“正月は家で過ごす”文化を――初売り3日から、三越伊勢丹“脱・横並び”の執念

首都圏8店舗の2016年の初売りを1月3日から始めると発表した『三越伊勢丹』。これまでも営業時間の短縮や休業日の設定等、労働環境の改善に努めてきた。背景には、百貨店の将来に対する大西洋社長の強い危機感がある。 (武田安恵)

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三越伊勢丹ホールディングスは2015年9月7日、旗艦店である伊勢丹新宿本店や三越銀座店を含む首都圏の8店舗で、2016年の初売り営業を1月3日に始めると発表した。同業が例年通り元日や2日から営業する中で、元日を含む2日間の休業に踏み切るのは、横並び体質の百貨店業界では異例のこと。大西洋社長は本誌取材に対し、「従業員をしっかり休ませ、おもてなしの質の向上に繋げたい」と、今回の施策が労働環境の改善の為であると強調する。大西氏が2012年に社長に就任して以降、三越伊勢丹は百貨店本来の質の高い販売体制を作る為、様々な改革を進めてきた。2013年4月からは営業時間を1時間短縮し、閑散期には休業日を月2日設けている。「昨年も、『初売りを3日にしたい』という雰囲気が社内にあった」と、大西社長は社内に自分の考え方が浸透してきた今が、後ろ倒しのタイミングだったと明かす。1月2日を休業日にすることで、売り上げは約20億円落ちる。「訪日外国人の集客が見込める銀座店の売り上げ減は懸念材料」(大西社長)と心配が無い訳ではない。だが、売り上げが多少減っても改革を優先する背景には、百貨店の将来に対する大西社長の強い危機感がある。抑々、百貨店が初売りを従来の1月4日から前倒ししたのは1990年代後半のことだ。GMS(総合スーパー)やファッション専門店等、様々な業態が元日に初売りを始め、百貨店は苦戦を強いられていた。競争が激しくなる中で、少しでも売り上げを伸ばそうと初売り日を早めてきた。

しかし、売り上げを増やせたとしても、百貨店業界を取り巻く環境は厳しさを増している。都市部の店舗は訪日外国人効果で一息ついているが、地方店舗への恩恵は限られている。「お客様に“買い物の楽しさ”を提供できる百貨店になるには、横並びから抜け出さないと何も変わらない」(大西社長)。小売業界の中で魅力ある地位を得る為にも、他社との違いを打ち出したいと考えている。“働き方”の改革は、その手段の1つなのだ。“百貨店の雄”として、伝統的な日本の文化を取り戻したいという思いもある。百貨店を含む様々な商業施設が正月も開店するようになったことで、正月を家で過ごすライフスタイルが崩れてしまった。「箱根駅伝の往復どちらかは、家族でゆっくり観戦してもらいたい」(大西社長)。高水準の品揃えと接客を目指す百貨店として、日本文化を尊重する姿勢を世に問いたい考えだ。大西社長が次に目指すのは、1月3日の休業。「何れは、正月三が日を休業日にする本来の姿に戻していきたい」という。実現には、4日が仕事始めになると買い物できない顧客が出る等、検討材料は多い。それでも、百貨店業界での生き残りをかけ、大西社長は“孤軍奮闘”を続けていく構えだ。


キャプチャ  2015年9月21日号掲載


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