【タブー全開!政界斬鉄剣】(05) “事実上の大統領選”にもできる自民党総裁選が機能しない理由

今週は自民党総裁選について解説しましょう。9月8日、野田聖子前総務会長は、自民党総裁選への出馬を断念したと発表しました。これで、9月20日の総裁選は安倍首相の無投票再選が決定。自民党の総裁選は事実上、日本の総理大臣を選ぶイベント。なのに、国民の関心は盛り上がらない。何故でしょうか? 野田氏不出馬の舞台裏をあれこれ解説する報道だけでは、その理由は見えてきません。結論から先に言うと、自民党自身が総裁選の重要性と可能性を台無しにしているのです。“重要性”とは勿論、「自民党が政権与党である限り、この選挙で日本の総理大臣が決まる」という事実。“可能性”とは、「総裁選のやり方次第では、国民が“直接的に”日本の最高指導者を選べる“事実上の大統領選挙”にできる」ということです。

実は、その可能性が現実に近づいた瞬間が過去にありました。それは、私も直接携わった平成13年4月、小泉純一郎首相が誕生した総裁選です。この時、下馬評では「当選など到底不可能」と言われていた小泉氏が、「自民党をぶっ壊す!」と訴えたことで、日を追う毎に自民党員の圧倒的な支持を集めていきます。その様子は当時、同じく総裁選に出馬していた亀井静香氏の選挙陣営で秘書団の指揮を執っていた私に、恐怖にも似た鮮烈な印象を与えました。私の元には連日、選挙区の有権者や友人・知人から、果ては親戚まで、「小泉さんを支持したいんだけど、どうやったら今から党員になれるのか?」という問い合わせが殺到しました(私は敵陣営なのに!)。これは、粗全ての自民党国会議員の事務所で見られた光景です。結果はご存知の通り、小泉氏の圧勝でした。この時、私は「自民党も捨てたものではないな。これからの日本はこのやり方で、国民が直接的に強力なリーダーを選べる真の民主主義になっていくのだろうな」と確信したものです。自民党の党員数は、約20年前まで年間4000円程度の党費を国会議員と支持団体が立て替えるという“名義借り”で維持されていました。しかし、その名義借り行為は禁止され、党員数は減少の一途を辿っていた。ところが“小泉総裁選”を機に、党費が完全自己負担になったのにも拘らず、党員数は急増したのです!




しかし、自民党はそのチャンスを自ら潰します。小泉総裁選で“民主主義の力”に恐れをなした自民党は、一般の党員票と国会議員票の割合を圧倒的に国会議員票有利になるよう、ルールを変更してしまったのです…。これで、党員であることの価値も魅力も無くなった。当然、自民党員の数は壊滅的に減っていきます。そして、これらの様子を私より更に近いところから見ていたのが、当時、内閣官房副長官や自民党幹事長を務めていた安倍氏だったのです。しかし、不思議なことに、強い日本と強いリーダーシップを目指している筈の安倍首相が、この自民党総裁選の仕組みについては一切触れようとしません。それどころか、自民党は今、党員になる魅力が一切無い状態のまま、党の財政基盤強化の為に新規党員を獲得するよう、所属議員にノルマを課しています。でも、党員を増やしたければ、「月に300円程の党費を払うだけで日本のリーダー選びに直接参加できる」という魅力ある仕組みにすればいいだけなんです。そんな“小規模な経済感覚”さえ無いのだから、アベノミクスの肝となる効果的な“第3の矢”がいつまで経っても出てこないのは当たり前。日本の経済価値を再び高めるというアベノミクスの大きな目標を達成できるとは、到底思えません。


池田和隆(いけだ・かずたか) 元農林水産大臣秘書官。1967年、熊本県生まれ。“農水族議員のドン”と呼ばれた松岡利勝農林水産大臣(故人)の秘書を16年間務め、国家権力や利権・国の意思決定の実態を内側から目撃してきた重要人物。


キャプチャ  2015年10月5日号掲載


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テーマ : 選挙
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