【変見自在】 安倍談話

Shinzo Abe 15
「戦後70年に出された安倍談話は、実に奥が深い」と言う人が多い。例えば、締めの「我が国は自由・民主主義・人権といった基本的価値を共有する国々と手を携えていく」という行。これはどう読んでも、「人権など糞くらえで、チベットやウイグルを侵略して一向に恥じない支那とは付き合わない」と宣言している。そう言えば外務省は先日、韓国の基礎データから「基本的価値観を共有する」という部分を削除した。「支那だけじゃない。韓国とも絶縁する」と談話は言っている。地域問題では苦難の歴史を刻んだアジア諸国として、インドネシア・フィリピンに続いて“台湾”を挙げた。台湾を国扱いすると大騒ぎする国がある。今年1月、ハーバード大学で行われた模擬国連会議で、「『台湾を国名扱いした』と支那人学生が騒ぎ、会場から摘み出された」(環球時報)事件があった。東日本大震災2周年の追悼式で、台湾代表が各国代表と同格で献花した。その前年はあの民主党政権が仕切り、支那に気兼ねして台湾代表を献花の列から外した。政権も変わった。「やっと真面になった」と思ったら、支那外交部のあの高慢な華春瑩が顎を突き出して「許さない」と怒った。今度は閣議決定付きの首相談話。そこで語られた“台湾”はぐんと重みを増したけど、華春瑩のキンキン声は聞こえてこない。“手を携えない”絶縁宣言と併せて、予想を超えた文言にどう対応したらいいのか戸惑っているのだろう。それ以上に、安倍談話の神髄は書き出しにある。過去の談話は、真っ暗な舞台中央に日本がスポットを浴びて立ち、「私は国策を誤り、アジア諸国を侵略し植民地化し、人々に酷いことをしました」と告解する独り舞台が形だった。しかし、今回は舞台背景に第3世界が広がり、そこを欧米列強が食い荒らすシルエットが映し出される。そして、花道から日本が登場し、舞台中央で極悪欧米の代表であるロシアを完膚無きまでに叩きのめした。それが、「植民地支配下にあった人々を勇気づける」ことになる。

しかし、欧米に反省は無い。現に、アメリカは日露戦争の2年前までフィリピンで住民を殺し捲り、生粋のスペイン人であるマニュエル・ケソンを傀儡大統領に据えて、植民地支配を継続していた。談話は、大恐慌後の世界に触れる。「“欧米諸国”が植民地の膨大な労働力と資源を足場に、排他的経済圏を維持するという“新しい国際秩序”を創っていった。日本は、その白人の為の国際秩序に挑戦し、酷寒の(或いは灼熱の異郷の)地まで出て戦ったけれど、敗れてしまった。歴史とは、多くの国々のエゴで織りなされる。独り舞台ではなく、そういう群像を舞台に置くことで、歴史はよく見えてくる」と安倍談話は言っている。元駐日イギリス大使のヒュー・コータッチも、そう読んだ。彼は激怒した。「『日露戦争が植民地の民を勇気づけた』だと? とんでもない。朝鮮を植民地にし、満州を取る為じゃないか」(『ジャパンタイムズ』2015年8月18日付)、「大恐慌の不況は、日本より英米のほうが酷かった。許せぬ言いがかりだ」(同)。念の為に言えば、イギリスでは19世紀まで家の窓にまで税金をかけた。植民地を持ってから“窓税”は廃止され、ロンドン市民の半分は住みこみ女中を置けた。大恐慌後も女中はいた。しかし、植民地が無くなった今、女中はいない。イギリスは200年前の貧乏国に戻った。日本が植民地の人々を勇気づけたことへの恨みは深い。だから、コータッチは怒り狂ったのだ。朝日新聞は、談話が出た翌日の社説で「何の為に出したのか」と書いている。主幹の大野博人は、「談話には“侵略”と“植民地化”と“反省”と“謝罪”を入れろ」と言ってきた。それが正しく入っているかどうかにしか興味が無かった。だから多分、今もコータッチが何で怒っているのか判らない。一度、読解力テストを受けるといい。


高山正之(たかやま・まさゆき) ジャーナリスト・コラムニスト・元産経新聞記者・元帝京大学教授。1942年、東京都生まれ。東京都立大学法経学部法学科卒業後、産経新聞社に入社。警視庁クラブ・羽田クラブ詰・夕刊フジ記者を経て、産経新聞社会部次長(デスク)。1985~1987年までテヘラン支局長。1992~1996年までロサンゼルス支局長。産経新聞社を定年退職後、2001~2007年3月まで帝京大学教授を務める。『高山正之が米国・支那・韓国・朝日を斬る 日本人をますます元気にする本』(テーミス)・『アジアの解放、本当は日本軍のお陰だった!』(ワック)等著書多数。


キャプチャ  2015年9月24日号掲載


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