『フォルクスワーゲン』排ガス不正問題、日本にも押し寄せるドイツ発“リスク4.0”

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弱り目に祟り目。『フォルクスワーゲン(VW)』の排ガス不正問題が、グローバルな市場を動揺させている。リーマンショック後、米欧の金融機関が次々と槍玉に挙がり、巨額の制裁金を課せられた。その自動車版を警戒する声が世界中に広がっている。VWの母国・ドイツが売り出し中の“製造業4.0”。それに擬えるなら、株式市場を襲っているのは“グローバルリスク4.0”だ。中国経済失速の新興国への波及・中ぶらりんのアメリカ利上げ・一頃大騒ぎとなったギリシャのデフォルト(債務不履行)危機。これらに加えて、VWの排ガス不正問題がスモッグのように不透明感を増幅させたのだ。ドイツの代名詞とも言うべき大企業が、総数で1100万台にも上るクルマに違法ソフトを搭載していた。藪から棒に飛び出したのは、俄かには信じられないようなバッドニュースである。

ディーゼル車を売り物とした戦略が崩れ、VWの経営が行き詰まる。ドイツの自動車産業が評価を落とし、国際競争力を低下させる。今回の事件はそんなレベルに留まらない。不正を暴いた『アメリカ環境保護局(EPA)』は腕捲くりし、『BMW』『ゼネラルモーターズ(GM)』等の他社ディーゼル車についても徹底調査すると発表した。ディーゼル車に留まらない。ガソリン車についても一段と厳格な排ガス検査が実施されるのは、想像に難くない。自動車メーカーは俎板の上の鯉のようなもの。重箱の隅を突くように問題点を指摘されるのは必至だ。その分、不確実性のリスクは高まる。折しも、アメリカは大統領選モードに入りつつある。「言語道断。利益を安全や環境に優先させる会社は、然るべき報いを受ける」。ヒラリー・クリントン前国務長官は早速、そうツイートした。「自動車労組の支持を受けている」といった指摘が出てくる前に、機先を制したのである。民主党のリベラル派の担ぐバーニー・サンダース上院議員らからは、環境規制を厳格化するよう求める声が強まる筈だ。EPAはVWに最大で2兆円余りの制裁金を課す見込みとされる。自動車メーカーに対する風当たりが強まる中、アメリカの世論は巨額制裁金を当然視することになろう。不正の摘発と巨額賠償金、そして各種の規制強化。この三位一体の蟻地獄に、リーマン後の米欧金融界は陥った。




VW 02
自動車は、金融の世界よりもずっと身近である。しかも、環境問題は“政治的に正しい”テーマだ。VWのような不正が発覚すれば、制裁金の金額が跳ね上がるばかりでなく、集団訴訟の矢面に立たされるのも必至である。これまた、不確実性のリスクを高める。VWショックはドイツを襲ったに留まらず、日本の株式市場にも飛び火した。日本はドイツと同様に自動車が基幹産業。しかも、国内販売より寧ろ輸出と現地生産を合わせた外需に頼っている。「会社ぐるみの不正を働いたVWと一緒にはしないでほしい」――そう念じながら、メーカー各社は抜き足差し足で歩む他ない。それでも、いつ如何なる形で火の粉が飛んで来ても可笑しくない。ここはひとつ、日本の主力産業が理不尽なとばっちりを被らないよう、官民を挙げた態勢作りが急がれる。 (編集委員 滝田洋一)


≡日本経済新聞 2015年9月27日付掲載≡
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