“右翼落第”と言われて…“黒幕”と呼ばれた男の自省録――猪瀬前都知事5000万円授受・鳩山由紀夫氏のクリミア訪問で注目された大物右翼が“脱右翼宣言”!

2つの“騒動”でメディアから“黒幕”としてバッシングを受けた大物右翼の木村三浩氏。『一水会』代表として、新右翼の論客として知られる木村氏だが、この5月に突如“脱右翼”を宣言。その理由、そして騒動の真相を、自省を込めて語り尽くした。 (取材・構成 窪田順生)

Mitsuhiro Kimura 01
「木村が右翼を辞めた」と一部で話題になっているようですが、元々自分たちで“右翼”と名乗っていた訳ではありません。基本的には“対米自立”という考え方の社会運動を実行しているだけで、必要があれば左翼を含めた様々な人々や、韓国や中国の人とも議論をしています。私たちのスタンスを理解してくれる人とは、連帯して活動するのが早いですね。

そう語るのは、『一水会』の木村三浩代表。精力的に活動する新右翼の論客として知られた人物だが、5月22日に右翼団体の名を自ら呼称することを止めるという“独自活動宣言”を発表した。この背景には、今年3月に日本政府が「軽率な行動」と批判した鳩山由紀夫元首相のクリミア訪問に同行した一件がある。木村代表には、右翼団体等から「戦後右翼のイメージを損ねる」(独自活動宣言より)という批判が殺到したという。

事務所に右翼の街宣車もやって来ましたよ。「近所迷惑だから話そうじゃないか」と出ていくのですが、「話さない」の一点張り。まあ、人には其々考え方があるのでどんな批判でも甘んじて受けますが、内向きなものより外に向かっていかないと、それこそ“質”が問われますよね。鳩山氏とのクリミア訪問の抑々の発端は、昨年8月に私が現地を訪問して、「欧米メディアで報道されていることと、現地の様子が随分違う」と感じたことです。その後、旧知の仲であるジャーナリストの高野孟さんから、彼が理事を務める「“東アジア共同体研究所”(理事長・鳩山由紀夫氏)のインターネット番組に出演し、クリミア報告をしてほしい」と依頼された。そこで、私が見たありのままを話したのです。すると、共演していた鳩山さんが「自身の目で現地の様子を見たい」と言うので、「皆で行きましょう」という話になったのです。

木村代表と鳩山氏が現地で見たのは、大手メディアが報道する“ロシアの圧政で苦しむ住民”ではなく、自由を謳歌して素直にロシア編入を希望する住民だった。少なくとも、“ロシア軍に依る恐怖支配”など無かったという。しかし、帰国後に記者会見でいくらそれを訴えても、日本のマスコミは「国益を損ねた」という批判一色だったのは、ご存知の通りだ。




記者会見では鳩山さんの隣に私がいたもので、『週刊新潮』には“演出木村、主演鳩山”なんて書かれてしまいました(笑)。まあ、何を言われてもいいのですが、日本のマスコミが権力に飼い慣らされ、体制化していることを改めて感じましたね。2008年に起きた南オセチア紛争でも、日本では「ロシアが一方的に進攻した」という報道一色で、あの『赤旗』ですらもそう報じた。でも、現地へ行くとやはり違っていました。「国益を損なう」と仰る方もいますが、事実を客観的に見なければ正しい外交判断はできません。対米一辺倒の視点が大問題なんです。対米従属でロシアに経済制裁を続けることが、本当に国益に適うのか? それを示唆するのが、少し前に『TBSニュースバード』(CSのニュース専門チャンネル)で小さく報じられた『ノルマンディー上陸作戦70周年記念式典』で、各国の首脳が集まったシーンです。会場のモニターに広島へ原爆が投下される映像が流れると、オバマ大統領は足を組んでガムを噛みながら拍手をしました。一方、プーチン大統領はというと、対照的に襟を正して神妙な面持ちで十字を切ったのです。どちらが日本に対する敬意・理解があるのかを示す所作でしょうか。因みに、私は直ぐにロシア大使館を通じて、プーチン大統領へ手紙を出しましたが、直ぐに「貴方の指摘には感謝する」という大統領からの公式メッセージが返ってきましたよ。

このエピソードに象徴されるように、木村代表は“右翼団体”という枠に捉われない国際的な人脈を有している。そのルーツは1992年、湾岸戦争後のイラクへ行った際に、バース党と“反帝国主義”で協定を結んだことをきっかけに、バグダッドに本部のある国際組織『非同盟諸国学生青年会議』の常任理事に就任したことにある。そんな木村代表のアラブ人脈の力が発揮されたのが、昨年秋から今年頭にかけて日本を震撼させたISIS(別名:イスラム国)に依る邦人拘束事件だ。湯川遥菜さん・後藤健二さんに危害を加えないようにというメッセージを汎アラブ紙(アル・クドス)で発信、更にアラブ社会に大きな影響力を持つ部族長や、ISISとの人質交渉に実績のあるムーサ・アブドラ弁護士と共に、救出へ向け現地で尽力したのである。その我が身を顧みない行動を評価する一方で、「売名行為ではないか?」という批判もあった。

「20年以上もアラブで民間外交をしてきた者として、できる限りのことをしたい」という思いもありましたが、何よりも「日本人としての気概を示す」という意味がありました。「政府がやれば」と言いますが、私は政府の対応に大いに疑問を感じている。それを改めて痛感したのは、後藤さんたちの遺骨帰還交渉の為に3月にアンマンへ行った時のことでした。現地に到着すると友人から、「2003年の小泉政権時にイラクで拘束された高遠菜穂子さんら3名の救出に尽力して下さった部族長が亡くなった」と聞きました。「日本人の恩人な訳ですから、是非葬儀に参列したい」ということで行ってみたのです。そこで息子さんに「日本人は誰か来ましたか?」と尋ねたら、「誰も来ません」と言われました。ハーリス・ダーリーさんという方で、ヨルダン国王も弔辞を出すほどのスンニ派の大物で、葬儀は3日間もやっているのに、ヨルダンの日本大使館は職員を1人も出さない。アラブ世界では特にヒューミントな情報収集が求められますが、日本政府はそれが全くできていないのです。話は変わりますが、東京都の猪瀬直樹前知事がオリンピック招致中に、ニューヨークタイムズに発言の一部を抜き出されて「イスラムは喧嘩ばかりしている」と書かれ、国内でも批判されたことがありましたが、あの時も私はパレスチナの大使やアラブ15ヵ国の大使等に電話して、「知事は友人だが、そんなことを言う人間じゃない」と言うと、皆が「わかっている。大したことじゃない」と言ってくれ、彼らと意見交換の場も作ることができました。

そんな窮地を救った猪瀬直樹氏との関係で、木村代表はマスコミから追いかけ回されることもあった。2013年11月、徳洲会から猪瀬氏が5000万円を借りていたことが発覚した件だ。両者を結びつけた“フィクサー”であり、猪瀬氏から500万円を借りた“右翼団体代表”として、新聞やテレビでもその名が報道されることになるのだ。

あれは、本質的には大したことではありませんよ。お金は確かに借りましたが、直ぐに返しました。東京地検に呼ばれましたし、家宅捜索もやられましたが、事実、何も無いんです。ただ、やはり「ガサが入った」という情報はマスコミに必ず漏れるので、旧知の記者からも「何かありましたか?」なんて電話がかかってきましたね。事実関係については喋りませんが、一般的な対応はしましたよ。猪瀬直樹さんはジャーナリストでもあり、政策のプロです。政治に求められる発想力が凄く、改革者ですね。だから、政治を変える人物として支持していました。彼の『ミカドの肖像』を読めばわかりますが、彼は本質的な保守のこともよくわかっているし、尖閣諸島問題や横田ラプコン(アメリカ空軍管制下空域)の縮小にも取り組んでいたんです。こう振り返ると、最近は1年に1回のペースでマスコミから追いかけ回されていますね。勿論、世間を騒がそうとかそういう意図は全く無いのですが、真意がわからない人には売名行為のように見えるのかもしれません。飽く迄も、私がやっているのは社会変革運動ですから。国の政策が間違っていると思えば、やはり正さなければならないし、自分でやるべきだということを政府がやらないから、自ら行動に移すしかない。ある先輩から、「(クリミア訪問で)外務省の面子を潰したから叩かれるんだ」と指摘されましたが、私は「外務省の面子は潰したかもしれませんが、日本の国益は守りましたよ」と答えたんですよ。するとその先輩、「よく考えるとそうだなー」と言ってくれましたよ。そういう意味では、もう少ししたらまた世間を騒がせるかもしれません。

やはり、戦後体制という社会状況を変革していこうという意志を持っている以上、問題提起をしていかねばならないんです。詳細はここでは明かせませんが、私としては安倍政権の企む安保法制には断固反対です。安保条約が日本を呪縛していることを全くわかっていない。そのような視点で行動すると、また腐ったメディアに叩かれるのかもしれませんね。望むところですが。


キャプチャ  2015年9月号掲載


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テーマ : 右翼・左翼
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