやっても、中国側は勝ち誇るしかなく、日本側は謝るしかない。そりゃあ、互いに具合が悪い。だから、「首脳会談は別の機会に」と中国のほうから丁重に断ってくれたのに、日本は不参加の理由にしてしまう始末…。アメリカ・イギリス等の不参加に至っては、言い訳にもならない。日本との戦争でアメリカ・イギリス等が共に戦ったのは中華民国(現在の台湾政府)なのだから。戦後に建国された中華人民共和国の戦勝記念行事に参加する理由は無いのです。




若し安倍首相が訪中していた場合、中国側の態度が悪いほど、日本の首相が惨めに映るほど、日本人は腹が立ちます。すると国民は“愛国的”になり、安保法案への評価と安倍政権の支持率は好転した筈です。法案の是非は別としてね。しかし、日本はそうしなかった。ここで予想される“悪影響”とは? 先ずは、安倍首相が“言葉”ではなく行事への参加という“行動”を示すことで、“戦後○年問題”に決着をつけるチャンスを逃したことです。これで、中国の“対日歴史カード”も残ってしまった。更に、アメリカから“逆におっかない同盟国”だと思われること。アメリカは日中間の歴史問題を終わらせる為に、自国の高官を初めて広島と長崎に派遣し、中韓に対しても水面下で調整をつけたのに、土壇場で日本がひっくり返した…。安倍首相が安保法案で強引なのも、日米の同盟関係強化を目指してのことなのに、強化どころか弱体化しかねない状況です。“本音と建前”や“阿吽の呼吸”を理解した上で、虚々実々な駆け引きが要求されるのが外交の世界。その中心にいるアメリカが、「阿吽の呼吸どころか、建前も理解できないような国とは真面に付き合えないな」と考えても可笑しくありません。


池田和隆(いけだ・かずたか) 元農林水産大臣秘書官。1967年、熊本県生まれ。“農水族議員のドン”と呼ばれた松岡利勝農林水産大臣(故人)の秘書を16年間務め、国家権力や利権・国の意思決定の実態を内側から目撃してきた重要人物。


キャプチャ  2015年9月14日号掲載
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テーマ : 中国問題
ジャンル : 政治・経済

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